巻部分&ロゴ周辺をマジョーラが高い理由 | ぎっちょ31  

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久しぶりの「OC130Z」の納品

「ZR」ほどのスペックは要らないけど、長くてパワーのある竿が欲しい・・・って人にオーダーいただいてます

そう書くと、スペック低いようですが、普通に使うなら大概の魚はOKです

GTだって捕れます

 

その「OC130Z」の「玉虫スペシャル(マジョーラ)」

ブランクは「アンサンドフィニッシュ(塗装がされてないカーボンのまんま)」ですが

そのカーボン地の部分以外はマジョーラの光沢

「ロゴ部分」も「ガイドラップ部分」もマジョーラ

上の写真でも色が異なるのは

手前のロゴ部分とガイドラップ部分とでは角度が違うから

 

赤味のある紫っぽく見えたり

 

別の角度から見ると藍色っぽい光を放ちます

 

同じ部分でも、見る角度が違うと紫に

 

「ロゴつなげ調整長」と注文書に書かれていれば、この隙間は無かったんですが

「リールシート位置〇〇cm」、「Fグリップ〇〇cm」など、数値のみ指定だったので

その寸法で作って行って、ロゴとバットガイド(いちばん元のガイド)に少しスペースが空くなら「いっそつなげたほうが」となります

(外道SPLのように15cmも20cmもバットガイドまでスペースがあるんなら「つなげようか」は気にすることは無いですが、ヘタすりゃ1cmとか4~5cmスペースが空くくらいならつなげたほうがベター・・・ということもヘビーロッドでは)

ましてや今回の竿はバットガイドの先には追加ロゴ「FULLPOWER」があるのでバットガイドの先も「マジョーラカラー」です

一言「ロゴつなげ調整長」と書いていれば、Fグリップは「30cm(バントライン12インチ)」と指定がありましたが、「あと2インチ程度」長く作ればバット周辺はすべてマジョーラ塗装のブランクのように見え、ティップ周辺だけアンサンドのアレンジなんだと見え方も変わりますから「ロゴつなげ調整長」にて仕上げます

このあたりが「オーダーメイドの難しさ」

素人さんであるお客さんはいろんなオーダーはしたがりますが、実際に作らないため、見えてないものもたくさんあります

だから、いつもブログでお知らせしてきたように

そりゃ、あ~したい、こ~したいのオーダーは注文書に書けばイイのですが、「おまかせ」の指示もあったほうがイイモノになる・・・という事例

だから、以前からブログに書くように「書けば書くほど」とか「お客さんが漏れなく数値やデザインの詳細まで事細かく書けば書くほどイイ物」になるか???・・・と言ったら、違いますよってこと

 

このあたりが、今年から変更した

オーダーメイドは直接来店で打ち合わせのみ

となった理由のひとつです

 

 

 

ガイドラップやロゴが入る部分はすべて「マジョーラ仕上げ」です

 

この「マジョーラ仕上げ」も

きっとお客さんのイメージでは3,000円とか5,000円も上乗せすりゃできるでしょ!?

そう思ってる人も居るかもしれません

 

これも「見えてない」ゆえ・・・・・・のひとつ

 

ブランクも全塗装した「フル艶消し」はなんとなく金が掛かりそうとは見えても

「アンサンドフィニッシュ」で作った竿が「ブランクオールペン」の竿並みに追加金が要るなんてイメージが湧かない

そんな人も多いでしょ

 

いや、逆に、ブランクを「黒」にオールペンするほうがラクなのです

作る前に、裸のブランクをバーーーっと黒の塗装を吹けばイイだけでしょ?

 

でも「ガイド巻き」と「ロゴ周辺」・・・(ようはアンサンド以外はマジョーラの光沢)

にしようと思ったら、やることが格段に増えます

 

今回、マジョーラ仕上げに「12,000円」貰いましたが

ブランクを黒にオールペンした塗装ブランクも、130クラスの2ピース竿を黒塗装なら「17,000円」貰ってます

 

本来なら17,000円より手間は掛かるし、塗料も格段に高いので

20,000円でも手間からしたらまったくおかしくないのですが

お客さんの頭にはそんなイメージは無いハズなので、格安の12,000円でオールペン以上の手間のかかる仕上げをしています

このマジョーラ仕上げも、そんなノリなので、もうやめようかと思ってます

 

なぜ、メンドウか???

以下、説明いたしましょう

 

まず、ガイドラップ(巻き)部分もマジョーラの光沢にするには

下巻きのコーティング途中(途中です、下巻きのコーティングが終わってからじゃない)で一度

このようなマスキングをしてマジョーラ塗装をします

この時に、「ガイド下巻き」部分と「ロゴ」部分にマジョーラ塗装がなされます

 

そして、この後に

下巻きの最終コートをします

そうすれば、塗装が露出しないため多少の傷ではマジョーラ塗装に傷はつきません

それはロゴ部分も一緒、最終の層はエポキシコートなのでロゴやマジョーラが直接傷つくことは無いのです

 

コーティング後

 

130シリーズのようなブランク径のある竿はFグリップをテーパー形状にすると

エポキシワンコートだけでほぼ段差が無いくらいになります

 

このあたりもお客さんには見えていません

ショボいシーバスロッドならグリップをある程度テーパーに削ったとしても

そもそもがブランクが細いので、まだ段差がありますが

たとえば130のFグリップの先端付近のブランク径が19mmとします(実際そんなもんです)

EVAグリップは外径が28~29mm程度です

テーパーに「見える」くらいに削るとしたら、細い側はできる限り削らないと、そもそも「テーパー」に見えません

 

何を言ってるか解りますか?

 

19mmのグリップ材は、コレを削ってテーパーにするのです

肉厚薄いですよね?

削ったとしても僅かです

段差を残そうとしたら1mmくらいしか削れません

1mm削ったとしても、マトモに「テーパー」には見えません

 

これが、これまではシーバスくらいのライトロッドは馴染みがあるお客さんなら

「段差」を求めたとしたって

ショボいシーバスロッドやイカ竿のようなブランク径が細い竿なら、こんだけ肉厚があります

テーパーに削った先側にブランクとの「段差」をつけようと思ってもできます

 

だから、130や135などのハイパワーロッドは「元径」自体も細くは無いのですから

「Fグリップはテーパー」としたら、細い側はギリギリまで薄く削らないと「テーパーには見えません」

一応、「テーパー」に見えるでしょ?

 

こんな風に「テーパー」に見えるくらいの形状にしようと思ったら

ロゴ部分にエポキシをワンコート乗せただけでここまで段差は無くなります

でも、ロゴの「節」が無いと「メリハリ」も無くなるので

「節」部分はエポキシを重ね塗りして「メリハリ」をつけます

完成時(特にロゴも節も「同色」の場合は「立体」を強調して「節」にしないと「メリハリ」が効きません

 

下巻きのマジョーラ化を終えたあと

ガイドを乗せて上巻きをします

そして、上巻きのコーティング

 

そしてその「上巻きコーティング」を終えない前に、コーティング途中で再度

マスキング作業をします

こんどはガイドが付いてるので塗装が掛かっちゃいけない部分をすべてマスキングするのは、下巻きの時よりも大変です

 

ガイドはこんな風に

1個1個細かくマスキング

下巻き部分はすでに終えてるし、エポキシが乗って仕上がってますので、今更塗装が掛かっては意味がないので下巻き部分もフルマスキングします

 

ね?

 

たとえば、ブランクのオールペンなら

何も組み立てる前の裸のブランク塗装をバーーっと吹けばイイ

お客さん側としても「ブランク塗ったんだから1万円くらい乗っても仕方ないか」と思えるでしょうが

ブランクはアンサンドなのに「塗装ブランク」よりも高いと「なんで??」となるのです

 

しかし、ブランクを1本まるまる塗装するより、よっぽどメンドクサイでしょ?

 

「フル艶消し」は

「ブランク塗装」もだし、仕上げにフルマスキングで更に「艶消し」塗装です

見た目も「オールペン感」があるので「金がかかる」気がしますが

 

手間からしたら今回の竿のほうが掛かるのです

だって、「フル艶消し」はマスキング1回で済むでしょ?

でも、今回のような竿は2回も「マスキング&塗装」をして仕上げる竿です