よかれと思って進めても・・・<永久保存版> | ぎっちょ31  

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今日の記事は竿を依頼するお客さん側にとっても勉強になる内容も含まれていますので

<永久保存版>としています

 

 

 

先日、「斥候500H」のリメイクの相談のメールがありました

 

その内容は

 

新たに新品をオーダーするには嫁の許可が下りないので

今持ってる斥候500Hの元竿を40cmぶった切って460Hに改造したいのですが可能でしょうか?

そしてDPS-22の「黒フード」はまだ残ってますか?

 

との内容でした

回答メールとして

 

40cmカットして460Hを作ることは可能ですが

フル分解&フル製作になるのでコストが掛かりますよ、と

黒フードはまだあります、と回答しました

 

すると、「黒フード」のキープ依頼と竿を送りますの返事があって

数日後竿が送られてきました

 

高額のフルリメイクだったので、作業に取り掛かる前に一応、見積もりをお知らせします、と連絡して

翌日、見積書をメールしたところ

 

こちらの見積の内容は元竿を40cm短くする見積もりですか?それとも4本継全体を短くする見積もりですか?

と返信が来ました

 

この時点で、あ~このリメイクはキャンセルになるなと思いました

 

そして、返信

4本継全体を短くとはどのような意味ですか?

そもそも4本を少しずつ短くカットなんてできませんよ

元竿を40cmもカットしたらすべて(のこり3本もすべて)を作り替えないとつじつまが合わなくなります

4本すべて作り変えるフルリメイクになります

と回答

 

そもそも

4本継全体を短くというのは、竿を知らない(といっても釣りはしてるワケですから釣竿は身近な物)としたって

じゃあ1本を10cmずつカットしたらどこも合わなくなるのは素人でも想像つくと思います

竿は元~先にかけてしだいに細くなっていく「テーパー形状」

ましてや継ぐ部分は1mm以下の世界で固定されて継ぐ

10cmもカットしたらこれまで固定できてた部分は無くなる短くなった部分は以前止まっていた位置より「径は太くなる」固定できるワケがない

素人だって考えりゃわかるよね

 

ましてや竿というのは

「振出」であれ「継竿」であれ継ぐ部分は互いに15センチくらい補強がされてる部分があるよね?

カーボン素材の巻き方が違うし、余分に巻いてるので少し太くなってるよね?

釣りをしない者なら知らないだろうが、釣りに行く度に竿を触ってる釣人なら竿の勉強しようと思てなくたって日々目にしてるよね

「あ~、やっぱ継ぐ付近は折れたり、口割れしないように補強してんだな」って見て解るよね

そんな部分をカットしたら補強部分も無くなるの、すぐに解るよね

それ以前に先に書いたようにそのカットした部分に継部が合うワケがない、たとえ合ったとしたって補強部分はほとんどカットして消え去ってる

1m50cmずつの4本のブランクがあったとして

竿というのはどの部分で切っても同じではない

そんなの釣りやってりゃ目で見て解ってるハナシ

 

4本全体で短くなんてムリに決まってます

 

じゃあ、元竿(4本目・4番)のケツを40cmカットして460を作るのはできることはできるワケだが

40cmも切るワケです

グリップだってリールシートだって、そもそも元竿のどの部分だって以前とは位置がまったく異なるのはバカでも解る

じゃあ、4番だけで終わるのか?

ガイドはまともに5mあった時のセッティングなワケです

4.6mになった際のガイドバランスにするワケですから1番も2番も3番も作り直して新しい460のガイドセッティングをするワケです

 

これもね、もっと言うなら

1番はそのままで行けるかもしれない

2番も半分はそのままで残り半分から多少ガイドバランスを460に合わせていく

3番はすべてやり直し

・・・などは可能な場合はある

というか大概は可能です

穂先付近なんかそんな違いません

穂先を折った時なんかと一緒ですね

穂先を折った時なんかに自分でDIY修理したり近所の釣具屋のオヤジに修理してもらったらトップガイドと1番ガイドがやたら近く、いかにも「折りました」の不格好な竿を目にすることも多いですが

アレだって折れた位置によってガイドを3つくらい外してバランスを振り分けて再セッティングしたり、2つ外しでよかったり、4つ外しだったりと

折れたからと言っても全ガイド外して再セッティングしなくてもイイワケです

ただ多く外したほうが当然ながらバランスは取りやすいのは説明しなくたって解りますよね?

 

そもそも

最初の問い合わせの回答でフル分解&フル製作になるのでコスト掛かる、とも回答してるワケです

「部分リメイク」とは一言も回答してないワケです

その後のメール打ちあわせでもフルリメイクで高額になるので作業に掛かる前に見積もりしますね、などともお伝えしてるワケです

たとえ、もし、2~3万でリメイクしようと思っていたとしたとしても「え、高額になるの?」、「え、フル分解&フル製作ってどういうこと?」って疑問抱かないのも理解に苦しむ

 

そもそも

一番最初の問い合わせメールで新たに1本作るのは嫁に許可貰えないから40cmカットしたリメイクならできるのか?もうちょっと金だせば新品作れるほど掛かるぞ・・・いろんな人が居るな、でもその3~4万くらいの出費の差は個人差で、OKだったりNGだったりすんのかな??大差ない気がすんだが・・・と思ったものです

 

でね、タイトルの話、本題に進むワケですが

この問い合わせがあった際に

ちょっとオレの老婆心ながらに勝手に進めたことがあったのです

 

まっさらの、おそらくはボロボロに傷んだ「斥候」でもないハズ

それを40cmもぶった切って、5mをムダにして、新品が買えるに近い金だして460を作るくらいなら

見積もり金額の金であらたに新品ブランクから作った460を渡して「え、ウソ!?なんで?5mの竿ツブしてないじゃん2本入ってる」とお客が喜ぶ顔を想像したかったワケです

だから、8万、9万で1本新品を渡そうと思ってたワケですな

オネーチャン落とすには有効とされる「サプライズ」ってやつですな

 

いやね、オレだって慈善事業で竿作ってるワケではありません、「商売」ですので

他のお客さんのオーダーと同じで揃った新品ブランクから1本作るのであればまともな金額貰います

特にコネがある人でもない他のお客さんと変わりない人を特別料金で受けたら差別ですからね

 

でも、今回

実は「斥候」の#4ブランクだけがどういうワケか1本もう何年も在庫があったのですね

普通は部品としてキープするならルアー竿であれ、石鯛竿であれ「#1ブランク」です

石鯛竿は#2ブランクを破損させるような角度にする方がいますので、#1以外としたって#2くらいなもんです

#4ブランクなんて修理用に在庫してませんが、「斥候」の#4ブランクが1本だけずっとありました

 

穂先(#1ブランク)は「斥候」も一応、修理用で在庫してるので

まるまる1本作るのであれば「あと#2と#3さえ作れば1本作れる」と思ったワケです

先月のブランク発注はまだブランク工場は動いてないハズだから・・・今から追加で「斥候#2と#3」入れられるかも!?と判断

お客さんから「竿を送ります」と返事をもらってすぐに「斥候#2と#3ブランク」を先月の注文に追加注文しました

在庫していた、「斥候の#1」と「斥候の#4」

 

ボロボロでもない斥候500Hをツブすのは勿体ない

オレの勝手なサプライズで新品460をフルリメイクの金で提供しようと思ったワケです

あくまで「勝手」ですけどね・・・

「きっと喜んでくれる」と思ったワケです・・・

 

在庫の「斥候#4のみ」なんて使うことなど今後もほぼ無いだろう

だったら別に#4はこんな時にこそタダであろうと役立てたほうがイイ

そんなソロバンも弾いたワケです

 

そして、お客さんが竿を送った連絡の時に

同封した「LCガイド(黒)」は無くなる前にに次にオーダーする時に使う予定で集めてたガイドですが、もう作れなくなったのでお使いくださいと提供する旨の連絡もあっていました

だから新品を1本作るのに「ガイド代」も要らないワケです

#4ブランク代も要らない(サービス)

全ガイド代も要らない(ウチにくれるつもりの黒LCで組めばイイ)

最初に竿を渡す時には「口金」も付けなくて「スレッド巻き」で渡そうとも後で小遣いが浮いた時にでも口金取付はできる(あとからいくらでもできること)

石突きだって竿を渡す時には無しで渡したって、石鯛師なら家に1個や2個の石突きは持ってたりするし(竿が届けば石突き1個くらいどうにかするだろう)

だから「口金」も省く、「石突き」も省く、別に「下巻き」も無くたってまったく問題ないから「下巻き無し」で組んでもイイ

ブランク代だって「#1、#2、#3」の3本のみ貰えばなんとか大丈夫

そうやって作れば、ウチも慈善事業じゃなくたって新品の「斥候1本」渡せる・・・

 

そう踏んだワケです

 

お客さんは、新たに新品竿を頼めるほどの余裕がなくなった環境になったので、これまで使っていた「斥候」バラバラにして「460」にリメイクを依頼したつもりでいる

出来上がった竿が届いて、箱を開封したら・・・「これまでの斥候500H」と「真新しい斥候改460H」の2本の竿が入っていた

 

え!?・・・

 

このサプライズを狙ったワケです

勝手にブランク発注を進めたワケです

 

でもね

見積書を送ったら、#4ブランク(元竿)だけ40cm短く改造したら使えるくらい思ってたんでしょうね

見積書送ったら

「こちらの見積の内容は元竿を40cm短くする見積もりですか?それとも4本継全体を短くする見積もりですか?」

って来るくらいですから

 

「お手数をお掛けしますが竿を送り返してください」とのメールが届きました

 

これまで商売してても時々あることなんですが

オレとしちゃ、「よかれ」と思ってサービスなり気を利かせたつもりなことをするワケですね

でも、それが結構ムダになったりするんです

 

なんだかな・・・(-_-;;;

とよく思います

 

お客の思考回路というか思考の幅というか

それと

オレのほうの思考の幅が合ってないのかね・・・

 

気を回したことがムダになります・・・