強くて太い道糸とワイヤー仕掛けという
ゴツイ仕掛けで挑む石鯛釣り
4~5kgの石鯛をぶら下げても切れる仕掛けではありません
「石鯛釣りの醍醐味」
とまで言われる
「ぶりあげ」(=抜き上げることですね)
どの辺りまで言うのか知りませんが
ここ九州の石鯛師は「ぶりあげ」って言います
石鯛釣りに限らず
イカでも、クロでも
タモやギャフを使わず竿で抜き上げる時は
「ぶりあげた!」って言います
さて
この「ぶりあげ」
「かなり強い竿だから、これくらいの魚ならぶりあげられる」
って思われてる方も多いと思います
でもね
竿を折るときは得てしてそんな時・・・
魚の引きに対処する際の負荷(ファイト中の負荷の掛かり方)と
ぶりあげ時の負荷の掛かり方は異なります
ブランクを設計してる最中
すごくイイ調子の竿ができた、しかし、ぶりあげ時の負荷の掛け方をさせると十中八九折れる
そんな竿がテスト中にできたとします
「市販」させる為に
そのイイ調子を捨て、ぶり上げやたとえありえない使い方をしてもそうそう折れないようなアレンジに変更したとします
なんかもったいないですよね!?
本来の使い方や無理なぶりあげなどしない、本来の使い方さえしていればバツグンにイイ竿が
そこで消えていきます
しかし
「市販」となると
どんな人が、どんな使い方をするかもわかりません
この条件で、イイ竿が消えていく場合もあります
むずかしい部分です・・・
本来
竿って
ファイト中にはそうそう折れるもんじゃありません
例えば
石鯛竿を折るケース
①根掛かりをバシバシしゃくった時
②仕掛け作りやエサ付けの際不自然な方向に穂先を手繰り寄せた時
③仕掛け回収時に巻き込みすぎた時
④ぶりあげ時に魚を自分の手元に持ってきた時
⑤ぶりあげ時に高い足場や堤防など竿を立てないと上げられないようなぶりあげをした時
⑥小さい魚なのでなんの配慮もなく雑にぶりあげた時
特に⑥は
「小さいヤツをぶりあげたら簡単にポキッって逝きました・・・ブランクにヒビでも入っていたんですかね?」
などと聞くことがあります
「大きな魚をぶりあげたから折れる」わけでないし
「魚が小さいと折れない」わけでもありません
負荷の掛かり方がおかしいから折れているのです
「小さい魚」=無意識にぶりあげ体勢や操作が雑になっています
魚を自分のほうに持ってきたり
魚をぶら下げたまま魚の置き場所を探したり
竿は垂直の90度・・・それどころか95度や100度などヘンな角度になってたりします
そんな時にパンッ!!って折れるんです・・・たいがい2番ブランクが・・・
おかしな操作・雑な操作をした時に折れるのが、大概2番ブランクだと言っても
言い過ぎでないと思います
石鯛竿は強い竿=どんな操作をしても折れない
ってワケではありません
あと
アフターが終わり部品ももう出ない竿や
リメイクなどして更にお金を掛けた竿などは
できればぶりあげないほうが無難・・・かと思います
いまだに現役で愛用者の多い石鯛竿
「プレシオ」や「ベイシス」・・・(他にもいろいろ人気竿がありますが)
特にプレシオはいまだにリメイクで預かる率が高い人気竿です
そんな竿も
もう部品は出ません
できるだけ破損させる要因は減らしたほうが無難という考え方もできます
もし、どうしても
ぶりあげたい!
シチュエーション的にもぶりあげ!
などの時は
クレーンのように自分から離れたところに魚を置くような感じ&竿は立てすぎにならない
ように心掛けてぶりあげて下さい
そんなぶりあげをすると、支持点も3番付近で支えてるハズです
ヒラスズキロッドでも
「普段は折れない、まして外道で4~5kgのヒラスを捕ったこともある」
「でもこないだ2kgのヒラのランディング最中に折れました・・・」
ってのは
大概「角度」です
荒れた条件下でやるヒラ釣りは
ランディング中にも、寄せ波&引き波の繰り返しです
クセモノは引き波で
ラインの巻き取り位置は合わせてあとはランディング
ランディングしようとしたら引き波で魚が離れた・・・反射的にロッドを更に立ててor100度とか垂直オーバーにしてでも
寄せようとすると・・・パンッ!って折れます
特にヒラロッドは
強風下でルアーに初速をつけやすいファーストアクションで
高弾性なロッドにアレンジしてる場合が多いです
中低弾性などより粘りが無く曲がりの角度などには敏感です
不自然な角度である限界点を越すと
金属音のような音をたてて折れます・・・
堤防シイラなどで
サイズがデカイとギャフ掛けがお決まりですが
ペンペンだとぶりあげますよね(高すぎる堤防だとできませんが・・・)
その際にも
竿をMAXまで下げて巻き取れるだけラインを巻いて、さあぶりあげ!
その際には
下げたMAX~MAXで竿を立てたスパンのストロークでぶりあげ量を稼ぐ・・・のではなく
できれば竿は0度(水平)~せいぜい50~60度程度までで、あとは人間がしゃがんだ状態から立ち上がるまでのストロークでぶりあげ量を稼ぐ・・・
それでもわずかに届かないなら、その動き内でバネをつけて跳ね上げる・・・くらいの気持ち
で、堤防上までぶりあげましょう
バスは詳しくないですが、バサーの抜きの動きに似てます
ぶりあげ操作に移ったものの堤防上まであと10cm足りない・・・
魚は堤防の角付近のおしい位置でバタバタしてる・・・(-"-;A
竿をMAXで立てて、腕も両腕バンザイ状態で、背伸びしたりバタバタしながらあと10cmを稼ごうと必死
そのうち・・・・・・パンッ!って音立てて折れますよ~~~
微妙に届かないだろうと判断したら、上の要領でハネあげましょう
ウチのOscar Competition 106HHも
たまに
「どれくらいの青物なら抜きあげられますか?」
とか
「2~3kgのヤツなら抜いてイイですよね?」
とか
聞かれる時があります
大型ヒラスやGTまで捕れるので・・・「=強い竿」
ちっこいヤツなんか雑に操作しても折れっこ無い!って思ってる方も居るかもしれませんが・・・
間違いです
大きな魚が捕れる竿は小さな魚では折れない・・・は、間違いです
操作の仕方ではヒラゴ・ヤズでも折れこともありえます
特にウチのOC106HHは弾きを軽減した入りのティップにしています
ガチガチのGTロッドならヒラゴを垂直にぶら下げてもティップはほとんど曲がらないでしょうが
ウチのは曲がります、不自然な角度で曲がれば折れることも考えられます
またベリー~バットにかけては
曲がって粘りのあるトルクを発生するように作っています
パリパリの高弾性を使うと限界付近で一気にパンッ!って折れますが
粘りがあるのでファイト中の操作で高負荷が掛かってもそうそう折れることは無いと思います
幸いなことにこれまで2年間ほどリリースしてきましたが
今のところ「折れました」ってハナシは入ってきてません
「ぶりあげ」って結構奥深いです
大切な竿を壊さない為にも、皆さんご注意下さい(^^)v