560個のヘイが完成しました! | オーストラリアの360万坪の牧場から ~Gibraltar~

オーストラリアの360万坪の牧場から ~Gibraltar~

隣の家まで車で15分。
一番近い町まで車で片道40分。
生活用水は雨水と川の水。
そんなオーストラリアの田舎にある360万坪の牧場を経営しています。
日本ではあり得ない日常の様子をお届けします。

物凄く疲れました・・・。

全てが終わり、体重計に乗ってみると、6キロも体重が減っておりました・・・。



3月8日から始まったヘイ(乾燥牧草)作りの全行程がついに昨日の夕方に終わり、まずは一安心しています。


$オーストラリアの森から ~Gibraltar~



今回のヘイ作りで使用した畑の大きさは6万坪の大きさで、ここに11月に「ミレット」というイネ科の牧草の種を蒔きました。

そのミレットが成長し、穂を作り生えそろったところで刈り取り、乾かし、圧縮して1個300キロの牧草の塊にします。

1つの大きさは一般的なバスタブぐらいでしょうか。

この作業はとにかく天候との勝負。雨が降ってしまうと、質、時間、燃料、手間すべてが余計にかかってしまいます。

なので、刈り取り始める前から1週間以上の天気予報を予測して、仕事に取り掛からなければいけません。

実は、このミレット、収穫のベストタイミングは2月の1週目にありました。しかし、その頃この辺じゃ珍しくずっと雨の日が続き、刈り取る事が出来ませんでした。

そんなに雨が続いたのに、穂が付き熟成しきったミレットは後は枯れる一方で、

ピークが2月の1週目だったのに、刈り取ったのがその1か月後だったから、結構枯れていました。

しかし、冬に草が無くなり、牛が空腹で倒れていった去年の冬を思い出してみると、多少枯れた草でも十分に貴重。

質が悪ければ量で勝負だと自分に言い聞かせてこの10日間プラス思考で頑張りました。

なにせ、畑が6万坪あるので、その畑作業はずっとトラクターに乗りっぱなし。

雨が降らない日に仕事をしなければいけないので、砂埃と牧草の屑でトラクターの中でも環境は最悪。

広く平らな畑を時速4キロとか6キロでグルグル毎日周っていると、口ずさむ歌もネタが尽きてきます。

そのうち段々疲れてきて、口を開けるのも面倒になり、だんだんボケーッとしてきて、

畑の中なのに角を曲がる時にウインカーを出してしまったりする事もあるほど体力は消耗しました。

また、ベストタイミングを逃した事から始まり、常に空回りしっぱなし。

川は降り続いた雨で増水して、トラクターも機械類も流されるリスクを伴いながら深い川を強行突破しなきゃならなかったし、

そのトラクターの故障も多かった。応急処置じゃ済まない程のガソリン漏れ、オイル漏れ。

他の機械も同じように色々な所が不調でした。

最後の最後には最後の仕上げで一番重要な部分を操作する操縦席の部品がボキっと折れ、

物凄く操作性が悪いまま最後の仕上げを行うというものでした。

タイトルで既に言っちゃっていますが、総収穫数は560個(約160トン)で、他の畑で作ったヘイも合わせると、700個のヘイを今年作成しました。

空っぽだったヘイの収納庫も満タンになり一安心。


$オーストラリアの森から ~Gibraltar~


他の畑のヘイ作りの時もそうなのですが、この全行程で一番大変なのが、畑に散らばったヘイを回収する事。

トラクターの先に大きなフォークを装着して、1個ずつ突き刺して持ち上げてトレーラーに載せて運ぶ。

最大で3つしかトラクターは持ち上げられないし、トレーラーには24個しか載せられないので、時間が物凄くかかる。

回収したヘイを屋根の下に積み上げるのですが、これも慎重に行わないと崩れてグチャグチャになったり、雨ざらしになるので慎重に行う。

分かり辛いと思いますので簡単に説明しますと、

6万坪の敷地にバスタブが560個バラバラに散らばっていて、それをトラクターで1個ずつ回収して他の場所に移す。移し終えたらテトリスのようにキレイに積み上げる。

24個のヘイを集めてトレーラーに載せて小屋に移すのに掛かる時間は約2時間。

これでは終わらないと、今回は特別に妻に小さなトラクターに乗ってもらい2人で回収作業を行いました。

妻はひたすら畑をトラクターで周り、1個ずつ回収して24個ひとまとめにする。

僕は24個をトレーラーに積み込み移動し、小屋の中へ収納する。

これを分担してやっても、まる2日かかりました。初日は朝6時から夜9時まで。次の日は朝6時から夕方4時まで。ずーーっと同じ作業の繰り返し。

ちなみに、丁度土曜と日曜に作業が重なった為、子供たちは学校が休み。

しかし、この畑は家から離れているので家に子供を置いてくわけにはいかない。

なので、畑の隅の日陰に車を置いて、お菓子やジュースやゲームや漫画を子供に与え、天国状態にしておいて親は作業。

視界の悪いトラクターの作業なので、可哀想ですが、一歩も外に出るなと子供に言い聞かせて親は仕事。

家族全員で大変な思いをして作ったヘイを牛に与えるのは冬の3か月間。

これだけ頑張って家族で作ったヘイなんだから、どうか去年のように牛が死なない事を祈ります。

刈り取りのピークを過ぎた少し枯れたヘイだけど、愛情だけはタップリ入ってるはずです。

$オーストラリアの森から ~Gibraltar~

それでは、これから冬の牧草の種まきに行ってまいります・・・。

では!