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『冬吾さん!』


『なすて戻ってきたァ?!このほんずなす! 亨は!?』


『防空壕におる。大丈夫!』


『なすて戻ってきたァ!?』


『ほいだってほっとけんよ冬吾さんが心配で!』


『おれの事なんかどうでもいい!』


『わたしは冬吾さんに死なれたくない!ほいだって冬吾さんは!』


『……冬吾さんは”笛ねえちゃん”の大事な人だから!』


『わたしのいのちに替えたっていい。”笛ねえちゃんのおらん時に” 冬吾さんを死なせるわけにはいかん!絶対にいかん!』

 

 

(有森桜子/杉冬吾 第131回 - 132回)
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米陸軍航空隊の戦闘機と、それに続くB-29爆撃機の編隊による岡崎への空襲は、史実では7月19日から20日にかけてだそうですから、この物語でも、時期的に、この日付だと思います。
 

昭和20年7月19日夜からの冬吾さん、亨ちゃん、桜子さんの足取りは


群集の中、3人で防空壕に向かう→東京大空襲で足を負傷している冬吾さん、亨を桜子さんに託して『先に行け』→2人は先に防空壕に到着。→冬吾さん、群集の中大八車に松葉杖をへしおられ、身動きとれず。しばらくして桜子さん、冬吾さんの到着が無い事に、亨ちゃんをその場の人に預け、おもわず防空壕を飛び出す。
 

そして、桜子さん、神社の前でへたばる冬吾さんを見つけて、上記の場面。
 

でもこれ、よくよく考えたら、

この場面を観返しているうちに、ちょっと、まさかこれ、『わたしのいのちに替えたっていい』って、まさか、桜子さんに本気で言わせているんじゃ?


 

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わたしは、少々感傷的にですが、せめてそこは”笛姉ちゃんの大事な”じゃなくて、もっと別の人の名前を一人称単数形で言わせてやろうよ、と。じゃないと、これじゃしんでもしにきれないよ…

しかもおかげで、”笛ねえちゃんのおらん時に”などど回りくどいこと言わされるし、この大変な時に…


いやいやいや。やっぱりそれは無い。放送数週前分前位の桜子さんなら、その一人称単数を、一片の迷いもなく叫んでいる事でしょう(※追記参照)。だがしかし。この時点の桜子さんだから故に、桜子さんの冬吾さんへの想いが故に、しかも、それがすでに冬吾さんにも伝染していて、想いが通じるものだから。


桜子さんは、一瞬声に出かけたものの、その想いが、募れば募る程に、それに比例して絶対に言えない。


それで、言えない自分が、ただ悔しくて勢いあまって、『わたしのいのちに替えても』と叫ばせたのか。


いやいやいや。ただ悔しいからでも勢いでも無い。だって、防空壕を飛び出している時点で、もうしぬきまんまんじゃあないですか。


桜子さんにとって、達彦さんが”逝って”しまい、おかあさんも亡くなって、さらに冬吾さんまで逝ってしまったら、今度こそ、再起不能の精神的完全終了になる。だったら、わたしはもう、わたしの想い人が、もし、わたしのいのちに替えれば生きられるのだとしたら、私は物理的に終了してもかまわない、という事ですよ。なんて恐ろしい事言わせるんだ演出の人も脚本のお方も…。


桜子さん、東京大空襲の際に、一度、空襲がどんなものか、というのがわかっているはずですよ。

 

(先頭に戻る)

 

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ああ、どっちに転んでもおそろしい。

 

 

そして降りそそぐ焼夷弾が吐き出す火焔にとっさに身を庇い屈みつつ抱き締め合う二人…

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『…亨ちゃんのところへ帰ろう。』


(有森桜子 第132回)


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ううん、この…


ところで。わたしは、はからずも、岡崎の空襲が始まる夜空のシーンで、夜空にきらきらと輝く大量のものが降り注ぐのを見て、きれいだなあ、と思ってしまった。まるで花火が一面に降り注ぐ、その夜空の美しさに。


史実でも日本本土空襲では、軍属にも増して大勢の市井の人たちが亡くなりました。幸い、当時小さい子供だった私の両親は無事でした。じゃなきゃわたしはこの世に生まれてないので。

わたしの父は空襲食らったらしいです。母は田舎生まれから良かったけど、その代わり、”8月6日の朝”に”地震”を経験している。


この世に生まれ出るはずだった方々も、沢山いたんだろうなあ。


焼夷弾。あれは日本を効率的に焦土にする為に組織的に開発されたそうです。もうね、日本家屋を効率的に燃やす、っていう時点で、もうハーグ陸戦協定ガン無視の恐ろしさですよ。これを考案した某少将(当時)が『もし米軍がかりに日本に負けていたとしたら、私が真っ先に戦争裁判にかけられるだろう』みたいな事を言っているのだから。こいつ、狙ってやってますよ。


えっ?て方。 M69焼夷弾 でググって。

 

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ああごめんなさい。本雑記をこんな最後で終えたら寝覚めが悪いですよね。
なんとか頑張って、もう少しだけ。


空襲から生還し、無事を確認した3人は帰宅。その夜明け前。ピアノの前で。もはや想いが溢れ出るのをせき止められなくなった桜子さんは...

 

(つ、つづく)


 

ごめん、これ以上は、おれにはもぅかげねぇ。という事で…

 

そこで、お詫びかたがた、最後にですが。この、一連のお話は、もう少し先の未来の、一つの区切りを迎える為の集大成へと導く重要な場面だと思いますので、その時にまた記述してみたく思います。

 

さて続きはぜひ本編で。NHKプラス(無料)もあるよ。

それでは!

 

(つづく)

 


追記: 今回これ書いている最中に、ふと思い出して、あの東京大空襲のがれきの場面にもどってみたら、さすがは桜子さん、こちらがぶっ飛ぶ程の清々しい直球で冬吾さんに向かっていました。

 

ウソだろ!と思われる方はこちらへ↓
『そんなこと言わんでよ意気地なし!』(純情きらり第20週120回-第21週121回)