達彦さんを戦争神経症から開放出来るのは、天下広しといえど、桜子さん以外いなかった、という事についてです。
前回やっちゃったあれの件で達彦さんから秒で追い出された桜子さん(本ブログ第23週137回で述べています)。その後、その話が杏子さん経由で、夫の浩樹さん(元戦争神経症)に届く。
『なにか戦場であったはずだ』→浩樹さん、一大覚悟で山長の達彦さんを訪問するが、『これ、どなたかの遺品ですか?』がNGワードで轟沈。
浩樹さん、桜子さんへ報告『戦死した仲間の事を気に病んでいるらしい。遺品を家族に渡しそびれているんだ』『帰ってきててから、一度だけ外出していたっていうんだな。仙吉さんが言うには、豊川に行って来たって。多分そこに戦友の遺族がいるんだろう』→桜子さん。『豊川のどこですか?わたし行ってきます!』
→桜子さん、豊川の若山家にて『弟さんは、19年の補充隊の所属ですよね』→桜子さん、若山さんのお姉さんに、達彦さんと会ってもらえる様 話をつける。
なんなんだ一体!。
仮に、浩樹さんか仙吉さんが若山家の住所をまでつかんでいた(のか?)としても、桜子さん、そこからどうやって19年の補充隊が出てくるのかって。凄いよ、どうやって調べたんだよ凄いよ!
しかも、すかさず若山家に直行し、話つけて帰ってくる。まさに、先天性思いたったら直線番長!
しかし、ここでもう一つ難関が。それだけでうまくいきゃ苦労しない。いままでの桜子さん、直線番長の果てに割とちょくちょく失敗してません?
例えばこれとか↓
そもそもこの前回(137話)もやっちゃったし。
さあ、桜子さん、窮地に立つか!?
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『達彦さん。』
『若山さんのお姉さんに会いに行こう。』
『会いに行こう一緒に。』
『…きみには、関係無い…ほっといてくれ。』
『ほっとくわけにはいかん!、このまま…達彦さんを一人にしておくわけにはいかん。』
『逃げんで!』
『何があったのか、ちゃんと話して!』
『…きみに何がわかる?!戦地に、、あそこにおらなんだ人間に何がわかる!』
『わたしだって苦しんでた。戦争中、あなたがおらん事に苦しんであがいておった…全部話して…私なに聞いても驚かんから。』
(松井達彦/有森桜子 第138回)
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第11週以来の『逃げんで』ファンのわたしですが、今度の、逃げんで、は、やばい。
達彦さんの戦争神経症は(追記参照)、それは桜子さんにも、別の形であったわけでしょう。
経緯は、本ブログの第20週119話の所で検証してきましたが、あの精神的終了状態から、さらに2度の空襲での文字通りのいのちのやりとりを経て、そしてさよならを越えた、その、幸か不幸か、彼女の苦しみとあがきが、ついに達彦さんをふり向かせた!
戦争神経症患者にガン飛ばす桜子さんも大概のもんですが、これ、だからこそ、彼女以外には、他の誰にも出来ない芸当ですよ。
桜子さん、前回のあれをやってしまって、痛恨のミスを犯した事に気が付いた。自分は乗り越えてきたけど、達彦さんはまだ周回遅れだった。
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『なんだか、おかしかった。今日達彦さんが、えらく遠くに見えた。近くにおるのに、えらく遠くに』
(有森桜子 第136回)
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そこで桜子さん、全速力で逆走し、達彦さんのそばに寄り添いガン飛ばす。
達彦さんへ寄り添う桜子さん、続きます。
(つづく)
追記:
歩兵第18連隊と岡崎空襲 (純情きらり第22~23週以降相当分)
史実の豊橋の連隊の足取りはこちらに記しましたが、連隊主力の最後の命令である”軍旗奉焼”、つまり、『玉砕セヨ』。これは、私が誤記した昭和20年ではなく、正しくは、昭和『19年の』7月末です。記事の方は訂正しておきました。私の間違え、誠に申し訳ありません。お詫びいたします。
どうも若山さんのお姉さんのセリフ『昨年の6月に戦死しました』が頭に残っていたので。じゃあそれでは、脚本のお方が間違えたのか、というと、いや本当に若山二等兵の戦死が昭和20年の6月だとすると、それはそれで、およそ物凄い事になるのです。
もしそうだと、松井兵長と若山二等兵は連隊主力ではなくて、先にサイパンで全滅した第一大隊所属では、という事になります。ところで軍隊での”全滅”の定義は、組織的戦闘力を喪失した状態、という事だそうなので、いくばくかは生き残る事はあるそうです。で、史実の場合は、なんと、年を超え、さらに、終戦後の昭和20年11月まで、その生き残りがゲリラ化して遊撃戦を展開。
史実では、タポチョの戦い。映画『太平洋の奇跡 ‐ フォックスと呼ばれた男』の基になった戦いですが、もし松井兵長が昭和20年11月までゲリラ戦を戦っているとすると、そして仮に武装解除後すぐに帰還できたとしたら、昭和21年2月というのは符牒があうという…ううう。
で、もしそうだとすると、若山家訪問の後の川辺で…
桜子さんが達彦さんに寄り添ったあの言葉は…米軍が当時日本の委任統治領だったサイパンを占領して(つづく)。