この建物に入っている家のほとんどは大家一族のものなんです。実際私の家は大家の家の横にあったんですが。これは大家が娘が結婚した時用にと購入し、結婚するまで家をあそばせているのがもったいないってんで貸しに出されてたんです。
だから家の中の改装工事はまだ行われておらず。この家の外見は私が住んでいた家の中で一番いいんですが。中は一番最低でした。
でも。立地がものすごくよかったし。何より他の家を探すのが面倒で、ここに住んでいたんです。
でも。立地がものすごくよかったし。何より他の家を探すのが面倒で、ここに住んでいたんです。
私の家には4部屋あり、5人が住んでいました。私、イタリア人、大家のところで働いている家政婦さんはそれぞれ個室を持っていて。後の1部屋にはイタリア人が2人住んでいました。
その中の1人の19歳の女の子。私は彼女が…イタリア人的に言ってしまえば、嫌いでした。
その中の1人の19歳の女の子。私は彼女が…イタリア人的に言ってしまえば、嫌いでした。
初めはそうでもなかったんだけど。彼女が男を連れ込むようになってから、ものすごいストレスがたまってきたんです。
ある朝起きて。パジャマのまま台所に行くと。見知らぬ男の人がパジャマでいるわけ。…これって、かなり嫌です。
19歳の子は、同室の子が週末などに実家に帰っていないとき、彼を泊めるようになり出したんです。
19歳の子は、同室の子が週末などに実家に帰っていないとき、彼を泊めるようになり出したんです。
私。初めはこの彼、彼女のお父さんだと思っていたの。だって…40は軽く超えてるんですよ。
だから。たまたまナポリに仕事か何かできて、そのまま泊まっていったのかなって。これならまだ許せたんだけど。どうやら…付き合ってるみたいで。
だから。たまたまナポリに仕事か何かできて、そのまま泊まっていったのかなって。これならまだ許せたんだけど。どうやら…付き合ってるみたいで。
この泊まっていくってこともかなりうっとうしかったんだけど。何より私をイライラさせたのは彼らのケンカ。
直接だろうが電話でだろうが、彼女がとにかく叫びまくる。そして泣きまくる…。
直接だろうが電話でだろうが、彼女がとにかく叫びまくる。そして泣きまくる…。
しかも。彼女は部屋をシェアしていたため、1人きりになれる場所ってバスルームしかなくて。電話でケンカするときは必ずバスルームにこもるわけ…。
私の部屋はバスルームの真横で。しかも叫びまくってるから嫌でも会話が聞こえてきて…。
私の部屋はバスルームの真横で。しかも叫びまくってるから嫌でも会話が聞こえてきて…。
「エンリコ、何言ってるの!」
「エンリコ、私そんな事言ってないでしょ!」
「いい加減にしてよ、エンリコ!」
「エンリコ、私そんな事言ってないでしょ!」
「いい加減にしてよ、エンリコ!」
…私このせいでエンリコって名前が嫌いになったほどでした。
で。長い長い彼とのケンカが終わった後。バスルームの中で大泣き…。
初めのうちは。トイレに行きたくても我慢してたんだけど。いつまでも我慢できるはずもなく。
仕方がないからノックしてトイレに行きたい旨を告げて…。
初めのうちは。トイレに行きたくても我慢してたんだけど。いつまでも我慢できるはずもなく。
仕方がないからノックしてトイレに行きたい旨を告げて…。
ってかトイレって共有の場所でしょ?何で私が、出て行ってもらうことに対して罪悪感を感じなきゃいけないわけ!?
こういうことが何度も続いていって。私は彼女に対してかなりイライラしていたんです。
そんなある日…。
そんなある日…。
彼女にこんなことを頼まれました。
「今日お姉ちゃんが来るんだけど。お姉ちゃんに見せたくない携帯があるのよ。後で渡すから預かってくれない?」
これぐらいならまぁいいかと思って。いいよって言ったんだけど。
いつまでたってもその携帯を渡しに来ない!
やっと来たのは夜遅くなってから。
いつまでたってもその携帯を渡しに来ない!
やっと来たのは夜遅くなってから。
その後。よく分からないけどお姉ちゃんと怒鳴りあいの大喧嘩しだして。次は電話でお母さんとの大喧嘩…。
寝れない…。
寝れない…。
で。次の日。朝早く、私がまだ寝ていたときに「携帯返して」って起こされました。
しかもその夜。9時ごろ。
勉強していたら、ノックもなしにその子が部屋に入ってきて。ノックぐらいしろよ
ってイラってきてる私(←嫌いだからちょっとしたことですぐに腹が立つ)に対してまくし立てるの。
勉強していたら、ノックもなしにその子が部屋に入ってきて。ノックぐらいしろよ
「あのね、今から男の人が来るけど、何も心配ないから。いい?」
…意味、分かります?
彼女が来る直前に玄関の方で音がしてたから、誰かが来たんだろうなってのはわかってて。こんな時間に?とは思ったけど、部屋の修理をする人か誰かが家を見に来たのかと思ったの。だって、わけわかんないじゃない…。
彼女が来る直前に玄関の方で音がしてたから、誰かが来たんだろうなってのはわかってて。こんな時間に?とは思ったけど、部屋の修理をする人か誰かが家を見に来たのかと思ったの。だって、わけわかんないじゃない…。
彼女が出て行くと、入ってきたのは例のエンリコでした。
ものすごくあせっていて。部屋に入るなり鍵をきっちり閉めて。
ものすごくあせっていて。部屋に入るなり鍵をきっちり閉めて。
私の部屋には窓が2つあったんだけど。そのうちの1つに近づいて、このクソ寒いのに窓を開けだして…。
私、みるまに腹が立ってきました。彼女の行動といい彼の行動といい。ものすごく失礼じゃないですか?
私、みるまに腹が立ってきました。彼女の行動といい彼の行動といい。ものすごく失礼じゃないですか?
何か言うべきか無視し続けるべきか悩んでいたら。
彼は窓を閉め、もう1つの窓に近寄って、その窓も開けだして。
彼は窓を閉め、もう1つの窓に近寄って、その窓も開けだして。
そしていきなりこんなことを言い出しました。
「俺、ここから出て行くから後でこのコート渡してくれる?」
…は?
えっとですね。彼女は私に事情すら説明しないし。私もわざわざ聞きたくもなかったので、これはあくまで想像なんですが。こういうことだったと思うんです。
彼らは不倫をしていたか、若しくは年の差がありすぎるってことで家族に付き合いを反対されていて。前日に渡された携帯も彼専用電話か何かで、だから家族に見つかりたくなかった。
で今日、彼が家にいるときに彼女の家族か、結婚しているのであれば彼の奥さんか、とにかく付き合いを反対している人が乗り込んできた、若しくは乗り込んでくることが分かった。
だからあせって私の部屋に避難してきた…。
でも避難してきただけじゃ不安だから、窓から出て行くことにした…。
で今日、彼が家にいるときに彼女の家族か、結婚しているのであれば彼の奥さんか、とにかく付き合いを反対している人が乗り込んできた、若しくは乗り込んでくることが分かった。
だからあせって私の部屋に避難してきた…。
でも避難してきただけじゃ不安だから、窓から出て行くことにした…。
私の家は2階にあって。1つ目に彼が開けた窓の下には、1階の窓のところに庇がなくて。2つ目にはあったんですね。
だから、彼は窓を乗り越えて。手をプルプルさせながら窓枠につかまり、何とか庇の上に乗って。そこから地上へと飛び降りたんです。
だから、彼は窓を乗り越えて。手をプルプルさせながら窓枠につかまり、何とか庇の上に乗って。そこから地上へと飛び降りたんです。
私は彼にコートを投げてあげただけじゃなく。彼が残していったカバンを2つ、言われたとおりにタンスの中に隠して…。
なんで全く関係のない私がこんなことしないといけないんだ!ってかなり腹が立って。
19歳の子に怒ろうと思ってたんです。
なんで全く関係のない私がこんなことしないといけないんだ!ってかなり腹が立って。
19歳の子に怒ろうと思ってたんです。
だけど…。
いい年した男が、窓から逃げていく姿。映画なんかでよくあるシーンだけど。まさか自分が実際にそれを見るとは…。
でもこれ、ものすごく無様です。これを見ていたら、人事ながらあまりに情けなくて。怒る気が失せたというか…。
いい年した男が、窓から逃げていく姿。映画なんかでよくあるシーンだけど。まさか自分が実際にそれを見るとは…。
でもこれ、ものすごく無様です。これを見ていたら、人事ながらあまりに情けなくて。怒る気が失せたというか…。
ただ。もう二度とこんな頼みは聞かない、って思ったんです。
だって。ここまで人を巻き込んどいて、ですよ。だいぶしてからやって来た彼女。全く心のこもっていない「アリガト」を一言言っただけなんですよ…。謝罪の言葉一切なし。
だって。ここまで人を巻き込んどいて、ですよ。だいぶしてからやって来た彼女。全く心のこもっていない「アリガト」を一言言っただけなんですよ…。謝罪の言葉一切なし。
数週間後。
また彼女がやって来て。「このカバン、あなたの部屋に置いといてくれない?」って。…エンリコのです。
断ろうと心には決めていたんですが。カバンだけだし、何よりやっぱり本人を目の前にすると断りにくくって…(何だかんだいって一緒に住んでるわけだし)。
また彼女がやって来て。「このカバン、あなたの部屋に置いといてくれない?」って。…エンリコのです。
断ろうと心には決めていたんですが。カバンだけだし、何よりやっぱり本人を目の前にすると断りにくくって…(何だかんだいって一緒に住んでるわけだし)。
「いいけど…この前みたいなのはもうごめんだからね」
こう言うと彼女。
「この前?…ああ。ははは」
…ははは、じゃないだろ!!
やっぱり私、この子嫌い。
やっぱり私、この子嫌い。

