以前、食道がんおよびその肺転移のための手術、抗がん剤治療、あるいはその前後に発症した気胸や腸閉塞、それらのために何度も入院しました。
しかしいずれも2週間から3週間程度の入院を何度も繰り返したというものでした。
今回は違います。
この結核、アスペルギルス治療のために、もう3か月以上の入院を余儀なくされています。
3か月。
しかも隔離病棟ですから外に出ることもできません。
以前の入院の際は外に出ることができました。
しかし実際にはしませんでした。
できるけどしなかった。
しかし今は許可されないわけです。
出たくても出られない。
精神的にこの違いはとても大きいのです。
3か月も入院していると多くの人が退院していくのを目の当たりにします。
私よりも後から入院して先に退院していく人などざらにいます。
嬉々として退院していく人を見るのは、退院の目途も経たない身にとって、正直、辛いものがあります。
結核だけならそのうち出られるという希望が持てるのですが、アスペルギルスを抱えているとまったく退院の目途がたたない。
寒い寒いクリスマスの前に入院したのに、今はちらほらと桜が咲き始めている。
まあそういうわけで、3か月も入院しているといろいろな患者さんを見てきました。
つれづれなるままに、興味深い患者さんやその他病床で見たり聞いたりしたことを書き綴ってみたいと思います。
1.電話する外国人
入院してみると意外に外国人がいることに気がつきました。
確かに、外国人も結核に罹って不思議はない。
感染を防止するためには外国人であっても隔離しないといけません。
たぶん公費で入院なのでしょう。
日本国内での感染を防止するために公費で外国人の結核を治療してあげるわけですね。
ちょっと考えてしまいます
外国人とまとめてしまいましたが、具体的には中国人、ベトナム人、ペルー人です。
特に中国人は何人もいるようです。
全員とはいわないのですが、彼らはよく電話をします。
一応ルールは守って病室で電話することはないようなのですが、電話が許可されている場所で長い長い電話をします。
電話ではなくZOOMを使ってテレビ電話みたいなこともしています。
わかりやすい人は一日中、電話しています。
それだけならいいのですが、大声で(日本人の感覚からすると)会話します。
相手方の声もスピーカーから流したりするのですが、それも大きな音で流すものですから、話す声、聞く声、双方が入り混じって、正直たいへん耳障りです。
はっきりいってうるさいです。
偏見と言われそうですが、これが耳触りのよいフランス語とかであればそうでもないのかもしれませんが、すぐそばで中国語やベトナム語でがなり立てられると勘弁してくれよという気持ちになります。
考えてみれば外国人である彼らは日本人の患者と違ってヒマをつぶす手段が少ないということがあるのかもしれず、あるいは同情すべき点があるのかもしれません。
しかしそこは、郷に入らば郷に従え、とも言います、おそらく彼らも自分が浮いてしまっていることに気がつかないはずはないと思うのです。
私はナショナリストではないつもりですが、確かに将来にわたって移民をどんどん受け入れていくと難しい問題が出てくるのだろうなと考えさせられるところです。