原作 は同名の小説『関心領域』(作/マーティン・エイミス)。

 

第76回カンヌ国際映画祭でのグランプリ、FIPRESCI賞を始め、多くの映画祭で高い評価を得た。

 

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

目の前で繰り広げられる、80年前の異常な日常。

麻痺しつつある違和感が心身を蝕んでいく様子を、108分間、俯瞰する意味とは何か。

 

 

ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデルさん)、ヘートヴィヒ・ヘス(ザンドラ・ヒュラー)はもちろん、キャストのみなさんから、美術、音楽、映像、演出に至るまで、徹底的に磨き上げられた乾いた視線が観る者を射抜くようだ。

 

 

素直な感想を言えば、不気味で、居心地が悪く、後味は最悪。

おそおらく、それはきっと自分の心を覗き込んだからだろう。

 

過去の忌まわしい記録の断片を眺めていたはずのこちら側が試されていることに気づかされる。

 

現在、私たちが生きているこの世界は、そのときと何が違うのか。

今この時も、ありふれた普通の生活のすぐむこう側(ウクライナ、中東…etc)で殺戮は同時進行している。

 

 

それぞれの「関心領域」の吟味が必要なのかもしれない。

 

 

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

まさに、「今」を切り取ったような物語。

 

 

知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒がネット社会の闇を吸って成長し、誹謗中傷やフェイクニュースがいつのまにかリアリティを持ち、悪意のスパイラルが生成されていく。

 

だからこそ、そんな危うい世界でこそ成立する商売めいたものが無数に蠢いていて、当然詐欺や、闇バイト、インチキまがいの誘惑など、金に群がる悪意が棲まう。

 

 

主人公吉井(菅田将暉さん)の「転売屋」もそんな業種のひとつ。

 

 

個人的には、最初から最後まで、ほぼ共感できない展開に逆に驚く!

私は、かなり時代からズレて生きているのだと気づく(;゚Д゚)

 

 

確かに、物語はアリがちな展開だし、実際似たような事件もあるだろう。

 

勢いはあるが粗い筋立て(その闇の中で生き抜くにはそのくらい大雑把の方がいいのかもしれないけど)で、映画も最後までコチラ側には響いてこない  ̄▽ ̄;)。

…というか、それまでギリギリの預金残高から、一回600万程度の利益で踏み出せる稼業なんだと驚いた。

 

 

それでも、吉井はもちろん、秋子(古川琴音さん)、佐野(奥平大兼さん)、滝本(荒川良々さん)、村岡(窪田正孝さん)から、三宅(岡山天音さん)や謎の男(松重豊さん)まで存在感抜群のキャストを揃えられて、最後まで楽しんでしまった。笑。
 

 

 

必要な時にだけ現れる実体のないサービス、まさに雲を掴むような話(;゚Д゚)

映像制作プロダクション「新世界合同会社」(豊原功補さん、小泉今日子さん、水野優子さん、外山文治さん、森岡龍さん)による第1回プロデュース作品。



 

 

「ソワレ」(仏)は「陽が暮れた後の時間」「夜会」、もしくは劇場用語「夜公演」という意味。

プロデューサーの豊原功補さんは「誰もが心の底に秘めた癒えることのない痛みや大切な思いを、夜会を意味するソワレに封じ込めて、次の朝にまた新たな一歩を迎えて歩き始める」というメッセージを込めたと語る。

 

 

(ネタバレ含みます。御注意!)

 

 

きっかけはともかく、途中からはほとんど子どもが駄々をこねているような祥太(村上虹郎さん)とタカラ(芋生悠さん)の逃避行なのに、ふたりの魂を磨き上げるようにして物語を動かしていく演技に捻じ伏せられた気がする。

それぞれの過去や心の揺れを丁寧に積み上げていき、濃密な想いが匂い立つような後味に酔った。

 

若手でも群を抜く存在感の村上虹郎さんは好きな俳優さんのひとりだが、そんな彼とがっぷり四つ以上に取り組んでみせた芋生悠さんに押忍 m(__)m

 

 

正直に言えば、物語の骨格はともかく、細部はかなり粗い。

最初は救急車を呼ぼうとしていた祥太がタカラを連れて逃げるし、血まみれで祭りの雑踏を駆け抜け、電車に乗り込むし、盗んだ自転車で二人乗りや不法侵入などを繰り返すなんて、いくら田舎でもちょっとやりたい放題過ぎる。

直情的なやるせない思い(最初は祥太は恋のかけらも無い)の果ての言動にしても、祥太の稚い虚勢に共感は難しいし、わざわざ破綻へと向かっていくふたりを見ているのが辛い(;゚Д゚)

 

 

ただ、映像は磨き上げられている。

 

並んで海を眺めるふたり(心象的挿入は必要?)

廃校の寄せ書きに自分の名前を書き込むタカラ

ビニールのホースからあふれる水

海を見下ろす神社の石段で手摺に寄りかかるタカラの後ろ姿

幻の舞台へと向かう、浅い池の上を素足で渡っていくタカラ

祥太が塗ってくれた、ピンクのマニュキュア

取り押さえられた桟橋通路の外、ただ、たゆたう海。

 

情感たっぷりの美しい映像が祥太とタカラの揺れ動く心模様を丁寧に掬い取っていて見惚れた。

 

 

もちろん、祥太は受け子の罪を償ったのか、タカラはどのように裁かれたのか、祥太はまたタカラを見つけることができるのか、余白も多い。

 

 

それでも「ソワレ」が終わり、いつかは明ける空を感じさせてくれる最後の余韻は、かなり私の好み( ̄▽ ̄;)

東京公演も配信で観た。

それがロンドンではどうなるのか。

興味深々。

 

 

 

 

正しい三角関係が成立するのかどうか、果たしてこの三人が正しい三角関係なのか、私には分かりようもないが、やはり今回も面白かった。

 

4回のカーテンコールとスタンディングオベーションが、彼の地の熱狂を示している。

やはり舞台は共通言語(´;ω;`)

 

 

松本潤さん、長澤まさみさん、永山瑛太さんに野田秀樹さんを加えた最後のトークがまた素敵で、これだけでも観る価値がある。

 


奇しくも先日、NODA-MAP 25回公演『Q』:A Night At The Kabuki 東京公演(東京芸術劇場プレイハウス 2022.8.23)で購入した公式パンフレットをようやく読んだ。

 

 

 

 

「野田秀樹」という演劇的存在にため息するばかり( ̄▽ ̄;)