映像制作プロダクション「新世界合同会社」(豊原功補さん、小泉今日子さん、水野優子さん、外山文治さん、森岡龍さん)による第1回プロデュース作品。

「ソワレ」(仏)は「陽が暮れた後の時間」「夜会」、もしくは劇場用語「夜公演」という意味。
プロデューサーの豊原功補さんは「誰もが心の底に秘めた癒えることのない痛みや大切な思いを、夜会を意味するソワレに封じ込めて、次の朝にまた新たな一歩を迎えて歩き始める」というメッセージを込めたと語る。
(ネタバレ含みます。御注意!)
きっかけはともかく、途中からはほとんど子どもが駄々をこねているような祥太(村上虹郎さん)とタカラ(芋生悠さん)の逃避行なのに、ふたりの魂を磨き上げるようにして物語を動かしていく演技に捻じ伏せられた気がする。
それぞれの過去や心の揺れを丁寧に積み上げていき、濃密な想いが匂い立つような後味に酔った。
若手でも群を抜く存在感の村上虹郎さんは好きな俳優さんのひとりだが、そんな彼とがっぷり四つ以上に取り組んでみせた芋生悠さんに押忍 m(__)m
正直に言えば、物語の骨格はともかく、細部はかなり粗い。
最初は救急車を呼ぼうとしていた祥太がタカラを連れて逃げるし、血まみれで祭りの雑踏を駆け抜け、電車に乗り込むし、盗んだ自転車で二人乗りや不法侵入などを繰り返すなんて、いくら田舎でもちょっとやりたい放題過ぎる。
直情的なやるせない思い(最初は祥太は恋のかけらも無い)の果ての言動にしても、祥太の稚い虚勢に共感は難しいし、わざわざ破綻へと向かっていくふたりを見ているのが辛い(;゚Д゚)
ただ、映像は磨き上げられている。
並んで海を眺めるふたり(心象的挿入は必要?)
廃校の寄せ書きに自分の名前を書き込むタカラ
ビニールのホースからあふれる水
海を見下ろす神社の石段で手摺に寄りかかるタカラの後ろ姿
幻の舞台へと向かう、浅い池の上を素足で渡っていくタカラ
祥太が塗ってくれた、ピンクのマニュキュア
取り押さえられた桟橋通路の外、ただ、たゆたう海。
情感たっぷりの美しい映像が祥太とタカラの揺れ動く心模様を丁寧に掬い取っていて見惚れた。
もちろん、祥太は受け子の罪を償ったのか、タカラはどのように裁かれたのか、祥太はまたタカラを見つけることができるのか、余白も多い。
それでも「ソワレ」が終わり、いつかは明ける空を感じさせてくれる最後の余韻は、かなり私の好み( ̄▽ ̄;)