井上荒野さんをまとめ買いした時の一冊。

 

 

 

しかし今回の作品は、馴染めなかったと言うのが正直な感想だ。

 

相変わらず描写は的確で目に浮かぶようだし、だし、風情のある文章は好ましい。

何気ない1行が添えられていて、ハッとしたりする。

 

11個の惣菜にまつわる話もうまくできていて、美味しそうだし、幾つかは作る予定でもある。

 

 

でも、私とほぼ同年輩の3人の女性の言葉や行動や心持ちがあまりにリアル過ぎて、きっと私は壁を作って自分を守りたくなったのかもしれない。

 

それだけの女性のリアルを素直に受け止める覚悟がないひ弱な男なのだ。

 

だって、私には隼のような若さや行動力はもちろん、旬ほどの魅力もなければ、白山のような深みもない。

 

 

なにか敗北感にも似た虚ろさの中、全てが遠いところで起きている物語をぼおっと眺めたまま読了した気がする。