『図書館内乱』(作/有川浩 アスキー・メディアワークス 2006)の中のエピソードをあらためて恋愛小説として書き下ろしたもの。
読みたい作品リストに入れたのは覚えていたが、てっきり読んだと思っていた。
最近、記憶力が落ちていて2度目かもと思いながら読みだした。
冒頭からの展開と、ふたりのやり取りに引き込まれる。
耳で聴くのには慣れてきた関西弁も、活字として読み下すのは最初少し違和感があったが、流暢な書き言葉に目が脳が慣らされてくる。笑。
聴覚障害障者と健常者の恋は最近のドラマでも大ヒットしたし、SNSでの出会いなど若者だけではなく普通の感覚になっているだろう。
私はまだ『愛していると言ってくれ』(脚本/北川悦吏子 1995)に文通。笑笑。
何らかの「障害」を抱えた人とかかわる物語に独特の既視感は拭えないが、伸さんも言うように、生い立ちや過去、環境、心や精神まで視野に入れれば、もともと人はみな違うことだらけ。それぞれの「違い=個性」と向き合うことからしか始まらないのだ。
外見であれ、内面であれ、勝手に決めつけ向き合うことをしない関係に豊穣の時は訪れない。
ラストの「漆黒の闇になった鏡に向かって、ひとみは短くした髪をかき上げた。」がじわじわと沁みる。
おそらくこれからもいろいろあるだろう二人を想いながら読み終えた。
たぶん、初読だと思いながら。(まだ自信がないけど。笑。)