1988年、彩の国さいたま芸術劇場で芸術監督故蜷川幸雄氏によりシェイクスピア全作品の完全上演を目指して始まった(半ばから2代目芸術監督吉田鋼太郎氏に引き継がれる)、彩の国シェイクスピア・シリーズ、最終作品。

 

 

 

いきなり既視感のあるオープニングが、もうシェイクスピア!笑。

数々の挑戦的な演出に、もう定番ともいえる言葉の洪水。
作品にかける強い想いと、重いメッセージが込められていて、見応え十分。



数あるシェイクスピア作品の中でも「ジョン王」は、初観劇である。

かつて人気を博しながら、次第に演じられなくなってきた脚本らしいが、シェイクスピアは何を言いたかったのだろう。

 

ジョン王が生きた時代、この国は”鎌倉殿”の頃である。

それこそ血腥い政権争いの最中であり、場所や制度は違うが、決して無縁の絵空事などではなく、似たような(もっと悲惨な?)惨劇が繰り返されていたのだ。

 

そしてそれは、今、この時代に起きていることとも決して無縁ではない。

 


もちろん"ブンガク"に疎い私に言えることは多くない。

 

それでも、この舞台を現代とつなげようとする願いを感じるからこそ、小栗旬さんたち素晴らしいキャストの熱演の向こう側に、彼の国の指導者たちの心の揺れや、その戦火の下、必死に生き抜こうとする民の惨状などが透けて観ることができれば、もっと心に沁みるだろう。

 


せめて、舞台を観終えた私たちは、受け取った想いを簡単に日常の”雑踏”の中に紛らわせてはならない。