前回はこちら。


オピオイド系の薬物のオーバードースによる死亡率が、コカインや覚醒剤に比べて多いのは何故か、という質問をいただきました。以下、コメント欄と重複しますが、回答です。

オピオイド系の特徴として、呼吸を阻害する特徴があります。なのでオーバードースが死につながりやすい。それから、カナダでのオピオイドのオーバードースの多くがフェンタニルなんですね。フェンタニルの致死量はヘロインの10倍です。コントロールが難しい。

それから、巷で売られている薬物には、何が混ぜられているかわかりません。コカインを買って摂取したつもりが実はヘェンタニルが混入されていた、ということが普通にあるのです。知らずに摂取してオーバードースにつながります。

それから、オピオイドは離脱がすごく早いので、例えば刑務所から出所してすぐにオピオイドを摂取した場合とか、やめようとして何日か摂取せずにいたけれどやっぱり摂取してしまった場合などに、自分の耐性がすごく弱くなっているのを正解に把握できず、以前と同じ量を摂取してしまってオーバードースと言うこともあります。

ヘェンタニルは手術後の痛み止めなどに医者から処方されて、それがきっかけで依存症になってしまうケースも少なくなく、問題になっています。だんだん痛みにきかなくなってきますので、量が増える。医師はそんなに処方してくれないから違法なオピオイドを摂取する。そしてオーバードースになる、ということもあります。

ナロキソンはオピオイド受容体に入り込んだオピオイドと取って変わって受容体に入り込むので、もうそこにオピオイドは入ってこれません。

何の薬物でオーバードースしたのかがわからない場合も、打って構いません。結局オピオイドでなかったとしても、ナロキソンに害はありません。どんな薬物にもフェンタノルが混入されている可能性を考えたら、どんな薬物を摂取していようと、ナロキソンを打ったほうが良いのです。

このようにオピオイドは、カナダではとても広まっていて、オーバードースの死亡が年々増え、問題になっています。その結果ハームリダクションが広まったとも考えられるのではないでしょうか。オーバードースでの死亡を防ぐ、というのが最大のハームリダクションであり、それがSupervised Consumption Site (サポートワーカー立ち合いの元、清潔な器具で薬物を安全に摂取できる施設) の設立に繋がったのです。

Supervised Consumption Site についてはこちら。


続きます。