【BLCD感想】好きで、好きで(2016年/安西リカ/佐藤拓也×小林裕介) | twilight

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【BLCD感想】好きで、好きで(2016年/安西リカ/佐藤拓也×小林裕介)

 

付き合って10年経つけど、受けちゃんは今でも攻めさんが大好き。
でも自分の存在が攻めさんの(出世の)重荷になっているのでは…?という話。

小林さんは初BLとのこと。
当然佐藤さんとも初対決ですが、10年寄り添った夫婦感が出ていた。
ピアノ曲に乗せて、小林さんの「なんでこんなにいつまでも好きなんだろう。目が合うだけで幸せで…」というモノローグから始まる。
この段階で良作の予感。

小林さんは柔らかで初々しい。
佐藤さんは低音硬質。
第一印象はぶっきらぼうだけど、あれほどの演技力の方なので、内なる感情を見せてくれるシーンがきっとあると期待できる。

「我孫子さんに口説かれた」と言う啓への言葉で、攻め→受けの想いもしっかりとあることがわかる。
啓が「10年、幸せだった。もう充分。これ以上望むのは贅沢すぎる」と自分から手を離そうとするのは…私はその気持ちがわかるなあ。
突然覚悟できるものではなく、悲壮な覚悟を、日々自分に言い聞かせて生きているのだと思う。
10年、なのにああいうふうにしか泣けない啓が切ないなあ…。
啓ちゃん、「いい終わり方」なんてないよ。

これはすぐ氷解して、「お前が別れたいって言うなら黙って別れてやる」からの佐藤さんのターンはグッときた…。愛だ…。
そりゃあ啓ちゃんも泣いちゃうよ。

帰宅後、仲直りセックス。
小林さんはとても生々しい。ハスキーで臨場感があってすごく上手。
女子っぽくならず、ビッチとかでもなく、男としてヤル気なのがいい。
10年付き合ってこれは素晴らしい。

啓ちゃんが仕事でやらかしたあとの攻めさんの対応が男前すぎた!!
人としての安心感が違う。

この受けちゃんは「仕事で認められたい」「彼の隣に胸を張って立つために自分も成功したい」というタイプではないが、普通に仕事は頑張る。
頑張るために「1日に1回メールしてよ」何をメールするんだ?「晩御飯のメニューでいいよ。何食ったか教えて」
生活を共にするってこういうことですね。
仕事も、彼が認めてくれるから頑張る、頑張れるんだよね。

最後、受けちゃんの「セックスしようよ」はとっても響いた。
絡みは2度あるがどちらも短い(即挿入、何をしているかわからない)ので、ここで連続2回戦はお得感があった。
しかも「一緒になろう」のプロポーズ!

非常に地に足のついた話。
同じ恋愛や仕事を10年続けた経験のあるアラサー以上におすすめ。
でないと、この話のテーマにピンとこないと思う。
ピンとこなかった場合、カップルが出来上がっている状態から始まるし、盛り上がりに欠ける話、エロも見せ場になるようなものではないし…みたいな印象で終わるのでは。

フリトは、(抑えた役だったので)あー声が出せる!と大声を出す佐藤さん&小林さんの初めて物語。
なんと二人は初対面!

佐藤「初めてを頂いてしまったわけですが」
小林「ありがとうございました」
佐藤「どうですか、こういった作品というのは。繊細でしょう?」
小林「ここまでしっかりとした純愛、恋愛を演じたことがなくて。相手が男性であっても恋の形、愛し方は大差ないなって」

〆の挨拶で、
小林「僕のいろんな意味での処女作品。まだまだだなって」
佐藤「可愛くてしょうがなかったですよ」

これだけサービストークをして、続編への意欲も見せて、最後まで地に足のついた作品でした!
私は好きだ!