【BLCD感想】犬と欠け月(2015年/ウノハナ/羽多野渉×増田俊樹) | twilight

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【BLCD感想】犬と欠け月(2015年/ウノハナ/羽多野渉×増田俊樹)

 

増田さんは不器用で無表情な役や、羽多野さんの進行に助けられていますね。
もっと表現に独自性がほしい。
羽多野さんが大ベテランに聴こえる。
羽多野さんの男っぽい役は凄く魅力的でした。

これは原作が抜群によかった。
ボクシングが題材の、画力があるわけではない男臭い話なのに、岳の可愛さが凄く伝わってきたし、二人三脚の軌跡が尊かった。
だから、濡れ場は色っぽく、親密度はグッと詰めなければいけない。
それでなくても原作未読では伝わりにくいドラマCDの出来だった。

いくら無表情な役とはいえ、声色に滲む感情が見えないと棒に聴こえる。
最大のネックは「逃げんのはどっちだよ!」ですね。
感情をぶつけるシーンですが、迫力に欠ける。
直前の、羽多野さんの「ふざけんな!」からの怒気を孕んだ声と比べると、余計に。
この台詞はリフレインされるので重要でしたね。

全体的な演技力や、BL特有の絡みの演技とは別に、増田さんの距離感の無さは乙女ゲーを彷彿とさせる。

BLCDは1本の映画なので…物理的な距離や心の距離感は様々に変わるし、物語の最初と最後では、随分遠いところにいくんです。
やはりBLCDは、ここにしかない様式の媒体だと再確認しました。

犬と欠け月は、原作を読んだときは、岳の可愛さが伝わってきて、攻めと一緒に胸キュンしたけど、CDだと、攻めが岳を可愛いと言うので、じゃあ可愛いのだろう、と推測する…。
この差は大きい。
受けの魅力を攻めを通して伝えるという手法もある。
が、これは狙ってそうなったのか?
原作未読の方に、どれほど伝わったのか疑問。
他にやりようがあったのでは…と別解を探してしまう。

リピートはないが、途中放棄するほど酷くもない。
初回版ミニドラマ+フリトCDが付くので商品としての満足度はそれなりにある。