【BLCD感想】薔薇色の人生(2011年/木原音瀬/吉野裕行×前野智昭)
吉野さんのBLCDでこれを推す人が多いので、興味を持った。
いいCDは冒頭何秒かでわかるけど、これもそうですね。
BGMが鳴ると同時に電話も鳴って、風俗の受付。
ちょっとトレンディ感はあるが、演出のセンスが良い。
コメディに寄せているのがいいのだと思う。
カップルが同棲しているところから始まる。
甘く穏やかな関係であることが声色から充分にわかる。
出所してからの吉野さんのモノローグに、訥々と寂寥感が漂う。
コミカルとシリアスのメリハリがあり、演者も上手いから、引き締まるね…。
緊張感が心地良い。
吉野さんのクズ役はハマる。
出会った頃のロンちゃんが不可解なほど善人すぎる。
「ロンちゃんの役に立って死にたいなぁ…」
「俺がこの人と甥っ子にしてやれることって、何かねぇのかな…」
自己肯定感の欠如が招く犠牲ですね。
事件に巻き込まれるのでは…と懸念した通りの展開になる。
自分のためにそこまでする相手が愛しいという気持ちはわからなくもないが、普通勝手にそんなことをされたら面倒に思うのでは…。
それ以前に、馬鹿なことを…と見限りそうな場面ですが、ロンちゃんは、やはり不可解なほど善人。
ロン→モモの理由は分からず仕舞い。
だけどドラマCDとして上質。
エピローグでパッと明るく終わるのもよかった。
絡みは3回あるが、非常に短く、流れとして必要な行為であり、エロ目当てに聴く感じではない。
ラブストーリーというより、一人の男が立ち直る物語。
吉野さんファンにおすすめ。演技を存分に楽しめる。
この作者の中では、わかりやすい話だと思います。