2月から3月にかけて、長焦点鏡筒で4夜もかけて撮影したのは、メシエカタログ天体1番の🦀星雲です。晴天率の低い当地で、RGBに5時間、ナローにも5時間の長時間撮影データを確保して、ゆっくり現像していました。

かなりのトリミングですが、まずは、一般的なRGB合成画像をご覧ください。

かに星雲は、おうし座にある超新星残骸で、約6500光年の彼方にあるとされています。1054年に観測された超新星爆発の後、1000年弱の間に作り出された造形で、これからも広がり続けるかと思うと、その姿を記録できるのが嬉しくなります。時間をかけて撮影しただけあって、同じ光学系で4シーズン前に撮影した時よりも、フィラメント状の構造も、色の変化も美しく現像できました。今回は、あえてHαデータは混ぜ込んでいません。RGBで素直な表現に臨んでみました。

 

月明かりがある時のHαデータも含めたナローバンドパスフィルターでのハッブルパレットもどうぞ

SAO画像をカラーシフトしたら、なかなかゴージャスな色合いとなりました。今回は、二つの画像を同じ拡大率で表現しています。SAO画像の方が若干大きく見えますね。酸素成分の多いところや、硫黄成分が多いところで、青色や、赤色成分が強くなって、複雑な色合いになっているようです。フィラメント構造の内側には、モヤモヤしたガスが明るく輝いているのもそれらしいですね。成り立ちを想像するだけでもワクワクしてきます。一人悦に入ってしまって、やや寝不足気味?

 

 

備忘録: (以下、個人的な覚書 専門的な内容を含むので、綺麗な写真の鑑賞が目的の方はスルーしてね)

 

撮影データ:  

AXP赤道儀 + ASIAIRPRO コントロール

ミューロン250CRS + RD CR 0.73x (焦点距離 1825mm F7.3) 

ASI2600MM-pro (cooling -10℃) 

オフアキシスオートガイド ASI174MMMini

Red、Green、Blue 各  20コマ gain 26 300sec (RGB露出合計 300分間)

Hα、OIII、SII 各 13、7、10コマ gain 60  600sec  (SAO露出合計 300分間)

住宅地(自宅)にて撮影

PixInsightにて主な現像、BlueXTerminator、NoiseXTerminatorも使用

SAOはFlatAideProで対数現像してカラーシフト

Photoshopなどにて調整

 

今回は、星消しツールは使わずに、Photoshopで輝度マスク併用の強調処理を繰り返して使ってみた

おかしな星の分離再合成を行わない分、自然な仕上がりになった気がする

Lumデータも少々採取したが、30分余りしかなく、今回は採用せず

PixInsightn WBPP にリジェクトされなかったデータは、どちらも偶然5時間ずつとなった