前回撮影したこじし座の銀河が南中する前に、おおいぬ座のかぶと星雲(Thor's Helmet)を、HαとOIIIのナローバンドパスフィルターで撮ってみました。
北欧神話に出てくる雷神トールが身につける、角つきヘルメットの形に似ていることから、直訳して「トールの兜星雲」の愛称になったらしいです。ナロー撮影にしては、かなりの短時間撮影でしたが、AOO合成してみたら、立派な兜が現れました。光害地でも、ナロー撮影だと、散光星雲の解像度とコントラストが上がって、たくさんの微光星は控え目になって、かぶとの模様が際立ちますね。励起酸素の発するOIII波長の光が強くて、よく写っていました。
兜を強拡大して、OIIIとHαの信号ピークを合わせてみると、
南天なのもあって星が流れてしまいましたが、あまり拡大しなければ、兜の迫力のおかげで、星が長細いのは、あまり目立たない? 現像の方法でもかなり印象が異なります。将来、もっと本格的に撮り直したい対象となりました。
備忘録: (以下、個人的な覚書)
今回の撮影データ:
ミューロン250CRS(直焦点 2500mm F10) + AXP赤道儀
D60mm F4 ガイド鏡 + QHY5L-IIM PHD2 guiding ディザリング
QHY600PH (gain 60、 cooling -20℃)
Hα、OIII 各600sec × 3コマ (総露出時間 60分間)
2021年3月10日の夜 自宅庭にて
ステライメージ9でAOO合成 キャノンDPP4で色調調整追加とトリミング
NGC2359 トールの兜星雲は、低空にしか見えない対象。これまで撮影を試したことがなかった。今回は50mm径のOIIIフィルターも手に入れたので、ようやくフルサイズ撮影でのAOO現像ができます。7枚フィルターEFWを使ったら、OAGが使えなくて、南天の長時間露光では、見事に星が流れちゃった。このため、前回供覧したNGC3344は、短めの露出時間とした次第。長焦点長時間露光では、OAGあった方が良さそうだね。