入梅前、以前からとっても興味のあった、創造の柱のハッブルパレット撮影を、ようやく試すことができました。球状星団をいくつか撮った後、いて座との境界が高度を上げてきたところで、メイン対象へバトンタッチです。平日の夜なので、自宅庭でセッティングしたら、朝まで放置して、快適なベッドでの眠りにつきました。変に鏡筒に近づかない方が揺れないので、安定した追尾ができたりもします。

撮影データ:

ミューロン250CRS(直焦点 2500mm) + AXP赤道儀

オートガイド  PHD2 guiding  ディザリングあり

(60mm/f4 鏡筒 + SX Superstar オートガイダー) 

ZWO ASI1600MM-Cool -20℃ gain 300

Hα画像 300秒×10コマ、SII画像 300秒×12コマ、OIII画像 300秒×12コマ

 (総露出時間 170分)

APT (Astro Photography Tool) 3.6

2019年5月29日の夜  自宅庭にて撮影

ステライメージ8 と キャノン DPP4 で現像 トリミング

 

創造の柱は、地球から6500光年先にある「イーグル星雲」(M16)の中央付近にあります。焦点距離760mmの鏡筒にAPS-Cデジタル一眼レフカメラを使って、2年前にミニ遠征して撮影したことがありました。星が生まれているだろう柱状構造なので、こんな立派な名前までつけられました。NASAのハッブル宇宙望遠鏡撮影の1995年に発表された画像で一躍脚光を浴び、この極彩色画像処理とともに有名になりました。そんなわけで、ナローバンド撮影してSAO画像処理を始めたばかりの天文ファンには、憧れの画像だったりします。柱が縦なので、縦構図で撮影しましたが、鷲は横に広がっており、現像後に横構図が良かったかと反省しています。今回はブログで見やすい正方形にトリミングしました。

 

ナローバンドでは、AOO合成すると、普通の撮影に似た雰囲気になるので、こちらも供覧。こちらの方が、画素の荒さが目立ちにくいです。

Hα画像 300秒×10コマ、SII画像 300秒×12コマ (総露出時間 110分)

 

比較のため、2年前のミニ遠征画像とも比較してみましょう。ほぼ同じ画角にトリミングしてみました。

機器が異なるので、最後の画像の解像度に大きな見劣りがあるのは別として、同じ対象なのに、画像の捉え方でこんなに雰囲気が変わるのは、とても興味深く感じました。

 

ここからは、少しマニアックな考察(自分のための備忘録)ですので、普通の方は、これまでの画像で満足してくださいね。

このSAO画像は、ナローバンド撮影なのに、3時間にも満たない総露出時間なので、かなりザラザラになりました。特にSIIが足りません。それでも、思ったより簡単に華やかな色合いになって喜んでいます。フォトショップはエレメントしか使えないので、ほとんどの画像処理をステライメージに頼って、色合い調整まで試みました。以前のバラ星雲現像時などでは、レベル補正で各コンポジット画像の範囲を調整してからRGB擬似合成しましたが、今回は、RGB擬似合成後にトーンカーブ調整です。トーンカーブによる調整では、SAO緑色画像を各色毎に極端に触ってみました。すると、、、プレビュー画像を見ながらほぼリアルタイムに色の変化を確認できるではありませんか。緑の鷲が、瞬く間に極彩色に変化!!  ステライメージ侮れません。青みを強くしたり、緑を残す度合いを調整したり、黄色の範囲を調整したり、虹色の調整をプレビューで見ながらできるようになりました。すでに途中経過のパラメーターが消えてしまい、同じことをもうできないかもしれませんが、十分に使える方法と確信しました。これからは、トーンカーブの保存で経過を残しておくと良いかも。マゼンダフリンジたっぷりの画像になりますが、これも良い味を出しているとしておきましょう。