伊藤塾 の新司法試験部門の講師です。
特に論文対策講義について、最もおすすめな講師のひとりです。
伊藤塾でも一定の人気があるようで、たくさんの講座を担当されています。
中でも、本試験分析講座が際立って良いです。
論文の処理過程の部分、すなわち、
・問題文から一定の生の主張が立てられるプロセス
・一定の生の主張から条文が立てられるプロセス
こういった、文字情報としての解答例には表れてこない思考過程の部分の説明が上手です。
問題文の事情を使うスキルも高いです。
「問題文にこう書いてあるから、○○という生の主張を立てることが正当である」
「問題文にこう書いていないから、△△という生の主張はあり得ない」
…という感じで、あくまでも問題文の事情を根拠に説明してくれます。
この優れた問題文分析力が吉野講師の売りです。
もっぱら問題文と解答例の字面の解説に終始する傾向が強い司法試験業界の論文指導の中で、吉野講師の論文指導力は頭ひとつ抜けていると思います。
もっとも、論文の方法論自体については、その他の伊藤塾講師とそれほど変わりはありません。
「フレーム」という概念をよく口にしますが、普遍的な処理手順が提示されるわけではありません。
また、ロースクール経由の新司合格者に多くみられる傾向ですが、拡散型の勉強法を好む点(集約という発想を持ち合わせていない点)は全く評価できません。
肢別本なんか潰してもあんなの数が少なすぎて全然足りない…といった趣旨の、受験生の必要性・許容性を省みない発言を私が一番最初に聞いたのは、他ならぬこの吉野講師からでした。
・受講者の側が、普遍的な処理手順を自分で用意していること。
・受験生の側が、きちんと集約的な発想を持っていること。
この2点を携えた上で講義を聴けば、吉野講師の良さを最大限に生かすことができると思います。
インプットについては、私は聴いたことがありません。
論文突破基礎力養成講座という講座を聴いた友人が言うには、呉講師や本田講師には及ばないものの、他校の講師に比べれば講義スキルは高いと思うとのことでした。