- 基本民法 1 第3版/有斐閣
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内田民法 と同じ、財産法3分冊体系(東大型)のテキストです。
ロースクール生には比較的人気があります。
一言でいえば、知識の体系的整理ではなく、民法の基本の理解が重視されたテキストです。
ちなみに、本書の「基本」とは、通常の基本書基準でいえば基本以前の部分を多く含んでいます。
制度趣旨などの原理論的な部分や、通常の基本書では自明とされているような部分をゼロベースに戻って論じなおすことが重視されているので、そのぶん体系性や網羅性は犠牲にされる形になっています。
体系性がある基本書とは、簡単にいえば、特定の知識を目次や索引を経由することなく迅速かつ容易に探し出せるような書き方がされている本、ということです。
科目の体系が頭に入っていれば、目次や索引を利用せずにパラパラっとページをめくっていくだけで、(早ければ数秒で)お目当ての知識に辿り着くことができるような整理の行き届いた本のことです。
内田民法と同様、そういう意味での「体系性」は、本書にはあまりありません。
「基本書」が体系書のことを指すとすれば、本書は基本書とは言いにくいです。
「基本書」が必要な知識がもれなく整理された網羅性のあるテキストのことを指すのだとすれば、やはり本書は基本書とは言えないと思います。
このように、体系的な調べやすさも知識的な網羅性もないので、受験生がメインテキストとして用いる狭義の基本書としてはおすすめできません。
記述は簡明ですが、知識ゼロの人が読めるレベルではないので入門書にもなりません。
試験対策という観点を離れれば内容的には非常に良い本なのですが、試験対策本としては残念ながら本書を位置付ける場所がありません。
読み物としては面白い本なので、勉強に疲れたときなどに遊びとして読むのであれば、通常の基本書や予備校本では味わえない民法の意外な理解をもたらしてくれることでしょう。
おすすめ度⇒C