- 入門民法(全)/有斐閣
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ロースクール生、特に未修者にユーザーが多いテキストです。
「入門」とありますが、完全な初学者がゼロから読んで分かるようには書かれていません。
入門書に特有の噛み砕いた表現などはなく、最初から最後まで一貫して教科書然とした感じです。
したがって、本書は入門書というよりは概説書に分類したいです。
本書一冊で司法試験に対応できるか(=本書をメインテキストとして合格まで使用できるか)というと、さすがにちょっと無理があるように思います。本書は概説書とはいっても、以下に述べるように、やさしく具体的に書くことが優先されたテキストです。サイズ的にみても当然ですが、基本書や予備校本ほどの知識的な網羅性はありません。論文で出題されるレベルの論点(予備校でAランク~Bランクくらいの論点)も網羅されていないので、学習の度にそこに戻る起点となるテキストにはならないと思います。
【追記】
どうやら本書は改定の度に厚くなっていっているようで、↑この網羅性についての指摘は、ひょっとすれば現在では変更の必要性が生じているかもしれません。各自ご自分の目でご確認ください。
最新版(第3版)
膨大な民法の全分野が一冊に手際よくまとめられています。
親族相続部分はちょっとまとめすぎて無味乾燥ですが、財産法部分はこの手のまとめ本にしては、抽象化の落とし穴にはまらず、かなり具体的で分かりやすい記述がなされていると思います。この点は評価したいです。
ただ、基本書でも入門書でもない本書を、試験対策としてどう生かすかは難しいところです。
おすすめなのは、たとえば債権譲渡に苦手意識があるとした場合、その部分だけを一気に読むことです。本格的な基本書ならば20~30ページは割いているところ、本書ならほんの数ページで終わります。つまり、ほんの数分で一気に債権譲渡を総まくりすることができます。
苦手意識というのは、往々にしてその分野の全体像がつかめていないところから来ると思うので、本書で苦手分野を手のひらサイズに圧縮して、全体を俯瞰できるようにするといいと思います。
おすすめ度⇒B