1995年、日本列島を揺るがす大災害と大事件が起こった。

1月の阪神大震災、3月の地下鉄サリン事件。未曾有の都市型大災害と、この国の歴史における最大かつ最悪のテロ事件が、わずか3ヶ月の間に立て続けに発生したのだ。日本はよく持ちこたえたものだな、とつくづく思う。


そんな大変なご時世に、田舎の三流大学三年生だったわたしとSくんは、この年札幌で行われたCASIOPEAのライブに足を運び、秋のT-squareのライブツアーには、Nくんも巻き込んで旭川と札幌の2日間のライブに通った。


ファンクラブに入会していたわたしは、この北海道ツアーのチケットをFC先行予約で購入し、この勢いに任せて、六本木ピットインで行われているという年末恒例のライブを鑑賞する計画をたてた。

当時兄が東京に住んでいたので、宿の心配は無用。親からの仕送りを切り詰めて、夏休みのバイト代をこの旅行につぎ込むことにしたのだ。


なんとこの計画にSくんがノッて来た。最初耳を疑ったが、どうやら本気らしい。

せっかくの東京旅行、スクエアだけじゃ...ということで、我々はクリスマス前のJIMSAKUのライブチケットも購入した。


夏休み、冬休みそして春休みに、兄のアパートに入り浸るのはいつものことだったが、この年の冬休み、わたしの隣にはSくんがいた。


30年経った今でも、Sくんと呑みに行くと毎回のようにこのときの旅行を振り返り、「最高にたのしかったねぇ!」と毎回おなじ話に終始する。




あれからちょうど30年、Rくんがたまたま教えてくれた、T-square名義のアルバムでありながら現メンバーは誰ひとりクレジットされていない曲をキッカケに、わたしは年末恒例のライブ配信チケットを購入した。


この「T-SQUARE FAMILY YEAR-END SPECIAL 2025」は、12月20日から26日の間、神戸チキンジョージで行われた。
タイトルに「...ファミリー...」と冠しているだけあって、過去のメンバーや、サポートメンバーとしてT-square と何らかの関係のあるミュージシャン達が、この1週間代わる代わる参加するというとても豪華なライブである。

わたしが購入した12月20日の配信チケットのメンバーは、わたしが夢中になっていた頃の、本田~須藤~則竹というメンツが揃ったT-square だった。ギターは「Marverick Moon 」で知ることとなった外園一馬さん。キーボードは、現在本田バンドでも活躍している白井アキトさん。
現メンバーが1人もいない(笑)
通称、ゼロスクエアというらしい。

19:00開演。
三十年ぶりのスクエア年末ライブである。冗談抜きで身震いを覚えた。

• 私的解説
1 MEGALITH 
イントロが1991年のアルバム「NEWS」バージョン。本田雅人ファンなら誰もが息を呑んでしまうイントロだろう。
本田バンドでは、アンコールなどライブ終盤の定番曲なのだが、この日は敢えて1曲目。
この曲をはじめて聴いたのは、リアルタイムではなかった。わたしが最初にハマっていたスクエアとはまったく違う。その意味ではたしかに衝撃的だった。

「これはもうスクエアではない」

最初の印象はこんなところだったと思う。どハマリはしなかった。
しかし、後に六本木で生の本田さんの演奏を目の前で観て、現代の言葉で言うところの "本田雅人推し" のスクエアファンとして、おもいっきりのめり込んでいったのであった。

この日のセットリスト、企画を一任された本田さんによるMCは、声を上げて笑ってしまうほど面白かった。
イントロがうまくいかなかったとのことで、もう一度イントロからAメロまでやり直し。さらには、MC本田氏が「こんなのもあったよね」と映像作品「MEGALITH」から、曲の序盤にブレイクが入るバージョンも披露。メガリスの導入部を3回も聴くことができた。

2 真夏のため息
3 ガーディの夢
ここまでは、「MEGALITH 」と同じ曲順。2と3は安藤正容さん作曲による珠玉の名作である。

4 TRAFFIC JAM
アルバム「IMPRESSIVE」(1992)からのこの曲は、本田さん独立後のREAL FUSION LIVE(ライブアルバム「WHAT IS FUSION」)より、キーボードソロが大きくフィーチャーされたバージョン。松本圭司さんのソロも最高だったが、白井さんのソロもスリリングでとても良かった。

5 NAB THAT CHAP !!
この曲も「MEGALITH」に収録されている。このスピード感、グルーヴ感は、30年余年経った今もまったく変わらない。

6 夏の蜃気楼
わたしが所有しているスクエアのアルバム(1978~2000、2023)の中で一番好きな「夏の惑星」(1994)からの1曲。30年前に六本木で観たライブのアンコールで演奏されていた、わたしにとっては特別な思い入れのある曲である。

"真冬のライブで『夏の蜃気楼』"

この曲を聴くたび、最終電車の時間を気にしながら、"あぁ、これで終わってしまうのか..."と、感慨深く観ていたあのときの記憶が甦ってくる。
そして最後のドラムソロは、いつ何度聴いてもシビれてしまう。

本田さん曰く、この頃の曲は譜面に書かれていなくても、自然とメロディが浮かんできて演奏できてしまうらしい。つまりは若い頃のカラダに染み付いてしまっているとのことだった。

休憩

7 SUNNYSIDE CRUISE 
収録アルバムは「WELCOME TO THE ROSEGARDEN」(1995)。
韓国ではものすごい人気曲だそうだ。須藤さんによる、この曲が始まったときの韓国のライブ会場の再現には笑った。

8 PIOGGIA DI CAPRI 
アルバム「B.C.A.D」(1996)から、イタリア語のこの曲の和訳は「カプリ島の雨」。伊東八十八プロデューサーにこのタイトルをつけてもらうまでは、「泣き濡れてひとり」だったという製作秘話を聞くことができた。

9 JUST LIKE A WOMAN 
本田バントのライブでもお馴染み、「HUMAN」(1993)からのこの曲は、本田さんの代表曲中の代表曲といえる。
T-square のアルバムのラストを飾る曲といえば、1997年までは和泉宏隆さんの曲が多くを占めるが、1991から1993に限っては本田さんの曲だった。
この曲を聴いていると、「NEWS」のラスト「WHEN I THINK OF YOU」や「IMPRESSIVE」のラスト「待ちぼうけの午後」が聴きたくなる。

10 勇者
ここでようやくNuRADの登場。
「B.C.A.D」からのこの曲で、リードを勤める阪神タイガース仕様のNuRADの説明の後は、作曲者である則竹さんに話が振られるが、「わかんなぁい」「覚えてなぁい」「思い出したくなぁい」と、ゆる~い回答(笑)。

現在はJ2リーグのコンサドーレ札幌からスクエアに当時オファーがあったそうで、5人それぞれが作った曲のうち、最終的に則竹さん作曲のこの曲に白羽の矢が立ったとのことだった。


11 BAD MOON
本田バントのライブでは欠かせない「夏の惑星」からのこの定番曲。本田さんはこの日から神戸で9連チャンのライブ出演のためか、いつものソロを今回は封印(?)
その分、須藤さんのベースソロがものスゴかった。わたしが好きなハーモニクスを連発したかと思えば、バッキバキのスラップが延々と続く。
手首が痛い素振りを見せていたが、もっと聴いていたいほどだった。

12 LITTLE LEAGUE STAR 
とりあえず一旦ライブの〆として最後を飾るのは、再び「NEWS」からの曲。当時のインタビューでは、「たくさんスクエアらしい曲を作ってきたが、採用されたのはこの曲だけだった」とのこと。
途中のギターとNuRADによるソロ合戦は、何度観てもエキサイティングである。

EC
13 ROMANTIC CITY(from NEWS)
14 PLAY FOR YOU(from HUMAN)
メンバーが退場することなく始まったアンコールでは、偉大なるコンポーザーとしての安藤さんの才能が光るふたつの名曲が演奏された。

この日以降のことを考慮してか、賑やかな曲でもう一度盛り上げることはせずに、初日の公演は静かに幕を閉じた。

二時間半たっぷりと、本田雅人企画による"あの頃のスクエア"の完全再現だったわけだが、終了した瞬間から"また観たい!"と、心の中でアンコールの拍手が鳴りやむことはなかった。

1週間の配信期限ギリギリまで視聴していた。

来年もまたきっとゼロスクエアは、登場してくれることだろう。

チキンジョージのスクエア年末ライブの翌日に行われた本田バンドのライブでは、アンコール2曲目のオーラスで、ゼロスクエアライブの1曲目が同じバージョンで演奏されたそうだ。
この夜の本田バンドライブのセットリストをXで見つけたときは、その内容に思わずゾクゾクしてしまった。




嗚呼、神戸に行きたい(笑)

というわけで、今年のブログはこれでおしまい。
来年もよろしくお願いします🙇⤵️