濃厚なエモさと、圧倒的なバイオレンス! S.A.コスビー『頬に哀しみを刻め』 | GESHICOMのブログ

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人種やLGBTQへの根強い差別や偏見など、

かなり深刻でセンシティブな問題を扱っている

けれど、デリケートな部分を覆い隠すシンプル

さと圧倒的なパワーで、読者を極上のバイオレ

ンス&エンターテインメントの世界に引きずり

込む。

 

まるで「マッドマックス・怒りのデスロード」

のような、爆発的な怒りを動機とした圧倒的暴

力の清々しさ!

初老の親父二人の、それぞれ命を賭した家族へ

の想いと、二人の間にやがて生まれる深い絆!

エモさが際立っているからこそ、バイオレンス

が活きる!まさに“血湧き肉躍る”。

 

単純明快だけれども、この物語が多くの読者に

深い感動をもたらすのは、この親父達二人の、

いかなる状況に置いても欠かさないユーモアに

溢れた会話の素晴らしさだと思う。

この、何とも粋な会話のセンスは、決して我々

日本人には真似できないもの。もはやDNAに

起因するものでしょう。

 

読んでいる間ずっと映像が頭に浮かんでいた。

是非、映画化して欲しいものです。

 

85点