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先の池波正太郎先生の小説作法に関連して。

アニメ『サザエさん』で気になった部分30個
(Pouch - 10月01日 09:04)

テレビアニメーション『サザエさん』といえば、国民的な人気アニメのひとつですよね。1969年10月から放送を開始した『サザエさん』は、2010年の現在も愛されるアニメ番組として多くの視聴者を楽しませています。

そんなアニメ『サザエさん』ですが、インターネット上では「サザエさんで気になること」という話題が盛りあがっています。インターネットユーザーが、『サザエさん』を見ていて気になったことを書いていく掲示板では、数多くの気になる点が書き込みされています。今回は、その一部を抜粋して紹介するとしましょう。

・アニメ『サザエさん』で気になった部分
「サザエさんちの左隣に住んでる人」
「死ぬまでに最終回を見届けられるかどうか」
「アナゴさん27歳とか老けすぎ」
「サザエさんとカツオは年が離れまくってる」
「なんでドロボーはいつもサザエさん家を狙うんだろう」
「サザエさん家はゆかいだな~の後に家が揺れる」
「サザエさんって本当に愉快なのか?」
「海山商事の面々が定時であがってアフター5まで楽しんでること。そんな会社、いまどきない」
「波平の年収」
「中島くんのフルネームと家族構成」
「サザエの月々のパーマ代」
「いまだにチャンネル回す式のテレビ。磯野家もいいかげんTOSHIBAの液晶テレビ買えばいいのに」
「誰も携帯電話持ってない。今時携帯電話も持っていないサラリーマン」
「波平とマスオは朝は駅までバス乗ってるのに、帰りは徒歩で帰ってくる不思議」
「外から見ると横長な家なのに玄関入ると廊下が縦に延びている」
「カツオがジンロクの部屋に行った時に、液晶モニターのパソコンが置いてあった。時代背景が滅茶苦茶」
「花沢さんの親父さんが携帯電話で話してるのを見たことがある」
「電話器が黒電話の回とプッュホンの時がある」
「サザエの髪型。寝るときも変わらない」
「年収。波平さんは1300万。マスオさんが800万」
「手を動かさずに走り、波平らを迎えるあのかつおたちの一連の特殊な走法」
「庭に色々植えたはずなのに、ことごとく無くなる」
「ますおさんの実家」
「みんな高学歴。たしかますおさんが早稲田で波平だかあなごさんが京大だったはず」
「世田谷の家は、マスオとカツオどっちが相続するんだろう」
「湯船がやたら大きいこと。ちょっとした銭湯のよう」
「見ず知らずの酔っ払いを家に上げるとか、もう、時代錯誤もはなはだしい」
「サザエの脳天気ぶりたまにムカつく。人妻24才があの落ち着きなさと短絡思考じゃ問題ありすぎ」
「エアコンもなくてよく今年の夏を乗り切ったな」
「花沢が相撲で男より強い」

ちゃぶ台の高さに対してオカシイと思っている人もいるようで、「タラちゃんの背後からの画では、顔半分隠れる高さだけど、前からの画では普通の高さになってて矛盾してる」と書き込みしていました。

また、「サザエさんとカツオは年が離れまくってる」という疑問に対して「サザエさんとカツオの年が離れてるのはその間波平が戦争に行っていたから」と返答している人がいました。ほかにも、「ワカメちゃんのパンチラシーンが多すぎる」と書き込みしている人が多くいました。あなたにも、『サザエさん』を見ていて気になった部分はありませんか?

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ここでいう気になった部分というのは、矛盾していると感じた部分というように捉えるといいでしょう。
この作品は記事にもありますように、大阪万博の前年からのオンエアだそうですから、そういう社会世相が、キャラクターに反映されているはずですから、今と比較すると矛盾だらけになるのは当然です。

たとえば江戸川乱歩作品に登場する名探偵、明智小五郎にしても、横溝正史の金田一耕助にしても、その設定は、もちろん制作年度によって、かなりのキャラクター変更が施されていますが、これは作られた時代とのギャップを、脚本家がいかに埋めるかということも、その作業に入ってくるからです。

日本三大歌舞伎といわれ、映画界が不況になると、必ず上映されたという「忠臣蔵」という物語は、元禄時代に起こった、実際の事件をもとにしています。

早い話が、浅野という大名が、江戸城中で、吉良という高家に抜刀。殺人未遂事件を引き起こしたということが発端で、その2年近くを経て、浅野の家来が吉良を仇として攻め込んだというのがあらましです。

本来敵討ちというのは、被害者が加害者に対して主張するものですから、この事件で主君の仇ということは当たらないんですが、それでも当時は受けたわけです。
つまり、武士道精神、突き詰めると、滅私、自分を捨ててでも忠誠を誓うという精神が、この時代になってきて、現代のように個人主義になってきていた時代に、一時代前の武士道精神が貫かれたことで、これを美談として大衆受けする土壌となったわけです。

が、今、冷静に考えるとどうでしょう。
いってみれば天皇家主宰で、どこかの国の国王を迎えての歓迎式典が、迎賓館で行なわれているようなもので、その国賓のお世話係たる外務省の役人が、国賓が到着する前に、刃物沙汰を起こしたわけですよね。
そんな狂犬みたいな人間が、国賓の接待役だとわかってご覧なさい。

その国から厳重抗議どころか、下手すれば戦争ものです。

つまり、世相を忠実に照らし合わせると、忠臣蔵は美談にならないんですね。

この矛盾があるから、若い人は「忠臣蔵」そのものを知らないという嘆かわしい事態になっているわけですね。

おそらくですが、サザエさんも、このさき、矛盾だらけで、どうしようもないアニメになる公算があるでしょう。

こういう時代なんですよ。
そういう設定の中で、キャラクターを生かせというのは、その時代なら、その考えや行動は当たり前なんですね。

同じアニメでいえば、ちびマル子ちゃんは、昭和30年代でしたっけ、そういう設定の中で、キャラクターを生かしていますよね。
昭和という時代が、腐らない限り、ちびマル子ちゃんは健在で続いていくと思うんですね。
でも、時代を無視して、現代に設定されたサザエさんでは、行動のギャップが出ておかしいことになるわけです。

私の時代でいえば、加山雄三の若大将シリーズがブームでした。

が、今、あの映画をみて、かっこいいなと思うのは、学生服を着た若大将ではなく、金持ちの道楽息子の青大将のほうが、時代にマッチしていると思うんですよ。

そういう時代なんですね、今は。

キャラクターは時代によっていかされるんです。

少し昔、石原プロが、現代の裕次郎発掘と銘打って、第二の裕次郎をデビューさせましたよね。
でも、あの経費は回収できていないと思うんです。

裕次郎は昭和の30年代だからこそ、ビッグスターであり得たということなんです。
その証拠に、伝説の刑事ドラマと人のいう、太陽にほえろという作品を見ていた、当時のお嬢ちゃんたちは、いつもデスクに座っているだけの裕次郎を見て、なんなの、このやけに色黒の、大きな顔しているおっさんは。という程度にしか映っていなかったといいます。

かっこよさもキャラクターのひとつです。
裕次郎をかっこいいキャラクターにおいておくなら、設定は昭和30年代で、時間を止めるべきなんですね。

必殺シリーズが人気を呼んでいましたね。
藤田まことさんの中村主水は、あの若さだからよかったわけです。
が、人間は必ずおいていきます。

80になって中村主水が、仕事人を実際にできるかを考えればいいんです。
矛盾していることに気づくはずです。

と考えると、子連れ狼の生まれる前、さいとうたかをプロに所属していた小池一夫さんが原案だったというゴルゴ13のデューク東郷は、今、いくつなんでしょうね。