ストーリー「ニュースステーション」時事ネタのアイデア(その89) | 作家養成塾『遊房』の公式ブログ 「めざせ!公募小説新人賞」門座右京監修

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「今日のニュースネタ」

自殺:高1男子、首をつる--母「いじめで」、学校否定 /長野
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 県立丸子実業高(高木房雄校長)の1年生で、御代田町御代田に住む高山裕太君(1
6)が6日早朝、自宅2階で首をつっているのを、母親のかおるさん(41)が発見。
病院へ搬送したが死亡が確認された。高山君の死について、かおるさんは「学校でのい
じめが原因で自殺した」と話しているが、同校では「現時点で、いじめや暴力行為があ
ったとは認識していない」と説明している。(後略)
12月7日朝刊(毎日新聞) - 12月7日16時46分更新

まず、最初にお断り。このニュースネタのシリーズは、そのニュースネタからどのよう
にストーリーとして切口にしていくかとか、どこを読めばいいかという部分を、簡単に
紹介しているものであり、記事そのものに関してどうのという意識は正直ありません。
たとえば実際に今回のこのネタを使うとすれば、当然のことながらいじめに関する問題
や、過去の記録をつぶさに調べ、そうですね、本箱一段分に関連資料で満杯になるほど
熟読した上で、制作にかかるということになるのはいうまでもありません。ですから、
このブログ読者のみなさん、とりわけ私どもの受講生諸君は、くれぐれも上辺の記事に
惑わされないでください。
さて、このニュースを読んだとき、感想はと聞かれるなら、私もほかのみなさんがそう
であるように、またかと思いました。
「またか」という感想は、ひところ流行ったというと、当該のかたには軽く思われるか
もしれませんが、現場の教育機関がとことん、このいじめ問題に取り組まず、なんとか
して沈静化を計っただけという、いわゆる実態が浮かび上がってきただけということで
教育界そのものに何ら感想もありません。最近の子どもたちというのは、人間だけが脳
の高度な発達によって知り得た「死」の存在を、その「死」の恐怖から逃れるために、
天国なる別世界があるという「救い」を作り、あるときはそれを商売の道具として宗教
に転化させたわけですが、その究極の恐怖である「死」をまともに理解できない子ども
が増えたことが、死を軽んじるようになり、死んではいけない意識が希薄になったこと
が、「いじめ」やいじめに対する抵抗としての「死」を、簡単に選ばせる風潮を作った
のでしょう。ですから真にいじめ根絶をするなら、ほんとうの「死」の恐怖を疑似体験
させてやればいいわけです。もっともこの方法論に関しては、あえて私がでしゃばると
いう必要もないわけですから、ここでの説明は省略します。
前置きが長くなりましたが、このニュースネタでいえば、大事な部分はいじめがあった
という、現時点の発生事物事由もさることながら、そこから関連した「再発」とか「死
の恐怖」とか「現場のことなかれ」という、前述したようなキーワードだけではなく、
さらにそのキーワードからのイマジネーションに進めていただきたいと思うわけです。
たとえば先日、テレビ番組でもありましたが、余命幾許もない少年がせめてこの世に生
を受けた証として、死後の臓器移植を両親は承諾し、臓器を取り出そうとしたその刹那
その子が蘇生したわけです。この生への執着に、両親はもう一度、99パーセント失敗
の可能性のある絶体絶命の手術を受けさせ、今もその子は生き長らえているという話を
紹介していました。そうした生の執着、それは人間の発達した脳だからこその執着心で
しょうが、生きるための勇気、生きていることの喜びに通じるものに昇華させることが
できるのは、まさしくペンの力なればこそです。一冊の本で勇気をもらった。死のうと
いう気をなくなせた本は、いくらでもあるはずです。
せっかく「書く」という気持にめざめたわけですから、ぜひともひとりの人間を救える
灯台の役割の作品を、生涯を通じて一作書いてみてください。みなさんの人生を書け!
私のみなさんの処女作を書かせる持論は、どんな人間であっても、生まれてきたからに
は理由があり、それは人を感動させるドラマになるはずという信念に基づいています。
みなさんのこれまでの生きざまを、まず書いてみてください。もしそのことで、ひとり
の自殺志願者に勇気を与えられれば、それもみなさんに小説を書くことにめざめさせ、
この世に生まれいでさせた理由かもしれないのですから。
教育の現場のみなさん。死を軽んじないでください。生徒の死はどんな事情であれ教師
が負うべき責任です。私の敬愛する小学校の校長は、退官後もある少年の命日に訪問し
線香を手向けて、その一生を終えられました。少年の死は原爆実験による放射能雨から
きた白血病による「死」であり、学校になんの責任もないものです。が、その校長は、
戸外で楽しく遊んでいる子どもたちに遊ぶなとはいえなかった責任を、生涯自らに課し
たからと聞いています。教育者不在もいいでしょう。が、等しく命は大切なものです。
学校は「教え」「育てる」場であり、「教える」だけの塾ではありません。命を大切に
することも、「死」の恐怖を教えることも、大事な「教える」仕事であり、責任のある
なしではない。かつて保護者のひとりであった者として、お願いしておきます。
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日本戯作協会監修
戯作者
戯作工房「MONZA」主幹 門座右京(もんざ うきょう)

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