「ゾンビ」翻訳解析その2~「ヘラルド」の夜明け⑦~ | スクリーンに雨が降る

 

SWAT隊員のロジャーは同僚のピーターと共に部隊を離脱、彼の友人であるスティーブン、その恋人フランと合流。

4人はヘリコプターで大都市からの逃亡を図る。

上空からの光景は、人間の持つ残忍さ・醜悪さをまざまざと見せつけていた。

やがて眼下に巨大なショッピングセンターが現れる。

彼らは休息の為、その屋上に着陸した。

 

 

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ヘリコプターの中で、4人はそれぞれ残してきた者について語る。

 

フランが「前の主人を」と言い、離婚経験者であることが分かる。

 

続くロジャーのセリフが、日本ヘラルド映画版(以下、H版)では「別れたのか」と誤訳される。

正しくは「別れた妻を」だ。

 

ロジャーもバツイチだった。

 

 

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ロジャー「ショッピング・センターだ  屋内商店街の」

ショッピングセンターを見下ろしてのロジャーのセリフは、アルジェント監修版とロメロ監督版とでは異なる。

H版では、具体的に翻訳している。

 

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ショッピングセンター内部に侵入した4人は、非常用物資を見つける。

缶詰を手にするフラン。

H版での、以降の翻訳。

 

フラン「牛肉があるわ」

ロジャー「缶切りはあるかい?」

フラン「持っていないわ」

ロジャー「大丈夫  鍵がついてる」

フラン「ステキね」

 

この缶詰は、底に開けるためのキーが付属しているのだ。

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光山昌男氏の監修字幕では、上のように訳される。

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最近のブルーレイでも、ロジャーのセリフは違う意味に訳される。

この場面は、最初に翻訳されたH版が正しいにもかかわらず他では全て意訳される。

とはいえ、場面としては意味のないやり取りだ。

缶を開けられないならまだしも、簡単に開けられるならば会話としての必要性が低い。

スポンサー絡みの商品宣伝でもあるまいにw。

 

 

スティーブンが眠っている間に、フランに留守を任せてSWAT隊員の2人は店内を探索。

内部をうろつくゾンビをかく乱するため、音楽を流す提案をするロジャー。

ピーターの指示ですべてのスイッチを入れたところ、エスカレーターまで作動して2階フロアーにゾンビの大群が押し寄せる。

それを見て、一瞬狼狽える2人。

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ロジャー「どうしよう?」

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ピーター「何をだ?」

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ロジャー「ライターの油だ」

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ピーター「あるさ」

 H版において、かなり正確に訳された部分。

後の他の翻訳では「やめるか?」と意訳されたり、ライター油を訳さないものもある。

 

 

店内に無事侵入し、物資を調達する2人。

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ロジャー「わかった  奴らのそばを右だ」

 

この部分のH版字幕の翻訳は、明らかに誤訳。

「wheel right by 'em」は、舵を取るという意味。

「カートに載せて荷物を運ぶ」のを、「右」と訳している。

 

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ピーター「試してみよう」

 

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ピーター「練習じゃなく本気でやるんだ」

 

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ロジャー「とてもムリだぜ」

 

こういった些細な場面も、翻訳がやり直される度に変わってくる。

 

 

助けに来たスティーブンと合流し、必要な物品を持ってフランの待つ最上階へ戻る男たち。

絆の深まる彼らとは対照的に、フランの孤独は深まる。

彼女とスティーブンはカナダの奥地へ逃げる計画だったが、もはやその希望は通らない。

ラジオから流れる情報は、各地の惨状を伝えていた。

男たちは、ショッピングセンターに立てこもる計画を立てるのだった。

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ピーター「もし奥さんが殺されたとして・・・」

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ピーター「彼女の首が切れるか?」

アルジェント監修版の予告編にも使われながら、ロメロ監督版の本編からはカットされた部分。

 

余談だが、映画マニアでも知られたクレージーキャッツの谷 啓氏が、ロメロ監修版を見てこう言ったと伝え聞く。

「SWATの場面は、ダダダダッ!が流れなきゃなぁ…」

 

僕も、そう思いますw。