スクリーンに雨が降る
Amebaでブログを始めよう!

20200110_212309.jpg

 

我々に与えられるのは、都合の悪い真実ではない。

誰かに都合良く操作された、情報だ。

 

 

僕がこの場で映画「ゾンビ」に纏わる話を書くのは、これが最後となる。

 

「ゾンフェス」の直後から、世界は一変した。

ウイルスによるパンデミックで都市の封鎖が起き、死の影が我々の日常を覆い隠す。

 

権力側に反する意見はデマとして排斥され、混乱した状況下で思考停止の人々は与えられた情報に従うのみ。

 

 

本作についても未だ‘メテオ流用説’は歴史から修正されないし、流れは変えられない。

 

つまり、誰かにとって都合の悪い情報は黙殺される。 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

それが真実であろうとも。

 

 

「ゾンビ」日本ヘラルド映画版の復元が、クラウド・ファンディング企画されていると知った時の僕の喜び。

少しでも良いものにしてほしいとの一念から、僕が所有するヘラルド版素材の情報提供を企画側に申し出た。

映像だけでなく、オリジナルである野中重雄氏の翻訳字幕も忠実に蘇らせたいと。

 

当初は反応がなく、時間だけが過ぎた。

「ゾンビ 日本初公開復元版」劇場公開直後に改めて、誤訳等の問題点をコメント欄からお知らせした。

公開版には間に合わなかったが、後に配布されるリターンBDではより良い修正は可能だ。

こちらの情熱をご理解いただけたのか、企画責任者の方からも良好な反応をいただき再現字幕を修正できる可能性に辿り着く。

 

しかし、字幕修正の提案を頑なに否定する人物が存在した。

彼の言い分は、「劇場公開した復元字幕を変更すれば、観に来たファンへの裏切りになる」というものだった。

 

SNSを通じてやり取りする中で、更に彼からは衝撃的な情報も伝えられた。

そもそもこのプロジェクトは、ヘラルド版の海賊版映像を基に進められたものなのだと。

彼自身、昔ある地方のマニアからヘラルド版の録画ビデオを入手したという。

後にそのルートで業者に渡り、違法コピーした海賊版として広く売買されたのだろうという憶測も交えて。

 

そして彼は、僕に次の言葉を残した。

「やったもん勝ちなんですよ」

 

その結果が、非売品という形で本作を愛するファンが所有しているリターンBDの翻訳字幕。

正確に復元するのを放棄した、投げやりに近い創作部分はそのままで。

 

完全再現は不可能にしても、改悪された状態で伝わるのは本来の字幕を生み出した野中氏への冒涜ではないのか?

こういう経緯があって僕は、Twitterという場で本作のファンに向けより正確なヘラルド字幕をお伝えする決意を固めたのだ。

海賊版流出という事の発端が僕にあるならば、こういうケリの付け方があっても良かろう。

 

誤解が生じぬよう明言するが、僕を牽制した人物はフィールドワークやスティングレイに属する者ではない。

業界に携わる方は、そんな情報を簡単に外部には漏らさない。

 

僕は、この企画を実現してもらったことが本当に嬉しかった。

それが誰の手によるものであろうとも。

だから、提示した字幕修正案を真剣に検討していただき、結果わずか一か所のみとはいえ僕の意見を通して下さったプロジェクトの責任者には、今も心から感謝している。

 

 

時間をおいて今、僕は静かに考える。

日本初公開復元版の字幕は、その9割がヘラルド字幕を一語一句正確に再現している。

しかし約80か所程の部分に誤字・脱字があり、一部に致命的な誤訳すら存在するのも事実。

その部分は、オリジナル盗撮ビデオの映像で判読困難な字幕なのだ。

先の彼の言う通り、ヘラルドフィルム海賊版映像を基に字幕作成が行われたのは、間違いないだろう。

 

海賊版ビデオを基に、当時の映画館で書き写した字幕だと偽り、原稿を持ち込んだ者が実在するならば、それは果たして何者なのか。

そこに、答えはない。

僕から言えるのは、その者には本作に対しての‘最善を尽くそう’という良心が欠けているのが、残念でならない。

 

最後に、未来に希望の種を蒔こう。

「ゾンビ」の日本ヘラルド映画を再現する企画は、まだ完遂されていない。

以下の画像をご覧あれ。

劇場公開時、本作はスクリーンの上下を切って上映されていた。

つまり、本当のヘラルド版は4:3サイズなのだ。

 

初公開復元版の映像は、スクリーンサイズで再現されている。

やろうと思えば、ノーカットで当時の公開フィルム色調をも再現補正した真のフルフレーム・日本ヘラルド映画完全版復活という夢が残されているではないか?

本来、ヘラルド版の初号プリントは119分が無修正・全編字幕入りで存在したはずなのだから。

そして完全な新規吹き替え音声による伊版の実現も、クラウドファンディングに望みをかけたい。

 

近い将来、次世代ソフトで本作が復活する時が来る。

その折には、これまでにない、そしてこれまでを超えるような素晴らしい新規翻訳字幕の作成を!

 

 

僕がTwitterから届け続けた字幕情報を、流用していただいても構わない。

 

誰が実現しようと、愛と誠意を持って形にしてくれるならば本望なのだから。

 

 

20191128_181033.jpg

 

ついに本日、「ゾンビ」日本初公開復元版のブルーレイソフトが届いた。

権利問題の為に一般販売出来ないので、クラウドファンディングのリターン品という形のみで入手出来る形態となってしまった。

だから本ディスクを手にしている者は、半端ではなく心底この映画を愛している証。

そんな同志の為に、もうこの世に存在しないと言われる「日本ヘラルド映画版フィルム」との最終検証だ。

20200424_113405.jpg

まず初めに言っておくが、「日本初公開復元版」は全てがオリジナルに忠実ではない。

字幕再現の情報も不確かであり、モノクロ処理の解釈も違っている。

ラストシーンがストップモーションになる等、TV放送時の演出も取り入れている。

が、僕はこれを悪い事とは思わない。

復元を目指しつつも、あえて今回だけの独自の演出も取り入れる方法。

もし今後、最初のプリントが発掘されるような奇跡が起きても、この復元版の存在意義が失われる事はないだろう。

 

検証に使用するのは、知る人ぞ知る「日本ヘラルド映画公開版」の盗撮ビデオだ。

これは録画時にホワイトバランスを合わせていないので、全編が真っ青になっている。

また、白い部分に字幕が被ると飛んでしまい、判読できない部分がある。

しかし可能な限り、自分の記憶も併せて解説していこう。

 

20200424_114718-COLLAGE.jpg

オープニングのTV局場面では、穴うめ局というヘラルド版の誤訳が修正されている。

オリジナル字幕の改変だが、正しい処置だろう。

 

20200424_122403-COLLAGE.jpg

モールに到着しての場面では、フランとロジャーの缶詰を巡るやり取りが改変された。

フランは「ステキね」と返している。

写真でも判読が難しいが、これをさらにダビングした後ならば全く読み取れなくなるだろう。

 

 

奇襲作戦を切り抜けて、フランの元へ戻った男3人の会話はかなり異なる。

一語一句違わぬ程正確な部分もあれば、全く想像で作られた字幕も見られるのだ。

この部分は、所持する映像でも字幕が読み取れない部分が多い。

それでも何とか拾い上げたので、比べて見てほしい。

 

スティーブン「市民はくるってるぜ/○○せん奴らだ/なぜ事態をここまで悪化させたかわからん/今回我々がやったことを見ろ/奴らをあれだけやって我々は無傷だ」

ピーター「奴らは手を出したぜ/運よく逃げ戻れただけだ それを忘れるな/あいつらを甘く見ると食われるぞ/奴らには有利な条件が一つだけあるんだ」

 

20200424_135856.jpg

ここが残念なところ。

ピーターの台詞を今回、上のように字幕にしている。

これは明らかな誤訳。

ヘラルド版の字幕は、「奴らは考えないことだ」

ゾンビの強みは、何も考えずに本能のみで動くこと。

 

20200424_140327.jpg

上を見るように、検証の為に色温度等を修正しても字幕判読が困難なのだ。

ピーター「あそこにいる奴らは/ ○○○○○○なんだ/毎日数がふえてるんだ」

スティーブン「だが簡単に阻止できる/市民が命令通りに行動していれば」

ピーター「○○○飛行機野郎/もし奥さんが殺されたとしてー/彼女の首が切れるか?」

 

20200424_155134-COLLAGE.jpg

ヘラルド版字幕の方が、「堕ろしたいかい?」とソフトな聞き方のピーター。

「まだ間に合う」が今回変更された意味は不明。

復元版の字幕では、「堕ろす」という言葉が重複して台詞として不自然だ。

 

20200424_141512.jpg

この部分は、撮影時のバッテリー交換で検証用映像に収録されていない。

しかし、実際のヘラルド版字幕は「行くぞ ナンバー2」だ。

 

20200424_143044.jpg

ここの字幕内容は、正直いただけない。

ヘラルド字幕では、「面倒をみてくれるな   俺が逝ったあとに」だったはず。

20200424_143322.jpg

かろうじて読み取れた部分として、以下のものがある。

ロジャー「何とかするよ  戻って来んように /何とかやってみるよ」

 

 

いよいよ、略奪者たちの登場だ。

モールを偵察するサビーニらの会話は、やはり少々違っている。

ヘラルド版字幕は、以下の通り。

「櫛かい?」

「知らんか?」

「おかしいぜ」

20200424_144710.jpg

一方、こんな素晴らしい改変もある!

復元版の上映字幕は、「畜生 動かせねえよう細工してやがる」だった。

それが、このブログで僕が主張した正しい意味のものに直っているのだ。

捨てる神あれば、拾う神ありかw。

 

20200424_145620.jpg

ここも残念ポイント。

検証用の映像では、何とかオリジナル字幕を読み取れる。

正しいヘラルド字幕は、「彼の銃声が聞えた 大丈夫らしい」

20191229_213335.jpg

 

 

さて、最後に明かす話がある。

僕が所有している「ゾンビ」の日本ヘラルド映画版の映像こそ、違法海賊版として流通しているものの原盤とされてしまったビデオテープなのだ。

20200423_204913.jpg

このテープはマスター直落としのコピーであり、本来のマスターテープの所有者は他にいる。

ただしその者は、これまで僕以外には一切他にダビングしていないとの事。

それが何故出回ってしまったのか。

そう、全ての原因は僕にある。

 

今から30年以上前だが、同じファン仲間との話でこのテープの存在を明かしてしまった。

その方に懇願され、情に絆されて一度だけダビングして渡してしまったのだ。

無論、マスター所有者の立場があるので、他には決して流さないとの約束の上で。

 

それから長い月日が過ぎ、ある日youtubeでこのテープの冒頭が公開されていた。

更には最近知ったのだが、一時は海賊版DVDとして違法販売までされていたという。

 

「やった者勝ち」などと嘯く奴もいたが、少なくとも僕はそれを金儲けに使おうとは一度たりとも考えなかったけどな。

 

裏切りと背中合わせの結果だが、しかし今、僕は後悔していない。

何故なら、この経緯がなければ日本初公開復元版という企画が持ち上がったにせよ、ここまでの完成度にはならなかっただろうから。

自分の手を離れた後の話とはいえ、これを基に完全なオープニングが復元出来たのだ。

それを思うと、実に感慨深い。

 

20200223_174402.jpg

 

ただ一つ残念なのは、もっと早くにこの企画を知ることが出来たならば自分が持つ情報や知識を生かし、より完全な復元版が作れただろうという事。

 

もし一般販売の機会があるならばと思ったのだが、どうやら難しい話のようだ。

 

だが、世の中は捨てたものではない。

 

最初は誰の目にも触れないような存在だったこれらの記事が、本作を愛する方々の目に留まり、何らかの意味を持てたのではなかろうか。

 

少なくとも、ここでの主張が今回のソフトに影響を与えた部分があるのならば幸いだ。

 

 

20200109_225801.jpg

 

今振り返ると、この映画との出逢いは自分にとって、やはり運命ではなかったか。

 

これらの情報や資料を持つ者は、他にもいた。

が、彼らは自らの手でここまで開示しようとはしなかった。

 

望むと望まぬとに関わらず、僕に課せられた使命こそ「ヘラルド」そのものだったのかもしれない。

 

そしてようやく、その役割を果たし終えた気がしている。

 

20200109_194952.jpg

 

覚えていてくれる者がいる限り、人の想いは消える事はない。

 

いつかまた機会があり、ここに記してきた情念の数々が何かの役に立てるならば

そして、これまでの何かを変えられるとしたならば…

 

 

Love is doing small things with great love.

 

20200111_173743.jpg

 

 

本作の伝説の一つに、幻のラストシーンが撮影されたというネタがあった。

今では事実ではないと認定されたが、この話の流通元は以下のものだ。

20200315_092732-COLLAGE.jpg

メイキング映像の「ドキュメント・オブ・ザ・デッド」の中で、監督本人が語っているのだ。

ただし、これはまだ映画撮影中のものであり、翻訳によっても意味が変わってしまう事も考慮せねばならない。

 

国内版ブルーレイボックスのライナーに、より詳しい話が書かれている。

一部は確かに撮影されたが、その最中にイタリア側からエンディングを変えてくれとの連絡が入ったとの事。

もしそのタイミングが遅れていたら、シナリオ通りのラストが存在したのかも知れない。

ただし、とっくに処分されてしまった可能性の方が高いのだがw。

 

⑦死人狩りの場面

ピーターがライフルでゾンビを撃ち倒す場面だが、米版と伊版で人数と挿入位置が違う。

米版は「ディレクターズカット版」の時点でも既に127分版と同じなので、どちらがラフカット版の形態だったかは推測しか出来ない。

 

20200223_171325.jpg

101107_1548~01.jpg

この映像は、一部でアルジェント別撮り説も存在したもの。

しかし、メイキング映像ではロメロが撮影しているのが確認されている。

先の場面、米版が切って入れ替えたのか、伊版が抜き出して付け足したのか…?

20200223_171414.jpg

ちなみに、この頭部弾着映像は完成作品では使われていない。

NGだったのか、編集で落とされたのか。

20200115_164805-COLLAGE.jpg

前回書いたように、ロメロは沢山の素材を撮影して編集で切りまくる。

スライドドアで手を千切られる場面も一瞬しか使われていないが、このように延々と撮影されているのだ。

無論、これらの映像はラフカット版でも採用されてはいないだろう。

 

⑧忘却の場面

20200314_223219.jpg

いずれ現れるであろう略奪者に備え、対策を練る二人。

20200314_223537.jpg

撮影で使用されたシナリオには、手書きで図面が書き込まれている。

20200412_171317.jpg

階段を壁で塞ぐ作業では、塗装で隠す提案をフランがしている。

ここの映像は、米版・伊版とも編集が違い、ある者は別テイクだなどと解説していた。

が、先に述べたように本作にその可能性はないと断定する。

それぞれが違う部分を切り、違う部分を残した。

よって、ラフカット版に存在したはずの部分だ。

20200412_172954.jpg

シナリオでは遺体を銀行の金庫に収納しており、現場で冷蔵庫に変更された。

このスティーブンとピーターの会話も、その流れで削除されたのだろう。

 

20200412_175938.jpg

伊版にのみ残る部分。

これにより、フランの化粧場面に音楽と店内放送が被る流れのはず。

しかし、米版では音楽が流れない。

ラフカット版の時点では音楽が使用されていたのか、実に興味深い。

また、これら一連でシナリオにセリフが存在するのは、TVを消すか点けるかで険悪になるフランとスティーブ及びヘリの練習場面のみ。

ディナーの場面など、現場の即興で考えられたものなのだ。

 

⑨狂気の一団の場面

20200412_180700.jpg

屋上のヘリを見つけた、略奪者の集団。

仲間に、クシを自慢するサビーニw。

大抵の訳で、「おかしいぜ」といった否定で解釈される部分。

しかし、彼のポジションは軽く舐められるようなキャラではない。

[sweet]のスラングには「素晴らしい、かっこいい、いいね!」などのニュアンスで使われる場合がある。
同義に[cool]があるとされ、ここを訳すならば「クールだねぇ」が相応しいのではなかろうか。
 

略奪者たちの台詞は、トラックに乗った彼らが「配線を繋いだままだ!」という以外は全てと言っていいほど現場の即興。

20200115_204608-COLLAGE.jpg

メイキング映像でのみ確認出来る、弓矢でゾンビを射る場面。

最終的に切られた理由は、あまり効果的な演出にならなかったのか?

また、ラフカット版には残されていなかったのだろうか…

 

20200112_113048.jpg

ハンマーで殴られた彼らは、まだトドメを刺されていなかった!

しっかり起き上がる場面を撮影している。

でも、流石にこれは蛇足。

ラフカット版でも使わなかっただろう。

 

20200223_173707.jpg

略奪者の蛮行を、ロメロ監督自らが演じる!

鉄球を振り回していたのもロメロだったw。

 

⑩メイキング

20200108_200134.jpg

後の、ロメロ夫妻。クリスティーン・フォレストは本作の助監督。

撮影現場が、毎日のデートスポットだw。

 

20200223_171724.jpg

トム・サビーニの担当は、メイク全般。

スタントもこなしてくれて、本当に有難いお方!!

 

20200223_172039.jpg

こういう些細な写真でも、現場の空気を感じられるのが嬉しい。

 

20200110_214447.jpg

スケートリンクでの射撃練習場面は、ロングショットなので演者の衣装がよく見えない。

よって、貴重なスチール写真だ。

 

20200112_120740.jpg

サビーニの横で、本番を前に御茶目なゾンビガールズ。

ここは天国だなww。

 

20200115_200145-COLLAGE.jpg

本作の貴重なメイキング映像は、多数存在している。

この部分はフィルムでなく家庭用VTRで撮影されていて、もっと長尺で公開して欲しい!

 

以上で、映画「ゾンビ」ラフカット版に関する検証は終わりとなる。

ファンの間で生涯語られ続ける、幻のバージョン。

当初、雑誌記事では3時間近いと伝えられた。

しかし、ロメロ監督自身はあるインタビューで、本作をそんなに長くは撮っていないよと証言している。

 

今回の検証で導き出した僕の結論は、ラフカット版の総時間は160分程度だろう。

米版と伊版を繋いでみれば、既に150分以上の映像となる。

関係者の証言では現時点で、デイリーフィルムやNG等全て破棄されたと伝えられる。

しかし、半世紀を経て「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の別テイク映像が発掘されブルーレイに収録れされたように、常に希望は持ち続けたいものだ。

 

20200223_172911.jpg

空港での襲撃で、アイコンにもなったゾンビがピーターを襲う場面。

本編では、部屋に入る前に射殺される。

しかし上のスチールを見る限り、室内で撮影されたと思われるショットが存在しない。

その回答が、本作のメイキング作品「ドキュメント・オブ・ザ・デッド」でのロメロ監督のこの言葉だ。

 

「一杯撮って何を使うか 編集段階で選ぶ」

20200315_093936.jpg

 

一部のファンが、本作を話題をする時の疑問。

米版と伊版の違いに関して、別テイク素材を使ったという解釈をたまに見かける。

しかし、ラフカット版を元にしている以上、そこに別テイク映像が含まれる余地はない。

切ったか残したか、それだけの違いだ。

アルジェントが別撮りした素材があるという伝説は、LDライナーで光山昌男氏が初披露した話。

映画「メテオ」からの惑星爆発流用説と、同じレベルの与太話なのだ。

実際に米版と伊版を比べて、そんな可能性のある映像が1カットでもあるだろうか?

では、ラフカット版の全貌をシナリオを元に解析していこう。

 

⑤ショッピングセンターの場面

20200314_154610.jpg

ここのスティーブンとロジャーのセリフは、シナリオにない。

また、ラフカット版の後で米版はセリフのみを一部入れ直している。

よって、伊版と米版でセリフの違いがいくつか生じている。

 

20200314_155004.jpg

シナリオでは、この部分の前にもセリフが存在。

20200314_155354.jpg

おそらく、撮影はされたのではないか。

米版・伊版とも過不足があるので、ラフカット版では全て揃っていたのかも。

20200314_161907.jpg

ロジャーを連れて階下に降りるピーター。

一部明らかに変更されたセリフもあるが、結構飛ばされている。

20200314_160744.jpg

ここの編集は米版・伊版での違いがないので、ラフカット版でも同様の可能性が高い。

20200314_162029.jpg

カギを見つけるロジャー。

米版・伊版とも同じような編集だが、ディレクターズカット版にのみ先行下見場面が残っている。

更にシナリオでは、最初に廊下に出る前に社長室を見つけている。

20200314_161039.jpg

しかし、この部分は存在しないと解釈する。

後に自殺しているポーター社長を見つける場面が、撮影時に変更されているからだ。

 

20200314_213150.jpg

店内に突入前の、二人の会話。

ライターオイルの件は、現場での即興。

シナリオからの変更も多く、この後の店内突入も店のドアはリングシャッターが下りている設定。

が、映像ではシャッターが開いたままの状態だ。

フランとスティーブの会話場面も、挿入部分がシナリオでは全て前倒し。

20200314_164549.jpg

上の場面は、シーン275。

シナリオで興味深いのは、シーン277が削除され、インサート指定でA~Eの追加がある。

20200314_163832.jpg

20200314_165311.jpg

スティーブンの銃声に驚く二人。

完成映像と違い、ブロック分けされていない。

20200314_165133.jpg

米版・伊版とも同じ構成なので、ラフカット版の時点でもシナリオと違う編集にされたようだ。

20200314_170852.jpg

フランがクリシュナ・ゾンビに襲われる場面。

手に発煙筒を3本持っているが、米版・伊版とも2本しか点火しない。

自分で編集しても綺麗に繋がらないのは、ラフカット版では3本使用しているはずだから。

20200314_172921.jpg

ゾンビを甘く見るスティーブンに、釘を刺すピーター。

ゾンビ増加の危機感をおとぎ話に例えて話すが、おそらくシナリオの時点で削除されたと思う。

また、伊版の予告でも使用された「彼女が殺されたとして、君はその首を刎ねられるのかい?」

という部分を米版ではバッサリ刎ね飛ばす。

まさか、これをアルジェントが別撮りした素材だと主張するような方はいないだろうw。

20200314_214920.jpg

フランとスティーブンの会話は、シナリオより短い。

伊版ではバッサリ切られたので比較できないが、ラフカット版では全て存在した可能性がある。

一方、会話の途中で一体のゾンビが階段を上がって来る。

気配に気付いたピーターが途中で会話を止めるのだが、ここはシナリオのみで撮影されていないと推測する。

 

⑥防衛作戦の場面

20200314_174719.jpg

男三人が作戦計画を打ち合わせる場面は、伊版がシナリオのまま。

ただし、後半から抜き出したゾンビ徘徊映像をインサート編集している。

米版は、ラフカット版の再編集時にセリフを入れ替えている。

20200315_111754.jpg

作戦に参加させろというフランを、論破するピーター。

米版では、たったこれだけのセリフも切り落としている。

時間調整の為、ラフカット版に細かい削除を施したロメロ監督。

大まかな切り口の伊版との比較も、面白い。

20200314_175948.jpg

窓の向こうを、ゆっくり走る車。

ロメロは何故、この部分を丸々ラフカット版に残したのか。

後に米版では短くしてごまかしたが、伊版でそのまま使用された。

20200315_093742.jpg

まさか、このサイズでしか確認しなかったから見落としたなんてオチじゃないよなw?

残す方も残す方なら、使う方も使う方だ。

しかし、トランポリンの写り込みも含めてこういう突っ込み部分も、ファンが楽しめるオチャメさだったりして。

 

結論。

好きなら、何でも許してしまえるのだ(笑)!