なぜ君たちは、Sなのか | 悠々自適に綱渡り
「あー、ちょっと相似に時間使いすぎちゃった。三平方の定理どうしよう!」

試験を2日後に控え、少女は慌てるのだった・・・

そして、次の瞬間にこう言う!

「先生、明日までに、解いて送ってもらうことってできますかぁ・・・」

この状況で、「できない」とは言えないのがサービスマンなんですよね・・・加えて、甘えられると弱い。

かくして、授業後にコンビニへおもむき、コピーされた問題を受け取って帰るのでした。その数16問。

16問くらい、楽勝だよ!と思いきや、証明やら、図形やら、面倒な問題ばかり。しかも、翌日の夜7時までに送って!と言います。翻訳の業務を片付けながら、

「中点連結定理より・・・」
「二組の対辺がそれぞれ等しいので・・・」

などなど、こっそり解きます。解いた問題は、スキャナに取り込んでPDF化し、メールで送ります。

そうして、15問目までは順調に解けたのですが、ラスト16問目を解こうとしたとき、本日の忙しさピークが訪れたのでした。

見積もり、受注、手配、納品・・・
来客、営業、問い合わせ・・・

雨のように降ってきまして、結局1問だけ解けずに終業時刻を迎えてしまいました。

そして、本日は忘年会!

ということで、残務をぱぱっと片付けて、会場へ行く必要がありました。悠長に証明を解いていられないのです・・・

そんな最中、携帯にメールが!!

「先生、最後の問題はいつ届きますか」

急いで打ち込み返します。

「忘年会の合間に送ります!」

そして忘年会。少し遅れたせいで、顧問の前に座ることに!!
顧問の説教ライクな話を聞くだけでなく、聞いていることを示すために目を合わせる必要があり、とてもとても、問題1問を解くために席を立てる雰囲気では無いのでした。私にできることは、酔って倒れてしまわないように、アルコールを抑えるくらい・・・

「まー、そういうわけで君は、対人関係のスキルをね、もっと磨けば、一気に伸びます」

おっ、これは話の締めか!と期待するも、

「私なんかは、もう裏の世界までいろいろお付き合いをしてきましたから・・・」

と第二ラウンドがスタート。まずい、この自慢話は長くなる・・・

顔が青ざめ始めた瞬間に、従業員がやってきて、

「すいませーん、30分までになります・・・」

と帰れコール。やった、私は救われた!!

解散後、急いで問題を解き、ラスト問題を送りました。三平方の定理の証明問題です。

「アルコールを抑えて堪え切ったよ。頑張ってね」

となぜか興奮した口調でメールを打つ私。そして、生徒からは、1通のメールが返ってきたのでした。

「解説ありがとうございます。では今から勉強するのでさようなら」(最後句点無し)

Too simple !

あまりにも、あまりにもつれない!!「おやすみなさい」ではなく、「さようなら」だし!!

・・・まぁ、こんなもんさ。あのコはいつもこうなんだ。