ある状況や出来事に遭遇した時、心の中に沸き起こる気持ちは、「当然」そのように感じるから感じるのではなく、「自動思考」と呼ばれるその人独自の考えやイメージによって起こります。

例えば、犬を見かけた途端「可愛い」と感じる人もいれば、「噛みつかれるんじゃないか」と感じる人もいます。また、仕事のミスから上司に注意された時、「やっぱり自分は駄目な奴だ」と思う人もいれば、「問題が大きくなる前でよかった」と思う人もいるでしょう。

このように自動思考とは、人それぞれのモノの捉え方(認知が)癖となり固定してしまったもので、以後、似たような状況で自動的にその考えが浮かぶため、いつも同じような結末を迎えてしまう、ことになるのです。

例えば上記ににもあるとおり、「注意される=自分を否定される」という自動思考(思考の癖)を持っていると、ほんの少し批判されただけで、自分の存在全てを否定されたように感じて過剰に落ち込んでしまったり、または相手を攻撃してしまったりする場合などもあります。

また、「他人の機嫌の良し悪し=自分の責任」という自動思考の持ち主は、パートナーの機嫌の悪さに過剰に反応してしまうかもしれません。

こうしたことは、友人にでも相談すれば、必ずと言ってよいほど、
「注意 されただけじゃない。なにもあなたが必要ないなんて言っていないと思うよ」
「彼は仕事で疲れているだけなんじゃないの?あなたのせいではないよ」

などとアドバイスされるのですが、何しろ自動思考は認知の歪みの固まりが作り出したものですから、「そんなこと言ったって、そう思うんだから仕方がないじゃん。そうとしか思えないんだから」と、なってしまう訳なのです。

代表的な認知の歪みを幾つか書き出します。
・「心のフィルター」 わずかに良くない出来事にこだわって、そればかりを考えてしまい、 その他の良い出来事は無視してしまう傾向。
・「プラスの否認」 自分にとっての良い出来事を無視、あるいは悪い出来事にすり替えてしまう。
・「全か無か思考」 ものごとを極端に、白か黒かに分けて考えようとする傾向のこと。
少しのミスでも完全な失敗と考えてしまう。
・「拡大解釈と過小評価 」 自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価する。
逆に他人の成功を過大評価し、他人の欠点は見逃す。
・「感情論」 犬をみるととても怖い。だから犬は危険な動物にちがいない。
などのように、物事を自分の感情で決めてしまう。
・「レッテル貼り」 一つのことに失敗した人を「あの人は全てにおいて本当にだめな人間だ」と
決めつけてしまう。

失敗体験だけを集め、成功体験を無視してしまったら、それは自信がなくなって当然ですよね?自分の失敗は過大に考え、他人の成功を過大評価してばかり いたら、私はやっぱり駄目なんだ・・とつぶやいてしまいそうです。

何だか苦しいぞ。と感じたら、自分がどんな呟きを心の中で繰り返しているのか探ってみると良いかもしれませんね。私はやっぱり駄目なんだ、また失敗するだろう、**さんは素晴らしいなぁ。。それに比べて・・・えとせとら・・・こんな呟きが聞こえたら、要注意!

そしてそれが「いつものパターン」だとしたら、間違いなく、何らかの自動思考が働き、その下には、上記のような認知の歪みがあるのです。