安倍政権、中から見ても順風満帆
安倍内閣の支持率は、どのメディアの調査でも軒並み60%超え、自民党支持率も30%を超え、順風満帆ですね。
そのような外から見た安倍政権の状況は、読者の皆さまもよくご存じでしょうから、私は中からはどう見えるかを書いてみましょう。
1.よい緊張感がある大臣と役所
長年慣れ親しんできた自民党政権に戻るんだから、役所と大臣や与党との関係も昔ながらのものになるかと思いきや、割と緊張感があると感じます。
自民党側からは、役所は3年以上民主党政権に仕えてそのカラーに染まっているように見えて、塗り替える必要があると思うのでしょうね。
役所の側もそれについていくのに懸命。
政策の中身はそう簡単に変えられないものもあるので、説明する言葉を変えたりして工夫しています(「取り戻す」が使い勝手がよくて便利。「この3年で失われた○○を取り戻す」と書くと、何となく心を入れ替えたっぽい)。
幹部は常に大臣の意向にピリピリして大変そうですが、幹部ではない気楽な私が、一国民としての目線で見ると、よい緊張感だと感じます。
政治と官僚のあるべき距離感・緊張関係が、政権交代直後という時期ゆえに自然に生まれた感じがします。
2.政権交代直後は基本的に無敵状態
政権交代直後の新政権は、基本的に無敵状態になります。
悪いことが起きれば、前政権のせいにできます。
また、自分の政策で必ずいいことが起きると言っておけば、誰も否定できません。だって、まだいいも悪いも結果が出てないんですから。
自民党の皆さんは割と本気で、うまくいかなかったのは民主党のせい、自分たちなら日本をいい方向に変えていけると信じているようです。
ちょっと無邪気すぎないか?とも感じますが、そういう政治のある種の無邪気さ、自信満々さが、民主主義国家のダイナミズムを生むのでしょうね。
アベノミクス、毅然とした外交、国土強靭化によって、本当に日本がいい方向に変わることを、一官僚として、また一国民としても願っています。
3.参院選までは成長戦略に集中
安倍政権の方針は、参院選まではとにかく成長戦略に集中するということ。
極めてわかりやすい。
どの省庁も、「この政策で経済成長に貢献できる」という政策の打ち出しに躍起になっています。
3~4月に各省庁がそういう政策を打ち出し、5月の成長戦略、6月の「骨太の方針」に集約され、それをベースにした公約で自民党は参院選を戦うことになります。
今後しばらくは、そういう経済成長色のついた花火がいくつも景気よく打ち上げられていくことでしょう。
もちろん、そういう政策が本当に経済成長につながるのかには大いに疑問符がつくわけですが、疑問符はついても完全否定はできないのは強い。
また、どの省庁も、つまずきの石となり得る難しい政策判断は、7月の参院選の後に先送りするスケジュールを組んでいます。
消費税増税は、4~6月の経済動向が8月に出るのを待って、秋に判断。
原発再稼働は、7月頃に新しい安全基準ができるのを待って、秋に判断。
TPPもそうでしょう。
この鉄壁の守備を野党が参院選までに崩すのは、かなり難しい気がします。
4.慎重な発言に徹する各大臣
各大臣とも、2つの意味で非常に慎重に発言しているように感じます。
1つには、不用意な失言をしないということ。
政権全体の雰囲気が、選挙モードの緊張感に包まれているのと、政権の課題が経済成長と外交に集中しているのとで、そこから外れたお気楽な軽口を叩くのがはばかられる感じがします。
もう1つは、閣内不一致を見せないということ。
個々の政策課題について各大臣の意見が違うのは、民主党政権下でも今でも同じなのですが、それを外に見せるかどうかが違います。
民主党は「議論すれば最後は一致できる」と信じて、各大臣の初期の意見の相違を外に発信していたのでしょう。
ここ3年でそういうのに慣れていたので、新政権の大臣たちが意見の相違を外に見せることを嫌うのは、私にとっては今さらながら新鮮な発見でした。
閣内不一致が政権の失速につながることを知り抜いているのでしょうね。
不用意な失言ももちろんですが。
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以上、中から見た安倍政権の印象を書いてみました。
ひとことで言えば「順風満帆。参院選前に失速する可能性は低い」ということになるでしょうか。
もちろん、好事魔多し、ではあります。
安倍政権発足から今で1月半。鳩山政権発足の1月半後といえば、事業仕分けフィーバーの真っ最中でしたから。