When I was younger so much younger than today
僕が大学生の頃、心理学の本を読んでいたとき、
抜毛症という自傷行為の一種があることを知った。
抜毛症とは、精神的ストレスが原因で自分の髪の毛または他の体毛を抜き続け、
ひどくなってくると部分的に、もしくはそれ以上に、
ハゲまでできてしまう症状のことである。
僕は小学6年生から中学1年生にかけて、まさしくその症状があった。
その原因ははっきりしていて、中学受験のストレスによるものだった。
ところが当時は、僕はもちろん周囲の人もそういう知識がなかったのもあろうが、
なんらかのケアをしてもらえるどころか、逃げ道を全部ふさがれ、
ただただ受験戦争に突入させられるばかりだった。
「自分はあのときそこまで追い込まれていたのか」とがっくりきた。
僕が小学5年生になるとき、中学受験のために塾に行くことにした。
まあ兄も中学受験をしてなんとなく自分もするものだと思っていたし、
兄のときは塾は週3回ほどで土日のどちらかはなく、
それほど負担は大きくないと思っていたからだった。
ところが、兄が中学受験のときとは違う塾に行ったからか、
小学6年生になってしばらくしたあたりから、塾は土日を含めた週5日になった。
この塾は合格実績のために生徒に怒鳴り散らすことをいとわない高圧的な塾だったが、
さらに「月月火水木金金」の、まさしく受験戦争に突撃(特攻?)の世界だった。
この頃は心休まるのは学校に行っているときだけで、
心理的・時間的な負担の大きさもさることながら、日曜の授業が最悪だった。
普段は分校に通っていたのだが、日曜だけは電車で塾の本校まで行って、
朝は9時から17時まで、長いときは19時まで塾に詰められていた。
その算数と理科を担当していた講師(先生とは呼びたくない)が
人格的に問題がある人で、今でいうハラスメント三昧の人だった。
体が大きくなっている中学生相手だとそこまでできないのだろうが、
まだ体が小さい小学生相手となるとなめてかかって、いきって暴言だらけの人で、
毎週の授業が苦痛で仕方なかった。
その人に問題を感じているのは僕だけではなかったようで、
「母からあの先生の授業は受けなくていいと言われています」と、
親から指示されて授業を回避している奴もいたし、
その講師の授業の前に、女子が集団でお腹が痛いと言って早退したこともあった。
「腹が痛いときは前かがみになるのにあいつらはなっていない。仮病だ」と
指摘している奴もいて、確かに食べているものが違うのに
集団で腹痛なんてのはおかしな話だが、まあ真実は分からない。