数年前、インフルエンザから回復したがまだ出社できない数日に、
エッセイ集の『司馬遼太郎が考えたこと』全15巻を買った。
ずっと6巻だけ持っていて、他の巻も読みたかったのだけど、
時間はなかなかないし、図書館にもブックオフにもなく、
お金もできるだけ使いたくなかったので、なかなか踏ん切りがつかなかったのである。
しかしまあ、病気後の怪我の功名というやつで、中古でまとめて買ってやった。
それを読んだ今では、もっと早く買っておくべきだったと後悔した。
僕は日本人全員が一度はこの本を読むべきであり、
もしそうなれば日本人全体の知的レベルが何段階か上がると思う。
昔の中国の帝王学では必ず歴史書を読むカリキュラムがあったというが、
現代日本人の教養として必修にしてもよいと思う。
僕は司馬遼太郎は中学ぐらいからたくさん読んでいて、
『関ケ原』、『竜馬がゆく』、『燃えよ剣』、『項羽と劉邦』、『坂の上の雲』、『花神』、
『国盗り物語』(の後半だけ)、『翔ぶが如く』、『義経』と7、8割がたは読んでいると思う。
そして、社会人になって年齢も重ねた今だからこそ思うが、人物の観察眼といおうか、
やはり描写はすごく優れていると思う。
しかも、社会人になってから読み返してみると、若い頃とはまた別の見え方がある。
『国盗り物語』での、明智光秀が謀反に至る心境などすごく説得力があるし、
『翔ぶが如く』での、維新の功労者である西郷隆盛が西南戦争に至る経緯なども、
明治新政府と薩摩士族との板ばさみの苦しさが察せられる。
なかなか教科書からだけでは分からない。
そのような話は『司馬遼太郎が考えたこと』にも盛りだくさんにあって、
歴史に関する情報の多さはもちろんのことだが、最初の方は意外とユーモアもある。
仕事帰りに電車を待ちながら、勤めている新聞社の同僚である奥さんにプロポーズしたら、
思ったより声が大きかったようで、周りの人が一斉にこちらを向いた話とか、
プライベートの話も面白い。
このように本を読む楽しさが存分に感じられるもので、
秋の夜長の読書としては、最適なものではないかと思う。