さて新年会の当日、場所は畳の上のお座敷の会場で、
カラオケセットのマイクを使って司会が進行していった。
僕のチームは1番目ではなかったが、料理を食べビールを飲みながらも、
本番で自分のネタを忘れてしまわないよう気が気でない緊張感がある。
そもそも「このネタでほんとにうけるんだろうか」と心配だが、
かといってよりよいネタを考えることができるわけでもない。
そんなモヤモヤを感じながらもついに、僕らのチームの順番が来た。
まずは女性陣から。
だいたひかるの「私だけ、私だけ」のネタで部内の誰かをいじったりしていくが、
普段それほどノリが良いわけでもない、僕より年長の女性陣も意外と堂々と話し、
しかもそこそこうけている。
「案外いけるもんなんだなあ」と感心していると、ついに男性陣の番になった。
チーフが用意した「ヒロシです」のBGMをCDで流し、まずは男性一人目がネタを始める。
「ヒロシです。名前がヒロシというだけでこのネタをさせられました」。
この人はひろしという名前だったので、そこそこうけた。
そしていよいよ2番目が僕の番だった。
マイクを左手に持ち、ヒロシがやるように右手をポケットに入れて、斜に構えて言った。
「○○○(僕の名字)です」。
その瞬間、ネタを言ってもないのに、先ほどの何倍もの声でみんなが一斉に笑いだした。
まるで考えていなかった意外な反応にかなり面食らった上に、
あまりにみんながゲラゲラ笑っているから、僕まで笑えてきてネタも言い出せない。
「もうええ。もう何も言わんでもええ」という声まで聞こえる。
とはいえ僕もネタを言わなければいけないと思ってるので、なんとか言いきり、
そしてまあまあうけた。
2つのネタの1つは忘れたが、もう1つは、
「こう見えてもジムに入って鍛えようとしました(当時かなり細かった)。
でも、もう辞めました」というものだった。
他の人のもそこそこうけていて、他のチームの出し物と比べても、
この初めての試みは成功といえる出来だった。