「ジュニア時代とアイドルとの違い」
高校受験が近づいてきた頃、少年隊のデビューが決まった。
これは次のデビューは私達の番だということを暗に意味している。私の周りはにわかに色めきたった。
しかし何故か私の中で冷めた部分があった。
当時の私は自分の置かれた境遇を妙に客観的に分析していた。
そして気がついたのは、ジュニア時代は過保護なほど可愛がられるのだが、デビューすると一転して使われる身分になるということ。
アイドルと言っても所詮は使われる身分。
時代が終われば使い捨てられる。
それだったら自分はしっかり勉強して、ジャニーさんのように使う側になろうと。
こう考えた私は事務所をやめることを考え始めた。
そもそも自分はアイドルになりたくて入ったわけではなかったため、この中学校の3年間十分芸能生活を味わったと感じていた。
また、人を蹴落としても、自分が出る。
そんな世界に嫌気がさしていたのもあるが、なにより一番は
「選ぶ立場か選ばれる立場か」
を、少年ながらに意識してしまったからだ。
今思うとこれが私の成功志向の始まりだったのかもしれない。
4へつづく 「デビューが決まるには」
初出:月刊「アメリカン★ドリーム」 ニューヨーカーの条件 2011年3月号
板越ジョージ 博士(学術)
ワインソムリエ、温泉ソムリエ
クラウドファンディングコンサルタント