「デビューが決まるには」

 

元々家庭が貧乏だったこともあり、それとは恐ろしいほどに鮮やかなコントラストを見せる
ジャニーズの世界が、私を何か大きなことをやってやりたい、成功者、勝ち組になりたい
という強い思いに駆り立てることとなった。

中学時代は芸能生活が忙しく、ろくすっぽ勉強をしていなかった。


このままでは世間を知らない教養の無い人間になってしまうという焦りが高校受験を決意させた。

私はとりあえず3か月間ジャニーズを休み、死に物狂いで勉強をした。
その結果希望の高校に受かったのだ。

その後一度は芸能生活を再開したが、すっかりこの世界への興味は薄れてしまい、
高校入学後しばらくしてジャニーズをやめることとなった。

 

テレビでは自分の同期が光GENJIとして華々しくデビューしていた。


辞めた私は悔しさを禁じえなかったが、その反面、将来彼らを超えてやるという成功志向的な
強い野望を抱いた。

この頃私が子供ながらに考えていたことは、

 

「たった一人の人間の意向で人の人生が大きく左右される」

という残酷さだ。

ジャニーズ事務所で言えば、ジャニーさんの決定でデビューするもしないも決まってしまう。


それは誰も教えてくれないがとてもリアルな社会の縮図だった。
私は「人に左右される側ではなく、する側」になりたかった。

若い時はどうしても、すべては誰かに環境を支配され、

自分で何かを決めたくても否応なしに決められてしまう存在である。

「自由とは何か」

 

と考えたとき、やはり「人に選ばれる立場よりも自分で選択した道」を歩みたい。

私は自分で決めた生き方をしたい。そのためにNYで起業もした。


そんな折に知人の演出家の言葉を聞き、自分と同じように考えて生きてきた人が
居ることに勇気づけられた。

自分を見つめなおすということにおいては、ニューヨーク生活は心地よい。
人に左右されずに常に自分の立ち位置を感じながら生きていける。
ここでは他人に干渉されることはない。

リスクさえ恐れなければできる。自分で選んだ道であれば後悔もないはずだ。
また、自分で選んだ道だから、そのことを大切にでき、余裕をもってことにあたれるだろう。


 

終わり

 

初出:月刊「アメリカン★ドリーム」 ニューヨーカーの条件 2011年3月号


板越ジョージ 博士(学術)
ワインソムリエ、温泉ソムリエ
クラウドファンディングコンサルタント


YouTubeやってます。


 

Yahoo Newsでも取り上げられました。

「僕がジャニーズを辞めた理由」元ジャニーズのNY在住経営コンサルタントにインタビュー

https://news.yahoo.co.jp/byline/satoutomoko/20150824-00048564/