「合宿所での生活」
当時、ジャニーズ Jr.は20名ほどの少人数で仲間が順番でアイドルになっていった。
私も中学3年間、テレビやドラマなどに出演をした。
それは一種独特な非日常が繰り広げられる世界だった。
一度この世界を知ってしまうと、二度と忘れることはできない。
ジュニアの子たちは誰もが皆、マッチやトシちゃんに憧れ、派手な衣装を着て舞台に立つことを夢見ていた。
しかし不思議なことに、私の興味はどちらかというとジャニーズ事務所の社長であるジャニーさんの存在そのものだった。
レッスンが終わるとジャニーさんのピカピカの黒塗りの大きなベンツに、少年隊や、他のジュニア達と乗り込み、原宿のジャニーさんの自宅兼合宿所に行く。
初めて見る原宿の高級マンションはアメリカを感じさせるインテリア。
中には田原俊彦さん、近藤真彦さん、川崎真世さんが住んでいる。
広々としたリビングルームには見たこともない大きなテレビと、オーディオセットがあった。
バスルームは私の家の居間ぐらいの広さがあり、そこにはジャグジー、アメリカ製のシャンプーや石鹸があった。
彼の生活、彼のステータス、そして存在感を思い知らされた。
ジャニーさんはロサンゼルス生まれの日系二世であるため、彼のアメリカナイズされた暮らしはカルチャーショックだった。
頂点を極めた人の生活を垣間見てしまったことと、海外に対する強い興味が芽生えた。
高級感あふれる広々とした空間、嗅いだこともないシャンプーの独特の匂いは今でも私の脳裏に焼きついている。
「天下を取るとはこういうことか」
という思いが漠然と芽生え始めた頃だった。
著者 中学1年生
3へつづく「ジュニア時代とアイドルとの違い」
板越ジョージ 博士(学術)