「私は私の現実を生きていく……。」
[幻想から覚めて]
原作: 東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.
作曲: ZUN
曲名: 妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal
サークル: 上海アリス幻樂団
メイリン「今週は如月祐介が東方妖々夢の『妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal』という曲に付けた『幻想から覚めて』という歌詞を公開するわよ。」
「彼が2017年12月15日に書いた歌詞で、『幻覚と幻聴によって自我を喪失し、現実と幻想の狭間で本当の自分を見つける女性』を描いているの。」
「東方紅魔郷の音楽の多くに歌詞を付けた彼は、次作の東方妖々夢というシューティングゲームの音楽を聴き始めて新たな世界観に挑戦したみたいね。」
「でも東方妖々夢の音楽は前作より複雑でテンポが早く、当時の彼の作詞能力では難易度が高いように感じて歌詞を付けられないと思っていたのよ。」
「この歌詞を付けた曲はこちら……。」
原作: 東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.
作曲: ZUN
曲名: 妖々夢 ~ Snow or Cherry Petal
サークル: 上海アリス幻樂団
メイリン「如月祐介はこの曲から内省的な精神世界のイメージを感じ、ファイナルファンタジーVIIのクラウドとティファを思い浮かべたみたいね。」
「ふたりがライフストリームに落ちて精神世界を迷う場面では、ティファが寄り添って真実を伝え、クラウドが幻想から抜け出す姿が描かれているの。」
「クラウドは神羅のソルジャーになるために村を出たんだけど、夢を叶えられずに自我を喪失し、本当の自分を隠して理想を演じるようになったのよ。」
「それだけに物語の序盤から幻聴に悩まされ、本当の自分と理想の狭間で葛藤し、徐々に精神が分裂して現実と幻想の区別ができなくなってしまうの。」
「彼はクラウドの設定を統合失調症 (旧: 精神分裂症) の妄想型という精神障害が題材だと分析し、それを女性に反映させて歌詞に描こうと思ったのよ。」
メイリン「統合失調症の妄想型は幻覚と幻聴などが症状として表れるんだけど、本人は実際に起きている現象だと錯覚して見分けがつかないのよ。」
「だから自分を偉大だと思い込む誇大妄想や、誰かに命を狙われているという被害妄想などが表れ、全く根拠がないのに事実誤認を連発してしまうの。」
「如月祐介は統合失調症を患ってなくて幻覚と幻聴はなかったけど、若かった頃は精神障害で苦しんでいたからクラウドを理解しやすかったのよ。」
「若かった頃は過度な同調圧力が横行する現代の日本社会で他人に合わせ、本当の自分を隠して文系の才能を封印し、普通の人を演じて生きていたの。」
「そして職場のトラブルや精神障害の悪化などが重なって社会から強制的に切り離され、不屈の精神で苦しみを乗り越えて本当の自分を見つけたのよ。」
「そこには幻覚と幻聴で苦しんだ末に社会から疎外されるように隔絶され、幻想の中で本当の自分を見つけて立ち直る女性の姿が描かれているわよ。」
「彼は若かった頃からルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに傾倒し、今も不屈の精神で聴覚障害を乗り越えた最高の芸術家として崇拝しているの。」
「それと比較すれば自分の不遇な人生や精神障害などは大した問題ではないし、皆さんも人生を前向きに捉えることで試練を乗り越えられるはずよ。」