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大切な物を捨てられたことがきっかけで “ 離婚を検討する “ 人もいるだろう。
場合によっては、相手の行為を “ 犯罪に問いたい “ と思うことすらあるかもしれない。
だが、 「配偶者が大切にしている物を勝手に捨てる」 ことは、犯罪や離婚理由になるのだろうか。
離婚案件の経験が豊富な遠藤知穂弁護士に聞いた。
● 夫婦間でも 「器物損壊罪」 は成立する
「大事にしていた物を捨てられたことが原因で離婚の決心をした場合には、これから離婚する相手のことを告訴する人がいてもおかしくないでしょう」 (遠藤弁護士)
● 「大切な物を勝手に捨てられた」 は離婚理由になるか?
離婚をしたくても相手が拒否し、合意が成立しない場合には、最終的には離婚訴訟を起こすことになる。
ただし、裁判で離婚が認められるためには、 「不貞行為」 や 「悪意の遺棄」 などの 「法定離婚理由」 が必要とされる (民法770条1項) 。
勝手に捨てられた物は所有者にとってどのような価値を持っていたのか、その価値を配偶者も知っていたのかどうか、勝手に捨てられたのは一度だけなのか、たびたび発生しているのか、など。
さまざまな要素を考慮したうえで、 “ その他婚姻を継続し難い重大な事由 “ に該当するのか否かが判断されることになるでしょう」 (遠藤弁護士)
● 「物を捨てられた」 が原因で離婚に至る夫婦は少ない
もし配偶者に物を勝手に捨てられた場合、まずはどのような対応を取ればいいのだろうか。
相手と離婚することまで検討していないのなら、警察に相談することは過剰な対応になるだろう。
一方で、離婚を視野に入れている場合には、まずは 「事前の承諾なく捨てられた」 という事実を確認したうえで、配偶者と話し合いを行うべきだ。
「今後は勝手に物を捨てない」 という内容の書面を作成しておけば、次に相手が物を勝手に捨てた場合には、離婚するための “ 証拠 “ となる。
「何度も物を捨てられていて我慢ならない場合や、損害が非常に大きくなっている場合には、警察に相談することも考えられるでしょう。
その場合にもまずは弁護士に相談して、最終的にどうするかという目標を定めたうえで、メリットやデメリットを考慮しながら具体的な対応を慎重に検討したほうがよいでしょう」 (遠藤弁護士)
もっとも、遠藤弁護士が実際に扱ってきた案件のなかで、配偶者に大切な物を勝手に捨てられたことが直接の原因で離婚を検討した人は “ ほとんどいない “ という。
「話題になっていた投稿も、私が見る限り、 “ 勝手に捨てられた “ のではなくて “ 捨てるように圧をかけられて、自分の判断で捨てたら後悔した “ という内容だと思います」 (遠藤弁護士)
夫婦や男女の対立を煽る話題は、SNSではバズりやすい。
Xでは 「妻に物を勝手に捨てられた」 や 「妻の圧力に負けてしぶしぶ捨てた」 という投稿が目立っているとしても、実際には “ ごく少数の家庭でしか起こっていない事態 “ なのかもしれない。