[ アニメ ] 声優とキャラクターの “ 同一視問題 “ を考える | 執爺の記憶帳

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元・(自称) 古株モンスターハンターの拙者が、毎日の出来事やネットの記事などで見つけた、ちょっとした情報 (アニメ・特撮・食玩 etc.) などを不定期に書いていくブログであります。

 声優とキャラクターの “ 同一視問題 “ を考える
 “ マルチタレント化 “ も影響か?
* Real Sound (5月2日) より *


 アニメ作品の増加に伴い、声優にとっての “ 代表作 “ が増えている昨今。
 アニメ声優とそのキャラクターを同一視することに関して賛否両論が巻き起こっている。
 いわゆる 「キャラ = 声優思考問題」 や 「同一視問題」 と呼ばれるこの問題は、キャラクターと声優を重ね合わせて楽しむファンがいる一方で、そのような同一視に違和感を覚える人もいるという、複雑な様相を呈している。

 例えば、人気漫画を原作とするドラマで主人公を演じる俳優を考えてみよう。
 仮にそのドラマが大ヒットし、俳優の演技が高く評価されたとしても、俳優自身が漫画の “ 主人公そのものになる “ ことはできない。
 あくまでも俳優は原作を解釈し、自身の演技力で “ 主人公を表現している “ のであって、ドラマの放送終了後も俳優を “ 主人公本人として扱い続ける “ ことには違和感がある。

 そして本来、アニメも同様の性質を持っている。
 アニメは原作者、監督、声優、脚本家など、さまざまな人々の創造性が融合した “ 複合芸術作品 “ だ。
 その中で、声優だけがキャラクターの “ 本人 “ として特別視され、なりきることが許されるのは不自然だと感じる人もいるだろう。

 特にアニメ声優は、声だけをキャラクターにあてるのであって、他の身体的特徴を直接的にキャラクターに与えているわけではない。
 つまり、アニメ声優はアニメ・キャラクターと声以外の姿形上の共通項が存在しないのである。
 映画俳優や舞台俳優のように、俳優の身体をベースとするような “ 肉体の痕跡 “ として、 “ 声 “ が該当するのかという考え方もある。

 では、なぜこうした 「キャラ = 声優思考問題」 が叫ばれるようになったのか。

 その背景には、声優の “ マルチタレント化 “ が進んだことが大きく影響していると考えられる。
 現在、声優がドラマ出演やアーティスト活動など、さまざまな分野でボーダレスに活躍している。
 声優が “ キャラクターの代弁者 “ としてメディアに登場する機会が増え、声優によってはファッションを一時的にキャラクターに寄せてみたり、SNSで 「なりきり」 とも捉えられる発信をする者もいる。
 こうしたアフレコ現場以外の、 “ 見える場所 “ で、声優がキャラクターについて触れる機会が増えたことで、キャラクターと声優の同一視が進んだのかもしれない。

 ファンにとって、 “ 見える場所 “ の一番わかりやすい例が、アニメ作品の世界観を実現した “ リアル世界でのライブ活動 “ である。

 例えば、テレビアニメ『アイドリッシュセブン』に登場するグループのライブイベント『ZOOL LIVE LEGACY “APOZ“』や長年ファンを熱狂させ続けている『ラブライブ!』シリーズのライブイベントなどは、キャラクターを演じる声優たちがパフォーマンスを行う。

 アニメイベントとしてのクオリティの高さは素晴らしいことは前提として、 「キャラ = 声優思考問題」 の視点で言えば、推しの声優を推しのキャラクター本人として扱うライブに “ 違和感を持っている層がいる “ ことも事実だ。


 一方で、アイドルジャンル。ライブなどで、声優を見て 「○○ (その声優が声を当てているキャラクター) が存在していた····」 と感じるファンもいる。
 声優がキャラクターになりきってライブをするようなコンテンツでは、ライブ中に限って同一視することもあるかもしれない。
 また、全ての声優に対してキャラと同一視をするのではなく、 “ 推し声優にだけ “ キャラ = 声優思考になるファンもいるはずだ。

 さらに、これらのトピックが声優の間でも共通認識のトピックとして扱われていることがわかるやりとりもある。

「すぐ役と声優さんを合致するな、お前らは!」

 これは声優・櫻井孝宏が 「『アクティヴレイド』ニコ生〜ダイハチ広報部〜」 という2016年の生放送番組で発した言葉である。
 本番組では、櫻井をはじめ、島崎信長、小澤亜季、石上静香の4人の声優がテレビアニメ『アクティヴレイド−機動強襲室第八係−』のキャラクターについての印象を述べるコーナーがあり、小澤はそこで、花江夏樹が演じるミュトスについて、 「変人」 というキーワードをあげた。
 島崎は即座に、 「これは花江っちとは関係ないよ!」 と視聴者に主張し、それを受けて櫻井が上記の言葉を発したのだ。

 1980年代後半から声優のアニメイベントへの出演による 「顔出し」 が一般的になったと言われているが、やはりこうした問題は “ 中の人 “ たちにとっても無視できないものとなってきているのかもしれない。

 キャラクターと声優の同一視は、ファンの間で意見が分かれる複雑な問題であり、一概に正解があるわけではない。

 とはいえ、SNSで他の視聴者の反応が見やすくなった今、 「同一視問題」 に対する注目はますます集まっている。

 さまざまな解釈ができる “ アニメ “ というプラットフォームだからこそ、お互いの価値観を尊重しながら、健全なファン活動を心がけることが求められるのではないか。




『 キャラクターと声優 』

 拙者、アニメやゲームのキャラクターは、あくまでも画面の中 (二次元) の存在するものであって、キャラクター = 声優さんを同一視することはないです。

 だからといって、声優さんが自分の演じている “ キャラクターとしてライブ活動をする “ ことに対しても、否定的な意見を言うつもりもないです。

「マクロス」 シリーズではヒロインが歌手という設定なので、声優さんたちがキャラクターとして実際に歌を歌うこともありましたから。

 ただ、声優さんがアーティストとしてライブ活動をしているのを見ていると、声優さんの “ アイドル化 “ が (良くも悪くも) 進んできたのかなと感じています。