2004・4・4 「マザロジーのすすめ」木下京子
澤田:今週は、『マザロジー』という言葉を提唱し、活動されている木下京子さんをご紹介します。
インタビュー1)母なる大地への想い~マザロジー
澤田:早速ですが『マザロジー』という生き方を木下さんが提唱されているんですが、『マザロジー』というのは何なのでしょうか。
木下:そうですね。マザーという言葉が入るのでお母さんの何かですか?ってよく聞かれるんですが、もちろんそれもあるんですけどそれだけじゃないんです。女性ってエモーショナルな、肌で感じる感覚って持っていますよね!世の中はすごく物もたくさんあるし、生活に困るわけでもないのに心が病んでしまう人が多くなっている。子供も見えないところで何故か迷っています。どうしてこんなに混沌としているんだろうと考えた時に、根っこの部分を忘れてしまっているんじゃないかなって思ったんです。「マザー」というのは、母でもありますが、「根本」、「根っこ」という意味、それからひとつのフィロソフィー(哲学)ですよね。何かおかしいぞ、何か変だぞって頭の中で言っている自分がいて、一体これはどういう現象なんだろうか?何でなんだろう?そして最終的に何をしていけばいいのかと思って、その行動に結びついていくようなひとつの流れを作れないだろうかと思ったのが始まりですね。
澤田:なかなか深そうですね。そうするとマザーとは大きな意味で「お母さん」ということで宜しいんですか?
木下:そうですね。マザー!母なる大地みたいなイメージです。
澤田:なるほど!私たちが住んでいる地球全体、命の源みたいなイメージですね。
木下:そうです。だから、そこの部分をもうちょっとみんなで考えませんか?という意味で、何かムーブメントを起こしていきたいと考えたんです。
澤田:マザーとロジックという言葉で『マザロジー』ですね。面白いワードですね。
木下:そうですね!ただボランティア活動というのではなくて、やっぱり本質的に人間って収入を得て生活していくわけじゃないですか。けれども、どうやって利益をあげようかとか、どうやって仕事を上手にやろうかということに今まで終始してきてしまって、何のためにこれをやるの?という部分が忘れられているんじゃないかって思うんです。
澤田:もしかして、どこかで働くということの本質を忘れているんじゃないかってことですか。
木下:よく言われるのは、アメリカのベンチャービジネスの成功者たちは、一生暮らせるくらいの資産を手に入れるんです。その後、最後に行くのはどこかと言うと精神病院が多いんですよ!
澤田:えっ~本当ですか。
木下:人間ってそれじゃちっとも幸せじゃないですよね。ご飯が食べられないとか、生活の基盤がなくては困ってしまいますが、やっぱり本質的な部分って何だろうって思うんですよ。
澤田:最近、いろんな意味でもう少しゆっくり生きようよ、そんな意味の言葉が世の中に出てきていますよね。例えば「スロー」という言葉。そういうことをみなさんが探っている時代かもしれないですね。
木下:そうですね。実は私もビジネスの面に関しては本当に劣等性なんですよ。今は最低限のことしかやってないんです。それには理由があるんですが、娘が1歳半だったと思いますが、ちょうど1月の寒い日だったんですね、新しいプロジェクトがスタートして、その責任者ということで、毎日、多忙でもう必死で保育園に娘を放り込んで、早くオフィスに行こうと思っていた時だったんです。管状七号線沿いの小さな植え込みを見ながら、娘が「お母さん、お母さん、葉っぱの赤ちゃんが寝てるよ」って言うんですよ。「かわいいね、ここに一緒に座って寝ようよ」って言うんですよ。「ごめんね、ちょっと私、忙しいからっ!」って言いかけたんですが、今それを言ってしまったら、一生後悔するような思いが、ふとよぎって「そうだね」って言って腰かけてしばらくそれを見て、「じゃあ行こうか」って言って保育園に連れて行ったんです。結局、会社には遅刻して、私はその日にプロジェクトのリーダーを降りたことがあるんです。そんな様なことの繰り返しで、子供の話ばっかりで恐縮ですが、「1月の風の臭いと、2月の風の臭いってお母さん違うよね」って、冷たさは一緒なんですけど、臭いが違うって言うんですよ。
澤田:うわ~その感覚すごいですね!
木下:そう。子供ってすごいな~と思って、やっぱり仕事を拡張して、扱う金額も億単位になっていくとすごく忙しくなってきちゃうんですね。そんな時に子供の話を「はいはい!」みたいな感じで聞いてあげられなくなってしまったら、せっかく子供を授かったのに、そういうことを楽しめなくなってしまったらもったいないなと思ったんです。仕事は元気に生きてれば80歳までできるじゃないですか!今しかできない仕事ってもちろんありますが、仕事はやり返しがききますよね。でも、子育てとか、そういう心と心の部分っていうのは今しかないんだなって。だから、恐らくスローライフっていう言葉もそういうことを言いたいんじゃないかなって思うんですよね。
<ミュージックブレイク スガ・シカオ アシンメトリ>
インタビュー2)地球と生きる![]()
澤田:『マザロジー』という言葉は、主婦であり、社会の中でしっかりと仕事もされている木下さん自身から出てきた言葉ですが、世の中で仕事されている女性や主婦の方たちは、木下さんのように感じている人は多いんでしょうか。
木下:多いですね。『マザロジー』って一口で言ってしまえば「根幹学」なんですよ。根幹学って何って言うと、ひとつの自立なんですよね!会社にいるから会社の中だけっていうのではなくて、子供と向き合っている時は、私は母ですというだけではなく、個人として、人間として向き合っていくことが必要かなと思うんです。昔、人間ってちゃんと自然の声を聞いてこれ以上は木を切らないでねとか、ここまでやっていいけどこれ以上はやっちゃダメだなとかそういう心の声を聞きながら、バランスを取りながらコミュニケーションが成立していたと思うんですよ。
澤田:なるほど。
木下:単純なことですが、人間同士でも、すれ違う時にちょっと挨拶したり、そういうコミュニケーションができていたと思うんですよ。それが何でできなくなってきてしまったんだろかと考えるんですね。そういう風に考えることが『マザロジー』かなと思うんです。
澤田:『マザロジー』という言葉は広くて大きいですね!
木下:そうですよね!まだまだ自分の中でもね、『マザロジー』と言いながらも何なんだろうな~と探っているところです。だから、これはみんなで作っていくものなんだと思うんです!その投げかけとして、今本をまとめたりしているところなんです!
澤田:素晴らしいですね!他にどんな活動をされているんですか?
木下:まず本を通して、こういうことをみんなで考えて、ひとつの動きを作っていこうよという行動を起こしていこうと思っていまして、いろんな人と逢っています。
澤田:そういう仲間を集めて活動を展開しているわけですね!
木下;そうです。募集中です。よろしくお願いします!
澤田:この考え方が広まるといいですよね!
木下:そうなんです。身近な方だけですが、数百人くらいにマザロジーの考え方や活動の報告レターを送ったりしたら反響がすごかったんですよ。誰もが考えていてみんながなんとかしないといけないと思うことを、よく一歩踏み出しましたねって言われました。
澤田:今後の目標として、先ほど本を作るっていうことでしたが、そのあと『マザロジー』プロジェクトの展開はどうなりますか!
木下:そうですね。簡単に動きを作ってしまおうと思えば大きな講演会とか、そういうことをやって花火をあげてしまうことが一番の近道かもしれませんが、やはり本を出して、これからみんなで何か作っていこうよというところで、色んな方の意見を聞きながらじっくり進めていきたいと考えています。大切なことって日常の中に沢山あると思うんですよ!
澤田:そうですね!
木下:その意見を吸い上げながら、どういう動きにしていこうかってことは改めて考えていく。そういう良い会をたくさん作っていこうかと思っているんですよ。
澤田:まずはみなさんが共感し、活動できる基礎を作って、そこにみんなでいろんな意見や考えを持ち寄って展開していこうと言うことですね。
木下:そうです!インディアンの原住民の言葉じゃないですけれども、何百年先の子供たちにとっていいことかどうかで今の行動を決めていくっていうのもあるじゃないですか!今は物も何でも手に入るわけだし、生活も豊かになったけれども、自分がどこかで誰かの役に立っているんだっていうことを実感し、生活して行きたいですね。それから地球のために何か良いことをしているのかということも考えたいです。地球の為ってちょっと傲慢なのかもしれないんですけど、人間と地球はいっしょの生命体なわけですよ。地球という体の中の細胞ですよ。だから細胞が痛めば地球本体が壊れていくのは当然のことです。自分が全体の中の一部であって、その中でどんないい活動や活躍するのが一番いいことなのかをみんな模索していると思うんです。これじゃまずいんだって言ったって何も始まらないので、じゃあまずはこれやってみましょうよっていうものを具体的なものを作っていきたいです。
澤田:素晴らしいですね!是非とも頑張ってください。
木下:ありがとうございました。
<ミュージックブレイク 矢井田 ロンリーカウボーイ>
感想)
澤田:今日は、『マザロジーのすすめ』ということで、木下京子さんのお話を聞いて頂きました。『マザロジー』という言葉、多少理解できたでしょうか?とっても大きな意味があります。「母なる大地」と木下さんもおっしゃっていましたが、母であり、そして一人の女性という視点からつむぎ出される言葉は、とっても説得力がありました。私自身も今の世の中、色々とギスギスしているところがあるのかなと感じます。環境問題にしても自然災害がここ数年起きていて、この地球は一体どうしちゃったのかなと不安になっている人たちが世の中にいっぱいいるはずです。そんな中、新しい時代の意識と言いますか、そういうものを自分の心に持って、未来に向かって生きていかなければいけない時代です。木下さんはこれから本を出版し、その考えに共感して頂ける人たちと『マザロジー』という考え方を一緒に作りあげ、みんなの生活を豊かにしていきたいと考えているわけです。以前、ジオノスで紹介したスローライフ、あるいはロハスというような生き方、それを統合するような新しい考え方が『マザロジー』かもしれません。人間が地球のひとつの生命体として、気持ちよく生きていける世の中を作ろうとする大きな「生き方」です。みなさんは『マザロジー』という言葉で何かを感じていただけましたか?







