2001.2/09 0A『土のソムリエ 挾土秀平(はさどしゅうへい)』
澤田:今週は久々にビッグな人です。飛騨高山でセメントを塗る左官屋さんから、土壁を塗る左官屋さんに変身した方を紹介します。ものすごい情熱を持って土壁に挑んでいます。彼の名は挾土秀平!彼にたっぷりと土の魅力をお聞きします。
インタビュー1)土には色があるんだよ!
澤田:左官の左に技師で左技師と呼ばれている挟土秀平さんにお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします!
挟土:よろしくお願いします!
澤田:挟土さんこの左技師って何ですか?
挟土:左技師ってね左官技能師ってこと!それをひとつずつとんで読むと左技師になる。
澤田:通常だと左官とか左官業とか書きますよよね?
挟土:そうですね。まぁいわゆるリングネームだね。(笑)
澤田:リングネームですか?(笑)
挟土:そう、左技師秀平ってね!!
澤田:左技師秀平さんは、土壁でものすごく有名なんだけど、もともとセメントを塗る左官から始まったとお聞きしてるんですけど。
挟土:そうです。そもそも一番最初から土いじりではなかったんだよね。
澤田:何だったんですか?
挟土:一番最初はね、熊本で工業的なセメントを塗る左官だったの。それともうひとつは技能五輪オリンピックチャンピオンになることを夢みながら・・・・。
澤田:技能五輪のオリンピックチャンピオンなりたかったなんですか?
挟土:なれるんじゃないかなと。ちょっと夢にかけたっていうかね!
澤田:それでどうだったんですか?
挟土:なったんです!
澤田:チャンピオンになった?それがこの表彰状ですか?
挟土:そうですね。
澤田:うわ~ぁ。第21回技能五輪!すごいですね~労働大臣の認定表彰で!
挟土:この競技大会っていうのはヨーロッパ的っていうか石膏の装飾技術みたいなことをやるわけ。セメントってグレーでしょ!ところが純白ですごくカッコがイイわけ!バロックとかルネッサンスとか、あんなような方向に仕事が進展していくわけ。それでこれはおもしろいなってことで、競技大会と関係なしにもっとやりたいってことで。それで名古屋に親方を求めて行ったんですよ。
澤田:ほ~ぉ。
挟土:親方の元でやる気満々で行ったんだけども、仕事なんてちっともないわけ。こんなのダメだってことで一年で辞めちゃったの。じゃ~もうビルばっかでいいや~ということで今度は下請けの下請けのまた下請けのグループに入ったの。そこでセメントの世界にどっぷりつかったんですよ。それから高山に帰ってきてどっぷりその世界!いかに早く安くできるかだけだったね。
澤田:なるほどね~。
挟土:全然知らない職人をまとめて朝から晩までセメント塗りでね。
澤田:もともと秀平さんはそういう家に生まれたんですよね!
挟土:うん、後継ぎとしね!だからそういうふうにならなぁ~あかんと思って。金も儲けなぁ~あかん。もう鬼みたいにセメント塗って仕事してた(笑)。ところが俺と同じ世代で『土をやってる人間が日本の中にポツポツといる』。それがすごい豊かで斬新で新しい表現してるのに驚いたのね!
澤田:その土をやってるっていうのはどういうことなんですか?
挟土:そう、土といってもね、赤土もあれば白土もあれば黄色い土もあれば、もうピンクもあればオレンジもあるの。誰もがきずかないだけでホントはすごいキレイな土がいっぱいあるの!
澤田:今実は工房っていうか作業場に来てるんですけど、ここにいっぱいサンプルがあるんですよ。実験で作ってるものですかね?
挟土:そう実験とか施主さんにこういうイメージがどうっていうサンプルなの。
澤田:このサンプルの種類がものすごいんですけどね、すごくこの土の色がいんですよね~!
挟土:人工色なんて一滴も入ってないの!『まぁいわゆる地球の色ってこと!』地層の中にあった真っ赤な層ってこと。黄色い地肌っていうか粘土とかさ。そういう陶土ではないね、焼物にある土とはまたちょっと違うのかもしれない。とにかく鮮明な色でしょ?『これ神様の色なの!地球の色だから!』
澤田:そうですよね!
感想)
梅木:すごいですね!なんか当たり前なんですけど、土にはいろんな色があるっていうか!でも改めて言われると、黄色はあるは赤はあるは青はあるはって、えぇ?って感じですよね!
澤田:はい!『地球の色』、『神様の色』この表現がまた渋いよね!僕らなんか普段あまり気にしないような土をあんな風に表現するんですよ。やはり目の付け所が違うからね。ハっとさせられますよね!
インタビュー2)土の豊かさに魅せられて!
澤田:土に魅せられて土壁を始めたっていうのは、高山に戻ってきてそういう人が何人か日本にいるってことを知ってですか?
挟土:そう知って。なんか負けたような気がしたの。同じ世界でこんなに差があるかと思って!ちょっと愕然としたの。向こうがなんて豊かで人間味があるかってことがだんだんこうそういうふうに思えて引き寄せられていくっていうかね!でも全くわからないの、どうしていいか。まず最初の1、2年は土集めばっかり!
澤田:土集め!
挟土:だって技術とかノウハウとか何もないんだもん。セメントってのは水に濡れたら固まるでしょ!黙ってても固まるんだから。土ってのは乾燥して固まるだけ。そこにわらとか砂が入って、石灰が入ってだんだん強いものになるんだけど、だからもうそれがわからないから土集めるだけ!それでiいろんな人が来ると、俺の持ってる土キレイだろって(笑)。技がすごいだろとか俺の壁はすごいだろとかなんてところまでいってないわけね!
澤田:なるほど!
挟土:この土キレイだろ!いいだろって人に見せてそんなことが自慢だったの。何にもわからないから。それが少しずつ全国の人に広まって、ばかに喜んで土集めてるやつがいると、なんかかわいいと、でそういうふうになると熟年の職人がそんなに好きならちょっと教えてやろうかと。旅の職人が俺んとこ来るようになったの。一生懸命下地を作って準備して待ってたの。そしたらある日ぱっと日曜日に現れて、じゃあこういう仕上げの方法を教えてあげようと。材料は全部揃えてるわけ。もう知りたいことばっかりだから。もう細かい藁とか大きい藁とか全部揃えてるわけ、あの海藻の昆布とかね!のりになるからね。
澤田:海藻の昆布?
挟土:そう海藻昆布を煮つめるとのりになるの!
澤田:はぁ~!?それを土にまぜるんですか?
挟土:そう土に混ぜたり、目の前で配合してくれるわけ。これとこれをこんな感じで混ぜ合わせたから触ってみなって。百聞は一見にしかずで見れるわけ!ちっちゃな枠の中で。それがどれほど嬉しかったことか。自分がとってきた土が何年もかかってそういう人が現れてある日ちゃんとした壁になってくれる!もう夜ノートに一生懸命書いて、そしてまた次に彼が訪れるまで必死に練習してた。同じこと繰り返し繰り返し。でそういう基本的なこと自分はどんどんマスターしていくわけ。そこから応用やなぁ~!
澤田:さすが職人ですね!
挟土:じゃあこうしたらこういうことができるんじゃないかってね!どんどんどんどん進化してアート的になってくるわけ。
感想)
澤田:っということで、なんかねね、ホントに土いじりの子供みたいに!この人はねホントに土が好きなんですよ!
梅木:(笑)伝わってきますね~!
澤田:多分その教えて頂いた職人さんもコイツのためだったらしょうがない教えてやろ~って感じなんでしょうね(笑)
梅木:あ~そんな感じしますね!有名な方なんですよね?挟土さんってもう。
澤田:うん。この世界ではもう挟土さんは有名な方ですね。多分全国でも4、5人の中の一人ですね!活躍してますよ!
梅木:でもそんな挟土さんも最初は全く知らなかったというふうにおっしゃってるのがすごく好感が持てるんですけどね~。
澤田:やっぱりいちから自分でやってきたんだっていうことが今の自信に繋がってるんでしょうね!
インタビュー3)土は呼吸するんだよ!
澤田:初めて作った作品は何ですか?
挟土:一番最初はね土蔵。土蔵の復元をしたの。
澤田:高山市内のですか?
挟土:高山市内の県指定の文化財。うまくチャンスが巡ってきたの!そこでもう大赤字を超えて死ぬほど一生懸命やったの。そしたらそれがあんまりキレイだってことで人が集まってだんだん話題になって、じゃあ次はあいつにこれやらせようかって。
澤田:それで広まったわけですね?
挟土:そう。すごくゆっくり。今はねけっこうおもしろいじゃないか、本物なんだねって気づいてくれるけどね。
澤田:さっき言ってた土にいろいろ混ぜるものって言うんですか、基本的にどんなものを混ぜていくんですか?
挟土:土をとってきて、根っことか砂利を除いて、その部分に新たに砂と藁をまぜて。あるいは石灰を混ぜて。海藻昆布も、麻もそう。そういうのが微妙な配合で寝かせて発酵させるの。
澤田:土壁っていうのはやっぱり奥が深いですね。昔からある日本の技術なわけでしょ?
挟土:うん。深いよ。だって土も生きてる。まぁ当然木も生きてるけど、土はねもっと動くしね。それはね、木の動きに比べて田んぼだって稲刈りがすんだらびしびしとヒビ割れるでしょ。あのくらい日が経つと動くんだから。やっぱり奥深いよね。俺はセメントの世界とコンクリートの世界にいたでしょ。コンクリートって200年もたないけど、土蔵って200年~250年前の物でも今も建ってるもんね。
澤田:そうですよね!
挟土:ということは、鉄よりコンクリートより強い!弱いものの方が強い!カッコイイね!
澤田:カッコイイですね!
挟土:弱いものがみんなで手を握ると、鉄よりセメントより強くなる!
澤田:やっぱり昔の土蔵なんかもそういう海の海藻昆布みたいないろんなものをブレンドしてあんな強度のあるものになるるわけですね!真っ白な壁とかすごいですよね。
挟土:呼吸してるから長持ちしてるってことは言えるね!
澤田:土は呼吸してると!?
挟土:吸ったりはいたりしてるからやさしく長持ちする。湿度がある時にどんどんどんどん湿度を吸ってくれるでしょ。春、土壁がどんどんどんどん吸って湿気とかがないわけ。で今度は乾燥してくると、吸った水分をゆっくり吐いてくる。そうすると湿度も常に一定になる。だから土蔵の中ってもつんだよね。高山の屋台でもさ、土蔵の中に入れてると漆が傷まないとかね!
澤田:すごいですね!
挟土:うん、だからすごいんですよやっぱり自然って!
感想)
梅木:いや~すごく感動してます。私ね個人的にネイティブの本とか好きなんですよ。そこにネイティブの方々が言ってる教訓みたいなのがあるんですが、なんかね挟土さんの話を聞いてると、ネイティブの長老の話を聞いてるような(笑)
澤田:土の詩人だよね、次から次へと土の言葉がでてくる!(笑)弱いものはホントは強いんだと。弱いものが集まって手を繋ぐと強いと思ってるものより強くなると!すごいですね~!
梅木:格言ですよね!
インタビュー4)E.YAZAWAのバックを塗りたい!
澤田:じゃあ最後にですね、秀平さんの土壁を塗るプロとして今後の夢ですね、こういう仕事もしたいとか色々あるじゃないですか?そのへんちょっと聞かせてもらえないですか?
挟土:夢はね~無限大にあるかな!でも矢沢かな!?
澤田:矢沢さんですか?秀平さんの大好きな矢沢永吉さんの話ですよね!
挟土:矢沢さんのバックを塗りたいかな!
澤田:それは矢沢さんのコンサートのステージってことですか?
挟土:う~ん。いやプロモーションビデオの方がいいかな!
澤田:そういうプロモーションの中のひとつの材料としてね!
挟土:矢沢さんが泥壁をぶち破って出てくるような!
澤田:すごい夢ですね。是非、実現できるといいですね。今までもそうだったんですけど、全国、津々浦々、北海道から東京、大阪、九州まで。全国どこでもいくんですよね!
挟土:もうこうなったら!おれの土を買ってくれるんであればどこでも行くよ!ドキドキしながら(笑)
澤田:ラジオ聞いてる人で土壁に興味があってね連絡とりたい方は連絡ください。ドキドキしてる秀平さんのことをお教えしますので!(笑)
挟土:でもほんとにドキドキして自信ないんですよ。恐い!(笑)
<ミュージックブレイク 矢沢永吉『チャイナタウン』>
感想)
梅木:いいですね~えいちゃん!
澤田:うん。いや~サンキューベイビーですね(笑)夢がありますね、やっぱりね!
梅木:あの地球が立ち上がるっていうのは、なるほどなと思いますよね!
澤田:もうネイティブの人じゃないですかこの人は(笑)。根っからの地球人ですよね!
梅木:なんかこういう職業というか、土とかに関わってると逆にそういうところから教えられるものって多いのかもしれないですね!
澤田:そうかもしれないですね!あとね~土壁の額縁!ほしい!!これはね是非とも秀平さんに作ってほしいです。れはね全国に紹介したらみんなほしいって言いますよ!
梅木:ほしいですよね!
澤田:こんな素晴らしいサンプルがねホントにあるのかなって思うくらいの色でしたね!
梅木:へ~ぇ。
澤田:ということで今日は挟土秀平さんを紹介しました。どうでしたか?
梅木:いや~なんかホントに土に触りたくなりましたね!
澤田:土の魅力を十分に聞かせてもらいましたね!
梅木:ただでさえ子供なんか泥んこ遊び好きじゃないですか!でも実は大人も好きだったりしますよね。
澤田:そうなんですよね~!
梅木:なんか究極の泥遊び!遊びなんて言ったら失礼ですけど、そんな気がしましたね!
澤田:のめりこんじゃいますよね!秀平さんは、シンプルに土との対話をしてるんですね。プロ意識も当然あるんだろうけど、子供のように土を素直に見つめている!そこから出てくる言葉っていうのが、土には色があって土は生きてるんだと、土は動くと、これは僕らにしてみるとものすごく新鮮ですね。土っていうのはアスファルトの下にあってそんな綺麗な色なんて見えないじゃないですか。でも。そうじゃないんですよね!
梅木:な都会でいう土って汚いものの代表みたいなところありますもんね。
澤田:残土みたいなね。いらないものみたいにね!山といっても山肌のある部分しか見てないのかもしれない。でも実は僕が見たようなピンクや黄色やブルー、そんなのが自己主張して山の中にいっぱいあるわけですね!
梅木:ホントにそんな色なんですか?
澤田:いや~もうホントに美しい!信じらんないくらいです。最後に挟土さんの言葉を紹介します。『
土には色がある』『土は生きてるんだと』いうことをみなさんに伝えたいと思います。