ところがジャ・・・その帝大出のT上官殿の話が終わったら、古参兵のSさんが「そんな耶蘇・キリスト教の(一粒の麦死なずば・・)などの説教は嘘ッパチだぞ!!」と真っ赤な顔で怒鳴り始めたのだ。
三弦爺イは支那大陸から転属してきた古参兵Sさんから(行けど進めど 麦また麦の~~)という軍歌「麦と兵隊」を唱和しながら支那戦場の話を聞いていたので、T上官の高尚な欧米話よりも実感出来たネ~。
「白人宣教師が(我が身を一粒の麦とし、人の為に自らを・・)と偉そうな説教しても、その人とは白人だけの事だからナ!!」「アフリカの黒人やアジア有色人なんぞは害虫扱いされて殺されるのサ・・・アイツら白人はキリストを旗印にして南北米インデイアン人を虐殺し、黒人を拉致虐待し、アジア人を労働虐待してきたノダ!」と言うS上等兵の田舎は群馬県安中町。(爺ちゃん49話の奈津子チャン見送り旅の帰り道で撮った写真の様に)そこには立派な石造りのキリスト教会が建っちゃてて、江戸時代から残るコメ藁屋根の安中藩武家屋敷を見下す様な感じなのダ!
そんな洒落た西洋教会に地元人が招かれると、柔らかいカステ~ラと甘い紅茶を馳走されて「ア~、コメ餅を焼きあげた堅い煎餅とは全然違う!これこそ文明開化ジャ!」と感激しチャて・・・そして「悔い改めよ!原罪ジャ!と十字架悔悟」を強要されて「前科者の目線」になる・・・更に悪い事には、その耶蘇教の奴隷・シモベのくせに「白人目線」で説教活動を始めちゃうのだから、呆れてしまうヨ~~。
古参兵Sさんが怒ったのは何故だろう・・・アノ広大な支那大陸に群生する麦の1粒1粒が抗日ゲリラに生まれ変わって襲ってくると想像した為なのかネ~? その抗日ゲリラは白人宣教師らに扇動された「中華目線」の蒋介石国民軍だったり、共産ソビエト国が設けた支那コミンテルンの命令に従う「隷属目線」の毛沢東軍なのだが、結局、欧米白人達の思惑道理にアジア人同士が戦うという事への怒りだったのだろうネ。
そして若き三弦爺イらがアジアの白人植民地で見たのも、白人達に酷使略奪されても黙って従う「奴隷目線」の現地人の姿で・・・元陸軍情報将校・児島さんに言うには「白人宣教師みたいな(ミカド宣教師)を多数アジア諸国に派遣して自立救国の思想を拡げておけば、大東亜戦争に勝てたかも知れない!?」という反省になるノダ。
(最近若者がよく使う「**目線で・・」という言い方が、三弦爺イら老人にとても判りやすい言葉となっているので、5つもの「目線」コトバを書いてしまった。)