「昔、父親に瓶で頭を
      殴られたあとなんです」

座って後ろから

肩に鍼をしていると

Mさんの後頭部に隠れている

百円玉くらいの外傷跡

脱毛部分がわかる

Mさんは幼稚園のお子さんを連れた

お母さんで

ご自身の強烈な肩凝りを治しに

(肩凝りという呼び名では
     生ぬるいくらいの
         激しい凝り方だ)

鍼灸院へ

定期的にいらっしゃる

それにしてもひどい話だ

親のDVになるわけだが

からだにくっきりと

刻まれてしまっている


「娘の私も生意気だったのですが、

父も酒癖が悪くて、しょっちゅう

家では喧嘩ばかりしていましたから」

少し苦笑いでMさんが

そういう

・・・

子供を

殴るのも

叩くのも

そして

癒やすのも



「あーだいぶスッキリしたわ先生、
       昨日から頭痛もひどくて」

待ちくたびれたお子さんを

抱っこして

ほっぺに

チューをする

いい絵だ

仕事柄

親の体調やストレスからくる

イライラやネガティブな気が

どれだけ

立場の弱い子供たちに

一方的に

向かってしまうかを

よく考える

単なる肩凝りを

治すんじゃない

そこから

その人から繋がっていく

負の連鎖を

断ち切ることが

できるかも、できたらいい

そう想う

親や大人だけじゃなくて

社会的にまだ

力も声もでない

子供たちの世界を

救うことができるんだと

密かに

僕は

自分を励ますので

あった