保守ですが何か?


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孔子学院は洗脳機関か

米国でのビザ発行騒動で中国が猛反発

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孔子学院は洗脳機関か

米国でのビザ発行騒動で中国が猛反発

2012年5月30日 水曜日 福島 香織

 5月中旬から先週にかけて中国の孔子学院をめぐって米中間にちょっとしたドタバタがあった。孔子学院は日本にもたくさんあるので知っている方も多いだろう。中国が海外の教育機関と提携して中国文化と中国語を外国人に教える公的機関である。

 5月17日、米国務省がこの孔子学院について、小中学生の指導に当たっている一部教師について、6月30日前に国外に出て、ビザを取り直せという通達を出した。そして孔子学院には教育機関として米当局にライセンスを申請し直せ、とした。

 これについて中国は当然のことながら猛反発で、中国側と交流のある各大学にも働きかけた結果、米国側は25日に、この通達を撤回した。

 米国側の言い分は、これはあくまでビザ発行の技術的問題であり、政治的目的はないというが、多くの人は当然そう思っていない。中国自身がそう思っていない。背景には、孔子学院“洗脳・スパイ機関”説というのがある。


<中略>



孔子学院とは、もともと中国のネガティブイメージを払しょくする外交的使命を担っている。ここが「洗脳機関」と揶揄される原因である。

 南開大学周恩来政府学院国際関係学部の韓召頴教授が2011年の季刊「公共外交(パブリック・ディプロマシー)」誌(秋季号)に、孔子学院設立目的を分かりやすくまとめているので抄訳する。

  孔子学院は中国公共外交における重要な役割を担っており、中国外交の選択肢を大きく広げるものである。

 20世紀の1990年代にはいると、中国の総合国力と国際影響力の増強スピードに比較して、各国の対中理解は乏しく、むしろ中国脅威論やその変種のチャイナリスク、中国崩壊論、中国分裂論などが広がっている。これらの対中観が一部の人間に意図的に扇動されているのでなければ、中国に対する理解不足、認識不足が原因である。この多くの国々が中国に対して持つ不安や心配を緩和・解消し、中国が平和と発展と協力の外交を行っているのだとアピールすることが、中国外交の新たな課題である。このため、公共外交が国家の外交政策における手段の一つとなる。

 大衆の世論は国家の外交政策に影響する。いかなる国家・政府とも対外政策を決定するとき、国内の大衆世論を顧みるだけでなく、自国の国家利益に有利なように外国の大衆の世論を作ろう、あるいは誘導しようと試みるものだ。語学教育などの教育文化交流を通じた公共外交は、外国の大衆に自国国家の政治、経済、社会および文化を理解させ、支持を取り付けやすくする。このため、公共外交という外交政策の効果はますます明らかに重要度を増している。


 表現は取り繕ってあるが、要するに漢語授業を通じて(中国当局に都合のいい)中国の歴史や政治や経済・社会制度を理解してもらうことで、中国支持者を増やしていき、中国脅威論を解消していこう、という明確な政治目的を備えた外交政策だと、中国自身が認めているわけだ。語学の基本は丸暗記と暗誦だ。丸暗記というのは、洗脳の定番の手法だ。毛沢東語録も丸暗記させることで、学生たちを熱狂させた。大人ならまだしも、子供なら中国当局の思惑通りの中国イメージを植え付けることはできるだろう。

 そういう面もあるので、2010年2月に、南カリフォルニア州アシエンダでは、中学校の孔子教室開講を共産主義の洗脳だとして住民の抗議活動が起こったこともある。地元教育委員会は9月、中学校に対する中国側の資金援助も教師派遣も拒否する決定をしたそうだ。2011年7月、オーストラリアのシドニーでは7カ所の学校に開設された孔子教室の閉鎖をもとめる4000人の署名が地元議会に提出されたという。テキストに天安門事件や中国の人権問題に触れていないことへの反発からだという。

 またカナダのナショナル・ポスト紙(2010年7月9日付)によれば、カナダ情報局が国民に対し、外国の諜報活動に気を付けるよう警告し、そのリストの中に孔子学院が含まれていた。前アジア太平洋局責任者の作家、マイケル・ジュノー・カツヤが「孔子学院は慈善的理念で設立したものではなく、中国共産党の戦略の一部であり、諜報機関と関連のある組織から資金提供も受けている」とコメントしている。日本の大阪産業大学の事務局長も孔子学院を「文化スパイ機関みたいなもの」と発言し留学生から猛反発をくらい、平謝りしたことがある。


 ちなみに、孔子学院に否定的な動きのある地域が、中国からの移民が多い地域であることは偶然ではないだろう。米国やカナダやオーストラリアなどの中国移民の中には文化大革命や天安門事件を契機に祖国を捨てた人も多く、普通の外国人以上に中国共産党アレルギーが強い。そういう人がわが子に「我是中国人、不是美国人」という例文を暗誦させられれば、洗脳か!と敏感に反応してしまう。


 1989年から始まった希望工程(中国国内の学校のない貧困地域に国内外の寄付によって学校を建てるプロジェクト)で集まった寄付金が2009年までの20年間で計約50億元(7.5億ドル)ということを考えれば、孔子学院に投入されているお金の多さが分かるだろう。日本政府の草の根無償資金協力や企業が希望工程に金を出しては、地元の汚職官僚に半分くらい吸い取られる例を目の当たりに見て来た私は、正直なところ、当局にそんな余裕があるなら、国内の僻地に小学校をつくれよ、と思う。


 しかし、中国側にしてみれば、対象国の世論を自国に有利になるように誘導することは国家として当然の戦略であり、中国共産党がさんざん孔子を否定してきた歴史もさらりと忘れたふうに、孔子を持ち上げることにも矛盾も感じないはずだ。「毛沢東学院」じゃ外国人は寄ってこない。中国が対外的にプラスイメージ発信に利用できるのはパンダが孔子ぐらいしかないのだからしかたない。

 それを洗脳などと批判されることは心外だろう。中国からみれば、それなら米国のフルブライト・プログラムだって洗脳だ、ということになる。フルブライト・プログラムにも、新米派を育成し、米国の影響力を拡大する戦略性はある。結局のところ、留学生の招聘や自国語学習者の拡大に、相手国の世論を自国に有利なものに導く公共外交としての政策性や戦略性を持たせることは「どこの国もやっている」当たり前のことなのだ。


 だからこそ、こういう公共外交による“洗脳合戦”時代に大切なのは、民間の普通の人々の外交意識なのだと思う。自らが外交の担い手であり、孔子学院が公共外交の一種であるという意識を持って向き合えば、少なくとも一方的な「洗脳」ではなく、むしろ相手国の文化や思考を知った上で、いかに対処すれば自国に有利な外交ができるかを考えるようになるだろう。

 日本にも孔子学院は相当増えてきている。安価で中国語を勉強できるのだから悪くない。洗脳されるか、外交的ライバルを研究する機会とするか、それはあなた次第、というほかない。


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つまり「外交戦略的な意図がありますよ」。

ということを、看板に掲げればいいわけですね。


「パンダ」だってそうですよ。


上野動物園のパンダ舎の前には

パンダの生物学上の説明だけではなく、、

「パンダは中国共産党の外交懐柔策として活用され、

 各国へ貸与されている、チベットの希少動物です」

という説明もいると思います。


「国家には真の友人はいない」という言葉もあります。


国際関係は「善悪」ではなく「損得」で考えます。


日本ではあまりにも、その辺が甘いのです。

それが憲法のせいなのは、言うまでもありませんね。