【癌と共に生きる、ステージ4】

癌に罹ると秘密にするケースも多い。

 

しかし癌は非日常であるが、罹った人にとっては日常であり、日常の延長を書くことは多くの人にとっても癌と暮らす創造的な日々が参考になると思い「いのちのドラマ」を記録に留めることにした。

 

いつまで続くのか分からないが、自分でもこれからの経緯が楽しみでならない。なんせ初めての経験なのである。

 

●2023年4月末日

腹痛が酷く、5月ゴールデンウイークが過ぎる頃より我慢の限界が来て病院で検査を受けた。MRI検査とCT検査を1日目にしたら、続けて2日目に違う場所のMIR検査とCT検査をすると言う。医師は検査結果を見て、歯切れが悪く、直ちに癌専用の検査であるPET/CT検査を追加して受けた。

 

それから10日余り過ぎた5月の末日に医師から呼ばれ検査結果が「進行性胆のう腫瘍」であると告げられ、今のままだと余命半年から1年だと言う。ステージ4の根治できない腫瘍で、肝臓、胆のう、十二指腸、大腸、膀胱、左足に転移していると言う。受け手の私は頭では理解できても心が付いてこない。続けて「直ちに入院して手術します」と言う。なにやら胆管がつまり人工パイプ(ステント)を挿入する内視鏡手術を直ちに実施した。そこの数日後、全身麻酔により、お腹やヘソから内視鏡カメラを入れて、さらに炭酸ガスを入れてお腹を膨らませ内臓を検査する手術、それと同時に静脈に点滴用のCVポートを右胸に埋め込む手術をした。私の頭は冷静に現実に起きている変化と状況を把握できるのだが、なんせ心が付いてこない。どこか他人の誰かに起きていることの様に思えてならない。

 

胆管のつまりを応急処置によりステントで解消し、その後、落ち着いて全身をくまなく調べ上げ、癌の発生箇所と大きさなどを把握して治療の戦略を練った。癌の治療方法は、1.癌を直接摘出する手術、2.放射線手術、3.抗がん剤治療の3種類の対策がある。私の場合は癌が転移している範囲が広く摘出手術と放射線手術は不可能で、残る一つの抗がん剤治療を選択した。

 

そして抗がん剤治療がいよいよ始まる。GC療法とイミフィンジの3種の点滴を6時間かけてすることに成る。それは一日がかりである。私の点滴後の副作用は、体がだるく、背中の痛みが消えない、そこで痛み止めのカロナールを飲んでいる。入院1か月が過ぎるころ、次第に確かに自分に起きている現実を受け入れる心が少し付いてきたように思える。

そこで癌との新しい暮らしのタイトルを

 八の子島を撮れるのは、後 何日だろう 】

というタイトルにした。

海の側に住み、八の子島を毎日写真に収めるのが日課だからである。誰にでも起きうる新たな日常の暮らしの記録である。スケッチは、現在の心を見える化した絵である。