近年、全国の小中学校で老朽化した屋外プールを廃止し、水泳の授業を民間のスイミングスクールなどで行う動きが広がっていると報じられています。

 

また、ある中学校の水泳学習は“座学のみ”という地域も現れました。

 

その理由は、プールの老朽化に伴う維持費の問題、教職員の負担軽減、熱中症対策による利用頻度の低下、などがあげられています。

 

しかし、四方を海に囲まれ、河川や湖、池も多く、水資源に恵まれている我が国では、子供たちが水に親しみ、水辺での危険から自分の命を守る力は生きていく上で必須の力ですし、その力を育む学校プールの役目は大きいものだと思います。

 

実際、全国の小中学校にプールが設置されるまでは毎年1000人以上の子供たちが水辺の事故で命を落としていましたが、学校にプールが設置された1970年代以降はそれが22人と激減しており、学校プールの意義は大きかったと言われています。

 

町田市では少子化の影響で小中学校を現在の62校から41校へと統廃合することが計画されており、それに合わせ、学校プールの設置数も現在の62校から27校へと減少することが検討されています。

 

また、子ども達の夏休みの居場所でもあり、これまで当たり前にあった夏期学校開放プールも、町田市では担い手不足や熱中症を理由に取り止め、学校プールは水を満々と蓄えたまま放置されています。

 

一方、町田市役所から約1キロの場所にある、相模原市の古淵鵜野森公園の市営屋外プールは、今年の猛暑の中でも普通に7月1日から9月10日まで1日も休まず営業しており連日子どもの歓声でにぎわっていました。

 

「学校プール存続」や「夏期学校プール開放」の課題は、現在の大人が作った課題であり、未来を逞しく生きる子供たちにとっての課題ではありません。

 

町田市では、「子どもに優しい町として、全ての事業に子供の目線を大切にし、子どもの居場所を拡充していく」、との政策を推進していますし、

 

町田市の判断が、未来の子ども達が水辺での危険から自分の命を守る能力を育むことに直結しますので、出来ない理由を列挙するのではなく、どうやったら出来るかを検討することを求めて議会質問しました。

 

 

 

(以下当日のやり取り)

 

 

2023.9一般質問(小中学校のプールについて)

 

 

【壇上質問 厳太郎】

通告に基づき「選ばれる町田をつくる会」の一員として一般質問致します。

 

近年、ほとんどの方々が経験したであろう小中学校のプールが大きく変わりつつあると報道されています。

 

全国の小中学校で老朽化したプールを廃止し、水泳の授業を公営プールや民間のスイミングスクールなどで行う動きが広がっており、ある中学校の水泳学習は“座学のみ”という地域も現れています。

 

その理由は、プールの老朽化に伴う維持費の問題、教職員の負担軽減、熱中症対策による利用頻度の低下、などがあげられています。

 

民間のプールを活用することにより、改修にかかる費用を抑えるだけでなく、屋内施設なら天気を気にすることなく授業ができ、先生の負担も減らせることから、小中学校プールを廃止し、中には古いプールを釣り堀にして地域に開放する学校もあるようです。

 

神奈川県海老名市では、市内19の小中学校のプールを全廃しましたし、葛飾区では2021年度以降に改築する小学校にはプールを造らず、校外の室内温水プールを水泳授業に使う方針を決定しました。

 

464名が通う葛飾区立白鳥小学校では、昨年から学校のプールは使わずに、外部の民間スポーツクラブで水泳授業を行っており、民間の水泳インストラクターから指導を受けた生徒や、負担軽減を訴える教師からは概ね好評であったとのことです。

 

一方で体育指導に詳しい専門家はいざという時に命を守る手段にもなる泳力をつけるのは義務教育の重要な役目であり、自治体は必要な学校設備としてプールを設置する方向で考えてほしい」と指摘しています。

 

ある自治体の小学校ではコロナの影響で中止されていた水泳授業を、4年ぶりに校外のプールを活用し、バス移動で再開することが計画されていましたが、

 

コロナ後の観光需要が回復傾向にあることからバスの運転手の確保が困難となり、バス事業者から断られ、市内全ての児童の教育機会の平等性を担保することを理由に水泳授業が全面的に中止となり、市民から反発の声が寄せられました。

 

また、ある自治体のある小学校では、プール建設計画の入札が不調だったことを理由に白紙撤回したところ、市議会や市民から大きな反発を生み、最終的には教育長が謝罪をし、結果プールが建設され、全ての公立小中学校1校1プール体制となりました。

 

様々な自治体で話題になっていると報じられている公立小中学校のプール存続問題ですが、その設置率は全国で80%程度であり減少傾向です。

 

東京都葛飾区では学校プール全廃と決定したとは言え、東京都全域では、2018年の統計ですと、小学校で98.9%、中学校で98.4%にプールが設置されております。

 

そこで伺います。

 

町田市の公立小中学校でのプール設置率は100%ですが、2023年度のプールの授業時間や期間として(1)学校プールの活用状況はいかがでしょうか?

また(2)課題についてはいかがでしょうか?

 

 

【答弁 石坂学校教育部長

(1)「学校プールの活用状況は。」についてでございますが、町田市立小中学校では、プール授業を毎年8から10単位時間程度実施しております。

2023年度は6月から授業を開始し、夏休み前に終了する学校が小学校32校、中学校1校あり、夏休み以降も実施している学校が小学校10校、中学校19校でございます。

(2)の「課題は?」についてでございますが、学校プールの課題としては、近年の気温上昇による熱中症の懸念や天候不順の影響による水泳授業の中止、水質管理等に伴う教員負担、プール施設の老朽化による維持補修費の増大などがございます。

 

 

【再質問①厳太郎】(学校プールの歴史と重要性)

小中学校のプールの民間委託化は維持管理費の削減や、天候に関わらず授業ができる利点はありますが、プールまでの移動時間や移動中の安全確保、移動時間、授業としての具体的な成績評価がしづらいといった点などの課題もあります。

 

四方を海に囲まれている島国で、河川も多く、水資源に恵まれている我が国では、子供たちが水に親しみ、水辺での危険から自分の命を守る力は生きていく上で必須の力ですし、その力を育む学校プールの役目は大きいものだと思います。

 

そもそも、日本でのプールの歴史は古く、江戸時代から水練場が存在しました。

 

学校での水泳授業は、昭和28(1953)年に海洋国家の日本において、国民全員が泳げ、水難事故を少なくしていくことを目標に、国民が自分の身を守る「護身」の意味で「日本水泳連盟」が8月14日を「国民皆泳の日」と制定して以降、進んできました。

 

昭和30年(1955)年の学習指導要綱の中に全国の小中学校に対してプールの設置と水泳授業への取り組みが明記され、昭和43年(1968)年の学習指導要領改訂では、小学校体育に「水泳」が盛り込まれたことから、全国で学校プール建設ラッシュとなり、現在に至ります。

 

昭和54年(1979)年には全国で1,044人の子供が1年間に水難事故で命を落としていましたが、水泳教育が普及したことで、平成30年(2018)年にはそれが22人と大幅に減少しており、その効果は非常に顕著だったと言われています。

 

日本には多くの公立小中学校にプールが設置され、水泳の授業があり、私たち日本人からすると当たり前のように感じていますが、このことは世界的に見るとかなり珍しいことであり、アジア圏を見ても、ヨーロッパ圏をみても非常にまれです。

 

諸外国では、学校にプールは設置されておらず、一部の経済的に恵まれている私学にのみ設置されている状況で、世界的には水辺に住んでいる人以外、泳げる人が少ないのが現状のようです。

 

何年も前の話ですが、何度か東南アジアの国々に旅行で行ったことがあります。

 

島々が連なる現地では船が公共バスのような役目をしておりますし、様々な美しい島々を巡るアイランドポッピングツアーなどもあり、20~40人乗りの船で多くの外国人観光客を乗せて各島を回ります。

 

途中、水深20メートルほどの綺麗な海に船を停めると、船長が「ここは自慢の海だから30分くらい適当に自由に泳いで!」と言います。

 

乗船している世界中からの観光客はライフジャケットをしっかり着用し、船尾の梯子に列をなしつつ、順番にソロリソロリと入水していきます。

 

その行列をしり目に、船首や甲板からダイナミックに飛び込んで楽しんでいるのは日本人ばかりでした。

 

「順番を守り列をつくる国民性の日本人」とよく言われますが、この時ばかりは船長の許可のもと、自由に入水し、透明な海を誰よりも楽しんでいる様子でした。

 

ベトナムのダナンでも、タイのプーケット島やマレーシアのボルネオ島、フィリピンのセブ島など、どこの島々を訪れても同じ状況で、いかに日本人が泳ぐことに親しんでいるかが解ります。

 

これらのことも日本人が外国人に比べ水に親しんでいる文化を表していると思いますし、小中学校時代からの学校プールでの水泳教育の賜物だと感じます。

 

また、学校で水泳学習を行うことが、水辺での安全に関する心得の理解や「背浮き」などの安全確保につながる技能の習得に直結していることは言うまでもありません。

 

水泳授業は、水辺環境において安全に行動する能力や、いざという時に命を守るための能力を育む唯一の教科内容であり、水泳授業を通して水辺で「命を守る」ための能力を学習することの重要性はより高まっていると思います。

 

学校教育におけるプールでの水泳学習の重要性について町田市はいかが考えますでしょうか?

 

 

【答弁① 石坂学校教育部長】

町田市立学校では、学習指導要領に基づき、体育科の年間指導計画に位置付け、水泳学習を実施しております。

 小学校低学年の水遊びを楽しく行い、水に対する不安感を取り除いたり、水の心地よさ味わったりする活動から、中学年のけ伸びや初歩的な泳ぎ、もぐる・浮くことなどの基本的な動きや技能を身に付けること、高学年の手と足の動かし方や呼吸動作などの基本的な動作を身に付けること、中学校の泳法を身に付けることを目標とした活動まで、系統的に学習を積み重ねることによって、水に親しむ楽しさと喜びを味わうことができる重要な学習であると考えております。

 また、水の中という特殊な環境での活動である水泳学習では、小学校高学年の安定した呼吸の獲得を意図した運動である「安全確保につながる運動」など、小中学校9年間を通して、水遊びや水泳運動などの心得について必ず指導することとしており、命を守る資質・能力を身に付けるという視点においても、重要な学習であると考えております。

 

 

【再質問②厳太郎】(今後の小中学校再編の中での学校プール)

小中学校9年間を通してのプールでの学習は、命を守る資質・能力を身に付けるという視点においても、重要な学習であると受け止めていることが解りました。

 

それでは今後の小中学校の再編の中で町田市の学校プールはどのようになっていくのでしょうか?

 

町田市教育委員会では、児童・生徒数の減少や学校施設の老朽化を契機として、学校のより良い教育環境を整備し、充実した学校教育を実現するために必要となる学級数の考え方や、その学級数を実現するうえでの通学時間及び通学距離や学校の位置のあり方などの学校配置の考え方である「町田市立学校の適正規模・適正配置の基本的な考え方」を審議会に諮問し、

 

審議会では、学校ごとの学級数や学校施設機能といった教育環境の違いがもたらす課題を解決するために、

 

現在だけではなく、10年後、20年後に町田に生まれ育つ未来の子どもたちの立場に立って、ソフト・ハードの両面からより良い教育環境をつくる視点から調査審議が行われ、答申されました。

 

そして、町田市教育委員会では、より良い教育環境をつくり、充実した学校教育の実現に向けて、学校ごとの学級数や学校施設機能といった教育環境の違いがもたらす課題を解決するために、適正規模・適正配置を推進するとし、2021年5月に「町田市新たな学校づくり推進計画」を策定しています。

 

この計画では現在の小学校42校、中学校20校、合計62校ある公立小中学校が、2040年には小学校26校、中学校15校、合計41校へと減っていきます。

 

公立小中学校は62校から41校へと減少・削減する計画です

 

学校が減少していく中で、今後の小中学校のプール設置や教育環境についてはいかがお考えでしょうか?

 

 

【答弁② 石坂学校教育部長】

今後の市立小中学校プールについては、天候や熱中症の影響を受けずに、計画的にプール授業ができるなどの教育環境をつくることを目的に、2023年度より教育委員会と市長部局及び小中学校の校長先生で構成する「町田市立小中学校プール教育環境向上及び集約化等検討委員会」で今後の学校プールについて検討を行っております。

 

学校プールの屋内化による教育環境の向上を図ること、複数校によるプールの共同利用、市有温水プールや民間プールの活用による学校プールの集約化等について、2023年度末までに方向性を示していきたいと考えております。

 

 

【再質問③厳太郎】(3分の2になる小中学校の水泳学習環境)

まちだの新たな学校づくりは、現在だけではなく、児童・生徒数の減少と学校施設の老朽化が進行する10年後、20年後に町田に生まれ育つ未来の子どもたちの立場に立って、ソフト・ハードの両面からより良い教育環境をつくるために推進するもとされていますので、未来の全ての子供たちが水に親しみ、水辺での危険から自分の命を守る力が育まれますよう、一番身近な小中学校プールの学習環境を整えていただきたく思いますがいかがでしょうか?

 

 

【答弁③ 石坂学校教育部長

新たに建替える学校でプールを整備する学校では天候や熱中症の影響を受けず計画的なプール授業の実施と安全で衛生的な環境を提供できるよう、学校プールの屋内化を図ります。

 

また、屋内化したプールを近隣校で共同利用することや市有温水プール及び民間プールも活用を行うことで、プールの教育環境を整えていきます。

 

 

【再質問④厳太郎】(プールが設置されない学校の教育環境)

2021年5月に町田市教育委員会が公表した「町田市立学校施設機能別整備方針~ともに学び、ともに育つ学び舎づくり~」では、新たな学校施設整備について「施設機能別整備方針」が掲げられています。

 

この整備方針では、教室や少人数室、オープンスペース、理科室、音楽室、図工室、図書室、体育館、屋外運動場、遊具、放送室、保護者活動室、学校と地域が協働する拠点及び学校支援ボランティア等の準備・更衣スペースとなるコミュニティルーム、など、新たな学校施設の整備方針が定められています。

 

その中で、「プール」は「※プールを整備する場合のみ」と注意書きがなされ、整備方針が定められています。

 

では、学校プールが整備されない学校の子供にとって、新たな学校は施設整備面で後退してしまうのではないでしょうか?

 

学校教育のハード面である、学校プールのより良い教育環境をつくるとの観点からどのようにお考えですか?

 

 

【答弁④ 石坂学校教育部長】

プールを整備しない学校では、プールを整備する近隣の学校と共同利用し、屋内化した環境の良いプールで授業を行うため、プール整備の有無による教育環境の差はないと考えております。

 

 

【再質問⑤厳太郎】(公立小中学校が62校から41校と減少する未来のプール設置率)

まちだの新たな学校づくりで公立小中学校の適正規模・適正配置が進む2040年には公立小中学校41校中、何校に学校プールが整備されていると想定していますか?

 

 

【答弁⑤ 石坂学校教育部長

現在検討中でございますが、2040年度時点で市立小中学校41校のうち、27校程度をプールが設置されている学校と考えております。

 

【再質問⑥ 厳太郎】(未来の子どもとプールの距離)

町田第1中学校と第1小学校位の距離や、南大谷中学校と南大谷小学校くらいの距離で相互利用していくと言うのなら理解できますが、学校再編によって最大どの程度の遠方のプールに児童が通うようになると想定しているのですか?

 

【答弁⑥ 石坂学校教育部長】

現在検討中でございますが、移動時間は徒歩またはバスで片道10分程度を目安に考えています。具体的には、1km以上離れている場合はバス移動を考えており、移動距離は4km以内に抑えるように検討しております。

 

【再質問⑦ 厳太郎】(消防水利としてのプール)

市内各地区に設置されている学校プールは火災の際には消火水利にも指定されており、防災面でも市民生活の安全・安心に寄与していますが、学校プールが廃止されるエリアでは新たに50トンの防火水槽を整備していくのですか?

 

【答弁⑦ 石坂学校教育部長】

建替えでプールを設置しない学校では、洪水時の雨水流出抑制等を目的として設置する「雨水貯留槽」に蓄えられた水を消防水利やマンホールトイレに利用することを検討しています。

 

 

【再質問⑧ 厳太郎】(プール設置率100%から65%になることが教育環境の向上なのか)

学校の適正規模・適正配置は統廃合を目的とするのではなく、町田市立学校を取り巻く環境変化を踏まえて、町田の未来の子どもたちにソフト・ハードの両面からより良い教育環境をつくるためですが、

 

先ほどの答弁で、公立小中学校のプール授業は6月から開始し、夏休み前に終える学校と夏休み後も授業を行う学校に分かれていることが分かりました。

 

授業でプールを使用している期間は、夏休み前までに授業を終える学校で1か月半程度、夏休み後も授業を行う学校でも屋外プールでは2か月から2か月半程度しかプールを活用することができないという状況があります。

 

学校プールに関しましても、ハード面である施設をより充実し、最大限活用されるよう設置していただきたく思いますし、未来の子ども達が現在の子ども以上に水に親しみ、水辺での危険から自分の命を守る力が育まれますよう教育環境を整備していってほしく思いますが、いかがでしょうか?

 

 

【答弁⑧ 石坂学校教育部長】

新たに建替える学校の屋内プールでは、中学校の温水プールのようにボイラーなどの大規模な設備の設置は考えておりませんが、水温調整用に給湯器等の設置と簡易な空調設備の導入を検討しています。

 

これにより、プールの利用期間を5月から10月まで延長することが可能になり、約4か月程度の授業期間を確保できる見込みです。また、複数の学校での共同利用などにより、施設を最大限活用していきたいと考えおります。

 

 

【再質問⑨ 厳太郎】(夏期学校プール開放について)

皆様の判断が、未来の子ども達が水に親しみ、水辺での危険から自分の命を守る能力を育むことに直結しますので、拙速に削減ありきの判断を下さないようお願いしたく思います。

 

判断に当たっては、今後、市外の様々な屋外プールをも充分に視察し、所謂自粛コロナ生活から解放され、満面の笑みで自由に逞しく夏を満喫している子供たちの姿を見ていただきたく思います。

 

そうすれば学校プール存続の課題は、過去に学校プールを利用してきた現在の大人が作った課題であり、未来を逞しく生きる子供たちにとっての本当の課題は他にあることが解ると思います

 

 

それではソフト面とも言える、小中学校の夏期学校プール開放事業について伺います。

 

今年の夏季学校プール開放事業、コロナを経ての開放となっておりますが、事前に学校や保護者にアンケートをとった結果、安全・安心に事業を運営することに対する不安感、また、保護者の負担軽減が求められたことなどを踏まえ、2020と2021年度は中止、2022年度は代替事業として試行的に、市立室内プールを活用して実施し、今年度については市立室内プールと中学校温水プール3校の4か所のみで事業を行ったと伺っています。

 

市内各所の夏祭りもそうですが、いったん中止にしてきたものを再開するには担い手も変化していることから相当のエネルギーが必要となります。

 

以前まで市内各所の身近な小中学校のプールで実施されてきた夏期学校プール開放事業は、多くの子どもたちが水に親しみ、水中での自己保全能力を身に付ける貴重な機会でありますし、子どもたちが友達と集える貴重な夏休みの居場所だったと思います。

 

2022年度に実施された市立室内プールを活用した代替事業の利用人数は1週間で約800人で1日当たり約110人、2023年度は1週間で約900人で1日当たり約130人だったと伺いました。

 

市内の小学生は約2万人いることから、それぞれの地域の子供に身近な小学校プールが開放されていれば、自ずと利用者数は増加するでしょうし、より多くの子ども達が水に親しんだことだと私は思いますが、町田市は近年の取り組みをいかが受け止めていますか?

 

 

【答弁⑨ 篠崎文化スポーツ振興部長】

さきほど、議員からあったように、学校やPTAを対象に行ったアンケート調査の結果、安全・安心に事業を運営することに対する不安感、また、教員や保護者の負担軽減などについては、効果がありました。

 

夏期学校プール開放事業については、子どもにスポーツをする場を提供するとともに、夏休み期間の居場所づくりにつながるなどの理由から、2021年度まで継続的に実施してきました。

 

一方、安全・安心に事業を行うという点では、2018年度は実施校38のうち、半分の19校、また、2019年度は実施校37のうち、23校が天候不良や外気温・水温の上昇により、開催を見合わせる日が生じたという状況にありました。

 

この状況を踏まえて、2022と2023年度の屋内プールを活用した代替事業にあっては、天候に左右されず、安全・安心かつ安定的に実施することが出来ており、また、基本的な指導を行うなど、内容の充実を図ることで、利用者や保護者からは好評を得ています。

 

 

【再質問⑩ 厳太郎】(子どもの居場所としての夏期学校プール開放)

私が子供の頃は、小学校のプールか、ひなた村の近くにあった屋外プールを、夏休みの間は連日友達や兄弟と利用していました。

 

振り返ってみると両親共働きであった我々兄弟や近所の友達にとって夏のプールは、かけがえのない思い出の場所ですし、当時幼かった私どもに水に親しむ最適な環境を提供してくださっていた当時の方々に感謝の気持ちを抱きます。

 

子ども家庭庁では、教育を行う施設も教育を主としない施設も、子どもにとっては全て大切な居場所と捉え、子ども一人一人が安心して過ごせる場を積極的に作ろうと考えているようです。

 

夏休み期間の子どもの居場所として、身近な小学校プールは大いに活用できると思いますが、町田市はいかがお考えでしょうか?

 

 

【答弁⑩ 篠崎文化スポーツ振興部長】

夏期学校プール開放事業については、学校の夏季休業期間における、子どもの居場所づくりという点においては、一定の効果があったと認識しています。

 

また、これまで、各学校での夏期学校プール開放事業が安定的に運営できた背景には、教職員やPTAをはじめとする保護者や地域の方々の多大なる協力がございました。

 

一方で、事業を取り巻く環境が大きく変化している現状にあっては、安全対策、関係者の負担軽減、管理コストの高騰などの課題があり、従来どおりの手法による事業実施は、難しいと考えています。

 

 

 

【再質問⑪ 厳太郎】(夏期学校プール開放の新たな担い手を)

子ども達にとって身近な小学校の夏期学校プール開放には課題があるものの、子どもの居場所づくりという点においては、一定の効果があったとのご認識とのことでした。

 

夏期学校プール開放の課題には共働き世帯の増加による「担い手不足」もあると思います。

 

先ほども少し触れましたが「町田市立学校施設機能別整備方針」では、放課後における児童・生徒の居場所の一つとして、安心して様々な活動をすることができる環境を整備することと、

 

学校施設のさらなる地域開放、多様な人々が学校につどい、教育活動・放課後活動などを通じた連携・協働や、スポーツ・生涯学習、地域活動その他の市民活動を通じて、市民が交流し活動する愛着ある地域拠点となるような環境を整備することが基本理念として明記されています。

 

担い手不足の現在、地域と共に身近な小学校の夏期学校プール開放を事業として推進してみてはと思いますが、町田市の考えはいかがでしょうか?

 

 

【答弁⑪ 篠崎文化スポーツ振興部長】

これまで、夏期学校プール開放事業の実施に際しては、PTAや地域の方々に、子ども達の見守りやサポートをお願いしてきたところです。

議員からご提案いただいた、地域と連携した事業の推進については、他自治体の事例調査などを研究してまいります。

 

 

【再質問⑫ 厳太郎】(家庭の経済状況等に左右されない子どもの環境の創出)

子ども達の夏の思い出は、その夏限りではなく将来の人格形成に大きな影響を及ぼします。

 

文部科学省が2021年9月8日に発表した調査によれば、小学生のころに体験活動や読書、お手伝いを多くしていた子供は、家庭の環境に関わらず、高校生になって自尊感情や外向性、精神的な回復力といった項目の得点が高くなる傾向があることが判明しています。

 

小学生のころに年上や年下の異年齢の人とよく遊んだり、自然の場所や空き地・路地等でよく遊んだりした子ども達でも同様の良い傾向が見られました。

 

世帯収入の水準別に分けて体験と意識との関係を分析したところ、収入の水準が相対的に低い家庭でも、自然体験の機会に恵まれていると、家庭の経済状況等に左右されることなく、その後の成長に良い影響が見られることがわかっています。

 

研究結果より、すべての子供たちが境遇に左右されることなく、体験の機会を十分に得られるように、

家庭では「お手伝いや読書の習慣を身に付けるようにする」、

地域では「放課後等に地域の大人と遊びを通じて交流する機会を設ける」、

学校では「社会に開かれた教育課程の実現を目指して地域と連携しつつ体験活動の充実を図る」ことが大切なことだとわかったそうです。

 

地域・学校・家庭が協働し、「多様な体験を土台とした子供の成長を支える環境づくり」を進めていくことが、よりよい社会創りにつながるということです。

 

夏期学校プール開放は、多様な体験を土台とした子供の成長を支える環境づくりのためにも効果のあるものだと思われますし、その持つポテンシャルを諦めてしまうのではなく、まだまだ深堀する必要があると思いますが、いかがでしょうか?

 

 

【答弁⑫ 篠崎文化スポーツ振興部長】

「町田市スポーツ推進計画19―28」においては、基本目標の一つとして、スポーツ環境の充実を掲げています。

先程、お答えしたとおり、従来どおりの事業実施は困難と判断したものの、安全・安心なスポーツ環境を提供するという考えのもと、2022年度と2023年度に実施した、市立室内プールにおける開放事業にあっては、プールの利用だけではなく、ロビーや会議室を活用して、ニュースポーツ体験教室や宿題できるスペースを確保するなどの取り組みを行っています。

 

 

 

【再質問⑬ 厳太郎】(工夫を凝らして学校プール開放の再開を)

現在、夏期開放プール事業は、市内4カ所の温水室内プールでのみ実施されています。

 

これは市民からすれば昔から馴染みのある身近な各学校の屋外プールの開放ではなく、単に市内4カ所の温水室内プールの開放事業です。

 

実質的に夏期学校プール開放は消滅している状況です。

 

しかし、この夏休み期間中でも各小中学校のプールは依然として青々と水を湛えており、誰も利用できない、しない状況でひっそりと佇んでいます。

 

失ったものは、子ども達の水に親しむ貴重な機会や、近所の子や同級生との掛け替えのない夏の想い出です。

 

課題もありましょう。

 

しかし、熱中症対策なら、プールの水温が33度以上に上昇しないようにプールの上に簡易的な遮光ネットを設置することや活用時以外はシートで水面を覆うことで解消できますし、保護者の負担軽減なら、担い手の変更でしょう。

 

プールサイドが熱くなり、子どもの足裏の保護を考えるのなら、水撒きやサンダルを履けば解消します。

 

現にこの町田市役所から、約1キロの距離にある古淵鵜野森公園の市営屋外プールは、今年の猛暑の中でも普通に7月1日から9月6日の今日まで1日も休まず営業しております。

 

最新の特別な遊具があるわけではなく、普通の25メートルプールと水深40センチ程の幼児向けプールがあるだけの古淵鵜野森公園の屋外プールは、この夏多くの元気な子ども達で賑わい、利用者数は毎日100人から800人と、大変人気を博していました。

 

市営プールですので、入場料は大人220円、子供110円です。

 

単純比較はできませんが、町田市の児童2万人のみを対象に市内4か所の屋内プールを無料で開放した夏期開放プール事業の利用者が1日平均130人ほどですが、古淵鵜野森公園の屋外プール1か所の利用者は有料にも関わらず、連日100人から800人です。

 

9月10日まで開かれているのでぜひ見に行ってください。

 

町田市の夏期学校開放プールを検討するうえで、出来ない理由を列挙するのではなく、どうやったら子供たちの身近な学校のプールを開放できるかを考えていただきたく思いますが、いかがでしょうか?

 

 

【答弁⑬ 篠崎文化スポーツ振興部長】

議員からご紹介のありました、「古淵鵜野森公園 屋外プール」については、指定管理者制度を活用し、民間事業者において、管理運営が行われている施設であると認識おり、民間事業者が持つ、ノウハウや技術・知識が運営に生かされています。

 

一方で、近隣の相模原市・横浜市・川崎市における、夏期学校プール開放事業については、当市と同様に、感染症や熱中症への対応、管理コストの高騰などの理由により、中止としていることを確認しています。

 

 

 

【再質問⑭ 厳太郎】(市民が共感できる新たな学校づくりの再編)

今の新たな学校づくりの再編計画では公立小中学校の削減ありきではなく、それぞれの学校で適正なクラス数を確保し、ハード・ソフト両面で教育の質を向上することで先の見えない未来を逞しく生きる子供たちを創ると言っています。

 

ハード面ではプールの環境を整え、利用可能期間を延ばしていくことが答弁で解りました。

 

しかし、ハードであるプール数は62から27と35カ所も削減になることは、子どもにとっての水泳授業は物理的に遠くなりますし、また、ソフト面である夏期プール開放事業では市内4カ所の屋内プールのみで、これまた身近に通えるプール数は物理的に乏しくなっているのが現状です。

 

市長は、今後の市政運営において、「新しい地域の繋がりが求められており、職員一人一人が人と人を繋げること」、「子どもに優しい町は誰にとっても優しい町になることから、全ての事業に子供の目線を大切にし、子どもの居場所を拡充していくと仰っています。

 

このことを学校プールに関してあてはめますと、「子どもに優しい町として、夏期学校プール開放事業も子どもの目線を大切に、職員一人一人が地域の方々を繋げ、担い手不足を解消し、子どもの居場所を拡充していく」ということになるかと思います。

 

また、市長、今後はいかに行政経営改革を進めるかとの問に、「市民目線と比較の目線を重視し、多様な主体とのコラボレーションをすることで課題を解決し、維持管理費を削減し、持続可能な公共サービスを展開し、部門横断的で抜本的な改革を実行し、市政への共感を生んでいく」と仰っています。

 

利用されてない学校プールを日々目の当たりにし、勿体ないと感じている市民の目線からすれば、町田市はこれまで当たり前にあった屋外プール開放を、担い手不足や熱中症を理由に、取り止め、学校プールは水を満々と蓄えたまま放置されており

 

気候が一緒のはずの相模原市の屋外プールは連日開催され多くの市民に利用されている現状は、比較の目線として、市民には理解し辛く、町田市制への共感を呼ぶことは難しいのではないかと思ってしまいます。

 

多様な主体とのコラボレーションによって、維持管理費を削減していくことは今後の町田市のためにもちろん必要なことだと思いますが、新たな学校づくりの再配置までは、新たな担い手を募り、多少経費をかけても夏期学校プール開放事業を継続し、移行期間を市民にも理解してもらえるようにしていく視点も大切ではないかと考えますが、町田市の考えを教えてください?

 

 

【答弁⑭ 篠崎文化スポーツ振興部長】

夏期学校学プール開放事業の実施手法につきましては、今後、他自治体における運用等参考にしながら、課題整理などを進めてまいります。

 

 

【厳太郎】

今後、他自治体における運用等参考にしながら、課題整理などを進めるとのことですが、子どもに優しい町として、全ての事業に子供の目線を大切にし、子どもの居場所を拡充していく、との政策を推進しているのは町田市自身ですので、町田の子ども達の意見も十分に取り入れつつ、

 

 

昭和28年に「日本水泳連盟」が、「国民皆泳の日」を制定して以降、学校プールは子どもの水難事故死者数を年間1000人以上も少なくし、子ども達の命を守る力を育んできたことを忘れず、大所高所から考えていただきたく思います。

 

学校プール存続や夏期学校プール開放の課題は、現在の大人が作った課題であり、未来を逞しく生きる子供たちにとっての課題ではありません。

 

担い手不足に関しては、必要経費をかければ、地域の各種団体や、地域の児童館を運営する指定管理者、または町田市水泳協会なども担い手となり得ます。

 

町田市の判断が、未来の子ども達が水辺での危険から自分の命を守る能力を育むことに直結しますので、出来ない理由を列挙するのではなく、どうやったら出来るかを検討することをお願いしまして、この質問を終了します。

 

引き続きよろしくお願いいたします。