町田市は「高齢者支援策」において世界のトップランナーと言えます。

 

高齢化率が世界一の日本は高齢者施策の先進国であり、高齢者支援施策は各自治体によって財政状況や人口規模等が異なることから、画一的な対策を取ることが難しく、それぞれの自治体が様々な高齢者支援施策に取り組んでいます。

 

町田市の先進的で特徴的な取り組みは、広く内外から注目されており、国や他の自治体、また外国からも視察が来ています。

 

先日、JICA(国際協力機構)から、「スリランカの保険・福祉局の担当者ら20名が日本で研修するため、先進的な取り組みを繰り広げている町田市の事例を紹介したいので視察を受け入れてほしい」、と連絡を受けました。

 

町田市のこれまでの取り組みが世界的にも注目され、先進事例として他市や世界に広がっていくことは、町田市民として大変誇らしく思いますし、町田市が独自でできる国際貢献だと思います。

 

また、町田市の高齢者やその親族にとっても日頃身近に感じていた町田市の福祉施策が、世界的にも評価されている事業だと知れば、改めて嬉しく感じ、町田市を選んで良かったと思うことでしょう。

 

関係者の皆様のこれまでの取り組みに心より敬意を表します。

 

町田市の高齢者支援策は世界的にも注目されている事業であることを皆様にも知っていただきたく思っています。

 

議会質問を通じ、「世界の高齢者支援施策のトップランナー」としての引き続き当事者に寄り添い、積極的で温かみがある取り組みと、その取り組みを更に世界に広めることをお願いしました。

 

 

 

 

以下議会当日のやり取りです。

 

2023.3一般質問(高齢者施策について)

 

【壇上質問 厳太郎】

通告に基づき一般質問をいたします。

日本の高齢化率は1980年代から急速に高まりました。

 

65歳以上の高齢者の比率が7%以上を『高齢化社会』といい、14%を超えると『高齢社会』、さらに21%を超えると『超高齢社会』と呼びます。

 

総務省統計局によると、2022年9月15日現在の日本の高齢化率は29.1%とのことであり、先ほどの指標に当てはめると、日本はすでに「超高齢社会」に突入していることになります。

 

日本の高齢化率は世界と比べても圧倒的に高く、2位のイタリアを5%以上引き離しています。

 

アメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のエリン・マーフィー上級研究員は「少子高齢化に関して、日本は他国より10年、20年も先を行っている」「その日本がどう対処するかを、各国は慎重に見守っている」と発言しています。

 

高齢者施策は、市町村ごとに人口規模や財政状況、年齢構成などの条件が異なるため、画一的な対策を取ることが難しく、それぞれの自治体が様々な高齢者施策に取り組んでいます。

 

ですので、基礎自治体である市町村の高齢者施策の成功事例が重要になると考えます。

 

全国の自治体の中でも町田市の高齢者施策は、地域住民が主体となりグループで健康づくりや仲間づくりに取り組む「町トレ」や、一般の方が利用するカフェと協働して認知症の方やそのご家族が交流できる場を提供する「Dカフェ」など、先進的な取り組みが多いと認識しています。

 

この町田市の先進的な取り組みは、広く内外から注目されており、国や他の自治体、また外国からも視察が多いと聞いています。

 

先日、JICA、国際協力機構の方から連絡をいただき、諸外国が日本の高齢者施策について、国レベルから地方自治体やコミュニティレベルまで学ぶプロジェクトがあり、

 

スリランカの福祉・保健の行政担当者ら20名が研修のため来日するので、その視察受け入れ先として、是非とも先進的で実践的な町田市の取り組みをスリランカに紹介したいと相談がありました。

 

岡林いきいき生活部長にご相談したところ快諾してくださり、町田市高齢者支援課の皆様がお忙しい中、対応準備をしてくださっています。

 

スリランカでは全人口の10%以上が65歳以上の高齢者であり、2040年には、高齢化率が20%近くになると予測され、高齢化が急速に進むことが見込まれているとのことです。

また、スリランカでは、介護保険等の社会保障制度の整備が進んでおらず、予算の問題や担い手などの人材も不足しているなど、課題が多いとのことです。

 

社会保障制度だけではなく、地域の住民とともに高齢者への支援に取り組んでいる町田市の高齢者施策は、スリランカにとって、大変参考になることでしょうし、町田市が独自に出来る国際貢献だと思います。

 

町田市のこれまでの取り組みが世界的にも注目され、先進事例として他市や世界に広がっていくことは、町田市民として大変誇らしく思いますし、町田市の高齢者やその親族にとっても日頃身近に感じていた町田市の福祉施策が世界的にも評価されている事業だと知れば、改めて嬉しく感じ、町田市を選んで良かったと思うことでしょう。

 

町田市民のシビックプライドにもつながる取り組みだと思います。

 

また、個人的なことですが、学生時代に留学生として町田高校で共に学んだスリランカ人の友人を思い出し、元同級生の国に貢献できる町田市を嬉しく思っています。

 

この視察は6月22日に実施されると聞き、大変期待しています。

 

これまで受け入れた視察の状況や、来られた方々の感想なども教えていただきたいと思います。

「町田市の高齢者施策について」、(1)力を入れている取り組み、(2)町田市への視察の状況をお伺いいたします。

 

 

 

【答弁 岡林いきいき健康部長

項目1の「町田市の高齢者施策について」に、お答えします。

まず、(1)の「力を入れている取り組みは。」についてでございますが、

市では、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることを目的として、様々な高齢者施策に取り組んでいます。

 

その中でも、認知症支援や介護予防・フレイル予防に重点的に取り組んでいます。

 

認知症支援について町田市が最も重視していることは、認知症の方の生の声を聞くことです。支援する側の考えではなく、当事者が何を望んでいるのかを知り、認知症の方の気持ちに寄り添った取組を推進しています。

 

例えば、「仲間を作りたい」との声がスターバックスコーヒーで行われる認知症カフェの開催につながりました。

また、「地域貢献をしたい」との声から、北部丘陵地帯の竹林を管理する取組が生まれました。ここで伐採した竹を活用して竹灯籠を制作したり、春にはタケノコの販売を行っています。

 

その他、普及啓発活動として、認知症の方とその家族、医療福祉関係者、企業、学生等、幅広い方々とともに認知症について考えるイベントとして「まちだDサミット」や「まちづくりワークショップ」を開催しています。

 

「まちだDサミット」はこれまでに3回開催しており、桜美林大学を会場に開催した2018年度、2019年度にはそれぞれ400名を超える来場がありました。

オンライン開催となった2021年度には、市内だけでなく全国各地から認知症の方に登壇いただき、641名の方に参加いただきました。

 

介護予防に関する取組としては、市内の高齢者支援センターと連携し、市オリジナルの筋力トレーニングである「町トレ」など住民が主体となって運営するグループの立ち上げ支援や活動を継続するための支援を行っています。

 

「町トレ」を行うグループへは、定期的にリハビリテーションの専門職が訪問し、参加者の体力測定やトレーニング方法へのアドバイスを行っています。

このようにグループが継続して活動に取り組めるよう支援しており、実施団体は2023年3月末時点で193グループで、延べ参加者数は3,950人となっています

 

次に、(2)の「町田市への視察の状況は。」についてでございますが、

認知症支援については、2020年度からの3年間で、国内の自治体等から7件、厚生労働省から1件、海外では韓国から2件、合計10件の視察に対応しました。

 

厚生労働省からは、老健局長をはじめとする3名が訪問し、認知症の方が地域で活動する様子を見学いただきました。

この他にも、2020年度には岩手県や愛知県等の団体から3件の講演依頼がございました。

 

これらの視察では、特に認知症カフェや竹林の管理等の事例について多くの関心を寄せていただいており、取組が始まった経緯や地域との連携の方法についてご紹介しています。

 

視察にお越しいただいた方々からは、認知症の方の声に寄り添った取組となるよう、複数回にわたって事業の見直しを行っていることや、地域の関係者と目標を共有しながら取組を進めている点等が特に参考になったとの声をいただいています。

 

また、視察をきっかけに新たな取組が始まった自治体もあると聞いています。

 

 

【再質問①厳太郎】

 

ご答弁いただきありがとうございます。

高齢者施策の先進都市である町田市では、特に認知症支援や介護予防・フレイル予防を重点的に取り組んできており、ご答弁で示していただいただけでも本当に様々な高齢者施策を実践してきたことが解りました。

 

また、これまで厚生労働省老健局長自らの視察をはじめ、韓国や国内の多くの自治体を受け入れ、町田市の視察をきっかけに、その地で新たな取り組みが始まったとのことですし、多くの講演依頼もあるとのことでした。

 

市役所での業務以外でも引っ張りだことのことで大変お忙しいとは思いますが、町田市が誇る高齢者施策を広め、社会が明るくなるために引き続きよろしくお願いいたします。

 

認知症支援では、町田市は当事者の生の声を聞くことを最も重視し、当事者の本当にしてみたいニーズに寄り添った取り組みを心掛けている、とのことですがそこには様々な声やご意見があると思います。

 

多くの声やご意見がある中、認知症カフェや竹林の管理といった好事例を紡ぎだす方法はどのようなものでしょうか?

 

また、介護予防施策の町田市独自の筋力トレーニングである「町トレ」の実施団体は193グループで、延べ参加者数は4000人近いとのことでした。

多くの高齢者が住み慣れた町田市で、いきいきと楽しみながら活動されている姿は超高齢社会を前向きに明るく照らすことと思います。

 

このような好事例はどのように検討され見出されてきたのですか?

 

出来上がってからでは当たり前に感じる方もいるかもしれませんが、アイディアを形にすることは難しいことであり、相当なご苦労や、多くの試行錯誤があったことと思います。

 

何か方策や心掛けていることがあれば教えてください。

 

 

再質問①答弁 岡林いきいき健康部長

スターバックスコーヒーで実施している認知症カフェについては、職員が認知症の方々の集まりに伺ってお話を聞きながら、一緒に検討を行いました。

 

その中で、認知症の方から出た「仲間をつくりたい」、「多くの人に自分たちの経験を伝えたい」といった声を受け、参加者が誰でも何でも気軽に話ができる場づくりに努めました。同じタイミングで、スターバックスコーヒーから開催場所の提供の申し出をいただいたことにより、認知症の方だけでなく、ご家族や若い世代の方など多くの市民に参加いただけるようになりました。

 

竹林の管理については、市が開催した認知症についてのワークショップで、認知症の方の「社会に貢献したい」というニーズと市の課題である北部丘陵地帯の竹林の再生をマッチングさせたことで、取組が始まりました。

 

いずれの事例も、市のみで考えるのではなく、認知症の方や認知症支援を行う地域団体等に検討段階から参画いただくことで、当事者の視点にたった取組が生まれているものと考えています。

 

介護予防の「町トレ」事業については、市職員のほか、市内のリハビリテーション専門職や高齢者支援センター職員によるプロジェクトチームを立ち上げ、トレーニングの内容や普及方法について議論を重ねました。

 

より多くの方に介護予防に取り組んでいただけるよう、「元気な方から心身機能に低下がみられる方まで誰でも無理なくできる体操であること」、「歩いて通える範囲に活動場所があること」などに留意しました。

 

また、介護予防は、ひとりで行っても効果は出ますが、複数でにぎやかに行うことでより大きく効果が出ることがわかっています。このため、活動は、グループを単位として取り組んでいただいております。

 

市は、新たなグループの立上げ支援を行う際、「参加者同士で声かけを行うこと」、「会場の準備や片付けは参加者自ら行うこと」などのルールを伝え、主体的なグループ運営の動機づけを行っています。

 

 

再質問②厳太郎

現場で聞き取った高齢者の声から、町田市内の協力者や地域をマッチングすることや主体的なグループ運営を促すことの大切さが解りました。

 

それでは、今後新たに挑戦していこうと考えている取り組みがあれば教えてください。

 

 

【再質問②答弁 岡林いきいき健康部長

認知症支援について、市では、これまで「認知症にやさしいまちづくり」をテーマとして取り組んでいましたが、2021年度に「認知症とともに生きるまちづくり」を新たなテーマといたしました。

 

「認知症にやさしいまちづくり」の背景には、地域住民や関係者等、周囲の人が認知症の方を「支える」という考え方がありました。現在推進している「認知症とともに生きるまちづくり」では、これまでの取組を一歩進めて、支援する側・される側という垣根を越えて、認知症の方も地域の中で自分らしく活躍できることを目指し、挑戦しているところでございます。

 

「認知症とともに生きるまち」の実現にあたっては、市民の認知症に対する理解の促進や、地域団体等との協力がこれまで以上に必要となります。

 

そのため今後は、これまで認知症支援の取組に関わりが少なかった地域住民や地域団体、企業、学生等にも関心を持っていただき、まちづくりの裾野を広げて行きたいと考えています。

 

また、介護予防では、「栄養」についての新たな取組として、東京都健康長寿医療センター研究所に協力いただき、「食べて元気になるトレーニング『Eトレ』」を作成し、2023年度に周知を開始しました。

 

介護予防には、運動・栄養・社会参加のうち、どれか1つだけ実践するよりも複数実践することで効果が高まると言われております。

 

そのため、市では、運動、栄養、口腔ケアなどの介護予防につながるメニューを提供するほか、趣味活動やボランティア活動などの社会参加を呼び掛けています。

 

今後も、高齢者の皆さんが主体的に介護予防につながる活動に取り組める環境づくりに努めてまいります。

 

 

【再質問③厳太郎】

引き続きよろしくお願いいたします。

では次に引く手あまたである視察受け入れや講演依頼について伺います。

 

厚生労働省老健局長や諸外国、他自治体はどうして町田市を視察先に選ばれたとお感じですか?

 

またどうして町田市に他県から講演依頼が舞い込むとお考えですか?

 

 

【再質問③答弁 岡林いきいき健康部長

認知症の方の中には「認知症になると社会と切り離されてしまう感じがする」とおっしゃる方がいます。この声の背景としては、認知症と診断されたことで、周囲が過剰な心配をして行動を制限してしまうことや、先回りしてご本人が出来ることまで行ってしまう等により、自分らしさや生きがいを感じにくくなることがあると考えられます。

 

市内で行われている多くの取組は、認知症の方の生の声や気持ちを大切にし、認知症の方もそうでない方も一緒に同じ活動を行うことで、仲間との繋がりや達成感、やりがいの醸成につながっています。

 

高齢化の進行に伴い認知症の方が増加していく中で、認知症になっても社会の一員として活躍できる取組が複数あることが、町田市が視察先として選ばれている理由の一つではないかと捉えています。

 

 

【再質問④ 厳太郎】

超高齢社会先進国である日本において、町田市には認知症になっても社会の一員として活躍できる取り組みが複数ある、世界の高齢者施策のトップランナーだからということが解りました。

 

それでは今度スリランカからの視察を受け入れるにあたり、お伝えしたいことはどのようなことですか?

特に重要視していることがあれば教えてください。

 

 

【再質問④答弁 岡林いきいき健康部長

今回の視察では、市の高齢者施策の概要として、介護保険制度における地域包括支援センターの役割のほか、介護予防や認知症支援などの取組の紹介、地域における住民主体の活動の現地視察などを予定しています。

 

スリランカでは、高齢者に係る制度の整備は、これからであると聞いています。行政がどれだけ優れた制度を生みだしたとしても、それらに関わる「人」の理解や協力、活躍、人と人とのつながりが必要不可欠であること、住民や事業者、関係機関が行政と課題を共有して、連携していくことが最も重要であることお伝えしたいと考えております。

 

 

【再質問⑤ 厳太郎】

関係者皆様のご努力により、このような町田市の素晴らしい取り組みが他市や世界に広がっていることを、是非とも多くの市民の皆様に知っていただきたいと思います。

 

壇上でもお話ししましたが、町田市の取り組みが世界的にも注目され、先進事例として他市や世界にまで広がっていくことは、町田市民として大変誇らしいことですし、市民のシビックプライドにもつながる取り組みだと思います。

 

この事実を認識し、誇りある人生を歩む市民は、他者に対してより肯定的で、優しく寛容になり、明るい社会を創出します。

 

是非とも当事者やその親族以外にも多くの市民の皆様に町田市の高齢者施策が素晴らしいことをお知らせいただきたいのですが、いかがお考えでしょうか?

 

 

【再質問⑤答弁 岡林いきいき健康部長

市が取り組んでいることの指標や数値などで見える成果については、積極的に公表していきたいと考えます。

 

高齢者施策にゴールはないものと考えています。

 

これからも、「高齢者の方が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らしていく」ことができるよう、地域の課題や市民のニーズを的確に捉え、解決や実現に向けた効果的な取組を継続して実施し、市民の方からも「素晴らしい」「町田市に住み続けたい」と言っていただける環境づくりに努めてまいります。

 

 

【再質問⑤ 厳太郎】

 

ありがとうございます。

 

私は以前94歳の認知症の祖母と二人暮らしをしていましたし、最近では市外に住む父も認知症となり、関係者の皆様の取り組みを大変身近に感じている一人です。

 

当然ですが私もいずれ老います。

 

人間はどのような状態でも、楽しんで社会と共に自分らしく生きることこそが、その人の「尊厳」を最大限に守ることだと思っています。

 

関係者の皆様のこれまでの取り組みに心より敬意を表します。

 

是非とも、世界の高齢者支援施策のトップランナーとして、引き続きのご尽力とお取り組みをお願い致しましてこの項目を終了いたします。

 

ありがとうございました。