玉川学園地域の高齢者サービスセンターである「桜実会」が、民営化できなければ廃止されると行政から報告されました。

 

 

 

 

 

 

桜実会は、1990年代から、来る高齢社会の課題を解決すべく、「誰でも住み慣れた町で老後も健やかに明るく過ごせる地域」を目指し、新たに「住民参加型福祉」の概念を創出し、高齢者福祉を住民自治として先駆的に取り組んできました。

 

 

 

 

 

 

 

 

当時では存在しなかった「指定管理者制度」と言える方法を住民自ら紡ぎ出し、地域に根差した地域が支える介護サービスが「公設民営」で実践されてこられ、町田市の高齢者福祉のフラッグシップとも言える役割を担ってきました。

 

 

しかし、時代が進み市内の高齢者サービスセンターが拡充された事から、桜実会も他の11事業者と同じく民営化できなければ事業廃止との方向性となってしまいました。

 

私は、桜実会の成り立ちの特殊性や先見性、これまでの実績を鑑み、何らかの形態でも事業を継続していくことが、ご利用者さんや事業者、地域の皆様、ひいては東京都や町田市にとっても最善であると思っています。

 

議会で取り上げることにより、桜実会が存続するよう町田市に対し最大限の努力と協力を要請しました。

 

以下、議会でのやり取りです。

 

 

 

2023.3一般質問(高齢者在宅サービスセンターについて)

 

【壇上質問 厳太郎】

 

項目番号2 高齢者在宅サービスセンターについて伺います。

2022年6月議会で「デイサービス鶴川」の事業終了及び高齢者在宅サービスセンターの民営化が行政報告されました。

 

町田市では1993年に策定した町田市高齢社会総合計画に基づき、不足していたデイサービスの量的拡大を図ることを目的に、1994年から2005年にかけて公設デイサービス12施設を整備し指定管理によって運営してきました。

 

2000年の介護保険法施行以降、多くの民間事業者が参入してきたことから、現在では市内にデイサービスが122施設あり、そのうち高齢者在宅サービスセンターが占める割合は約10%となりました。

 

これらのことにより、デイサービスの稼働率は63%となり、町田市では「供給不足に対する量的拡大の役割は終えた」の認識に至ったとのことです。

またデイサービスは、介護保険制度に基づいた均一なサービスが提供されるため、公的機関による運営の必要性は希薄になったとのことでした。

 

これらのことから、市内12施設の高齢者在宅サービスセンターについて民営化に移行する方向で調整し、現時点で民営化が困難な施設は、事業を廃止すると行政報告されました。

 

その結果、私のところにも今後を気にする多くの方々から心配の声が聞こえてきました。

そこで伺います。

 

(1)民営化が予定されている高齢者在宅サービスセンターについて現状は?

(2)指定管理者の反応と課題は?

 

 

(答弁:いきいき生活部長)

項目2の「高齢者在宅サービスセンター」について、お答えいたします。

まず、(1)の「民営化が予定されている高齢者在宅サービスセンターについて現状を問う。」についてでございますが、高齢者在宅サービスセンターは、市内に不足していたデイサービスの量的拡大を目的として、1994年から整備を開始した公設のデイサービスであり、現在12施設を指定管理により運営しております。

2000年の介護保険法施行以降、民間事業者が参入したことにより、現在では市内で約120のデイサービスが運営されています。

これらのデイサービスにおける一日の平均利用率は、2019年度の実績で約63%程度となっており、サービス利用者の受け入れには余裕があることから、市内のデイサービスの供給量は充足していると認識しております。

高齢者在宅サービスセンターは開設当初の目的を達成したことから、指定管理施設としての運営は、次期指定管理期間の期限である2028年度末で終了することとしました。 

このことについては、各指定管理者を訪問して説明し、全ての指定管理者から理解を得られております。

今後は、民営化について指定管理者と相談、調整を進めてまいります。

 

次に(2)の「指定管理者の反応と課題について問う。」についてでございますが、

指定管理者からの反応といたしましては、民営化により法人の特色を活かした運営ができるといった声や現在の場所で事業継続したいが可能かなどの問い合わせがございました。

民営化するための課題といたしましては、施設が建てられている土地が東京都の所有となっているものがあり、市は、東京都との土地無償貸付契約において、いわゆる「また貸し」をすることが禁止されていることから、東京都と法人との協議が必要になることなどがあげられます。

指定管理の終了後、民営化せず、事業を終了する施設がある場合は、施設利用者を他の施設につなげるなどして、サービスが中断しないよう配慮してまいります。また、必要に応じて地域の方への情報提供を行うなど、指定管理者や関係者と丁寧に調整してまいります。

 

 

【再質問① 厳太郎】

「民営化により法人の特色を活かした運営ができる」といった、民営化を好感している指定管理者は良いのですが、これまで地域の高齢者福祉を先導して支えてきてくださった高齢者在宅サービスセンターで継続の意思があるのにも関わらず、民営化することが難しい指定管理者についてはとても心配です。

 

そんな施設の一つに、NPO法人「桜実会」が指定管理者となって運営する玉川学園高齢者在宅サービスセンターがあります。

桜実会は、玉川学園3丁目にあった都営住宅建て替えの際、その地のより有効的な利活用を住民の皆様で考え、1995年(平成7)の 高齢者在宅サービスセンター設置を目指し、「建設促進住民の会」や「準備会」を発足しました。

 

活動資金捻出のため、町内や商店街の皆様と一致団結し、それぞれ自宅から贈答用の石鹸やタオル等様々な物を持ち寄り、玉川学園の夏祭りでバザーを開催し、目標であった120万円を売り上げ、全員で万歳三唱したお話を多くの方々からもお聞きしました。

 

「介護保険法制定」を福祉サービスの大きな転換点と捉え、その後むかえるであろう高齢社会の地域の課題を真っ先に読みとき、『福祉サービスを住民自治として考える時代がやってきた』との考えにまで到達し、

 

市議会に請願するのみならず、東京都庁へ町田市の助役と共に要望活動を繰り返し行い、地域の高齢者福祉施設「桜実会」が運営委託を受ける形で玉川学園高齢者在宅サービスセンターが「公設民営」で誕生しました。

 

当時では存在しなかった「指定管理者制度」と言える方法を紡ぎだし、新たに「住民参加型福祉」の概念を創出し、『誰でも住み慣れた町で老後も健やかに明るく過ごせる地域』を目指し、地域に根差した地域が支える介護サービスを実践され、今日まで多くのボランティアにも支えられ、地域の皆様に貢献されてこられたことを思うと本当に頭が下がります。

 

桜実会は地域の住民自ら高齢化の地域課題を解決すべく、立ち上がり創出、運営し、地域を支え、また地域に支えられながら町田第3高齢者支援センターも運営しており、町田市の高齢者福祉のフラッグシップとも言える存在だと思いますが、町田市はいかがお考えですか?

 

【答弁①:いきいき生活部長】

個別の事業者に対しての答弁は差し控えますが、高齢者在宅サービスセンターの指定管理者である12の法人全般について申し上げますと、介護保険制度の施行前から、地域に根差した団体として高齢者福祉に関する活動をおこない、施設建設の際には、開設当初から指定管理者として現在まで運営に携わっている事業者も複数ございます。

 

指定管理者である各事業者につきましては、地域における高齢者福祉の促進に率先して取り組むなど、地域住民の皆様に大変親しまれているところが多いと認識しております。

 

 

【再質問② 厳太郎】

そんな団体のひとつである桜実会が指定管理者として運営している玉川学園高齢者在宅サービスセンターも廃止されるかもしれないと聞いて大変驚きました。

行政報告にありました、高齢者在宅サービスセンターの民営化ですが、スムーズに民営化されない場合、事業が廃止されます。

 

スムーズに移行できる施設は良いのですが、桜実会が指定管理を行う玉川学園高齢者在宅サービスセンターの場合、土地が東京都から町田市に無償貸与されているため、町田市が手を引けば現時点では事業継続は不可能となります。

 

現在、桜実会ではこれまでのNPO法人から、社会福祉法人や他の形の法人への移行を検討しているようですが、なかなかハードルが高いようにお聞きしました。

町田市として継続できるよう、最大限お手伝いをしていただきたく思いますが、いかがでしょうか?

 

「現在地での民営化が困難な施設については事業を廃止します」、となっていますが、桜実会が指定管理を行う玉川学園高齢者在宅サービスセンターの立地や、設立や運営の特殊性を鑑み、丁寧に相談に乗り、東京都への働きかけ等が必要となってくると思いますが、いかがでしょうか?

 

【答弁②:いきいき生活部長】

高齢者在宅サービスセンターの指定管理者である事業者から指定管理終了後の件に関して問い合わせや相談が寄せられた場合には、市では各事業者に対して丁寧な対応と説明を心掛けております。

 

また、市では、東京都に対しまして、指定管理終了後も引き続き民営化して運営を希望する法人があることから、都有地に建っているデイサービスの取扱いについて協議させてもらいたい旨を伝えています。

今後も引き続き、各法人からの相談には丁寧に向き合ってまいりたいと考えております。

 

 

【再質問③ 厳太郎】

私も東京都に確認させていただきましたところ、所管の東京都福祉保健局 住宅政策本部は、町田市が継続していく意向があれば、今の状況でも続けていく意思はあるようです。

 

町田市としても引き続きの丁寧な対応をお願いしたく思っています。

桜実会が継続していくためにはどのような手段が考えられますか?

 

【答弁③:いきいき生活部長】

先ほどの答弁の繰り返しとなりますが、現在、市内のデイサービスの供給量は充足しており、公設のデイサービスの役割は終了したと認識していることから、市では現在の高齢者在宅サービスセンターについては、指定管理施設として継続する考えはございません。

 

個別の事業者に関する内容についての答弁は差し控えさせていただきますが、指定管理の終了後、東京都所有の土地で引き続きデイサービスの運営を希望する場合、市は「また貸し」ができないため、当該法人と東京都との協議を行うことが必要となります。

 

次の指定管理期間である2024年度から2028年度までの指定管理者が決定してからの話となりますが、市は、民営化を希望する法人について、その法人の状況や意向を踏まえたうえで、当該法人が東京都との協議を円滑に進めていけるよう、可能な限りの支援を行ってまいります。

 

 

【再質問④ 厳太郎】

個別の事業者に関しての答弁が難しかったと思いますが、「当該法人が東京都との協議を円滑に進めていけるよう、可能な限りの支援を行う」との答弁ありがとうございます。

 

では仮に、これまで東京都から土地を借りて公設民営で高齢者在宅サービスセンターを運営してきた事業者が、民営化が不可能として事業が廃止された場合、建物が建っている土地はどうするのですか?

 

東京都に返還するのですか?

返還する場合、町田市の資金で更地に戻すのですか?

東京都も今更返還されても、活用方法を考えているとは思えず、困るのではないですか?

事業廃止まで言及しているのですから、建物の何らかの利用方法を検討しているのですか?

 

 

【答弁④いきいき生活部長】

東京都所有の土地については、東京都との「土地無償貸付契約」に基づいて使用しております。

市が高齢者在宅サービスセンターとしての使用を終了した場合は、市の負担により更地に原状回復したうえで、東京都へ返還することとなります。

また、土地の用途について「高齢者在宅サービスセンター敷地として使用しなければならない」とされているため、他の施設として使用することはできない内容となっております。

 

 

【まとめ 厳太郎】

ご答弁いただきました通り、「民営化できなければ事業廃止!」と言ったものの、本件の土地は高齢者在宅サービスセンター敷地として使用しなければならず、他に転用も考えられず、仮に事業廃止となれば町田市の資金で建物を解体し、土地を東京都に返還しなくてはならない、ということですので、現有地で事業継続されていく事が、ご利用者さんにとっても、事業者にとっても、地域にとっても、また、東京都にとっても、町田市にとっても、最善かと思われます。

 

桜実会は高齢化社会を見据え、住民自治の力で、誰もが住み慣れた街で健やかに生活していく事を目指し、その成り立ちの特殊性や先見性、また、地域の力で設立運営され、地域に必要とされている状況も鑑み、現有地で継続していく事が求められていると思われますので、スムーズな事業継続のため、引き続き町田市として最大限のお取り組みをお願いしまして、この項目を終了します。

 

ありがとうございました。