別府市役所を訪れ、市内4つの公園でそれぞれ導入しているPark-PFI事業について視察しました。



別府市は人口11万2千人で、風光明媚な山と海に接しており、源泉総数、及び総湧出量共に日本一の温泉で有名な街です。

別府市では公園管理において積極的にパークPFI制度を活用し、民間活力を導入しています。

別府市では、公園の新しい過ごし方を提案し、「1日中過ごせる公園の実現」を推進しています。

この度は「別府公園」、「鉄輪地獄地帯公園」、「春木川公園」、「上人ケ浜公園」、と4つの公園で個別にパークPFI制度を導入し、公園それぞれの特色を最大限生かす取り組みについて教えていただきました。



「別府公園」は明治40年に大正天皇陛下が行啓されたことを記念し建設され、戦後は米軍の駐屯地、自衛隊の駐屯地と移り、

その後、昭和52年に昭和天皇陛下御在位50年記念公園として指定された27.29ヘクタールの総合公園です。





平成18年には「日本の歴史公園100選」に選定されました。

令和元年、公園利用者へのサービス提供を行う公園整備を、民間活力の導入により整備し、
いわゆるパークPFI制度を導入することにより、利用者の利便性の向上や、上質空間の提供、公園の更なる魅力向上が図られました。



民間活力の導入として、公園内にスターバックスコーヒーや駐車場を整備し、



事業効果としてそれまでの年間公園利用者が8万人から22.2万人に向上させ、大幅に駐車場収入を増加させ、駐車場管理支出を削減させ運営赤字を解消させました。

「鉄輪地獄地帯公園」は当初計画36.4haの特殊公園で、観光資源である温泉や地獄が点在する一帯に立地しており、重要な観光資源を周辺の自然と共に保全し、優れた景観の観光地として整備すべく、

パークPFIを導入し、「遊ぶ、食べる、泊まる、体験する、すべて楽しめる公園」をコンセプトに、半野外型BBQ体験飲食施設、グランピング施設、遊具広場、ドックラン等を創出しました。

グランピング宿泊施設は全半露天風呂付きで、センターハウス棟は地獄蒸し体験も出来ます。

グランピング宿泊施設は4人部屋と8~10人部屋の2種類があり、棟ごとに貸し出されており、ある程度まとまった人数で借りれば、相当安く滞在できます。

整備効果としてコロナ禍であっても68%と高い施設稼働率を維持しており、令和4年度から全面共用開始されたことを受けて、更なる利用増が期待されています。

「春木川公園」は、長期未着手であった公園予定地を共用開始することを目指し、サウンディング調査の結果、地域住民からスーパーマーケットの出店が強く望まれていることが解ったことから、パークPFI制度を活用し、

通常の公園整備では考えられない特別な手法で公園下にスーパーマーケットが創出できるように立体公園として整備が進められています。

買い物弱者の利便性向上を図るべく、職員の尽力により特例とも思われる、都市公園の下部空間に都市公園法の制限が及ばないことを可能にする「立体都市公園制度」を活用し、都市公園の区域を立体的に定めることができるよう進めています。

立体公園として整備することにより、都市公園法の縛りを解き、公園上部にグランド、下部にはスーパーマーケットを誘致し、土地の有効活用を図るとのことです。

今年の8月共用開始予定です。

「上人ケ浜公園」自然の海岸線が残る市内唯一の海浜公園であり、自然豊かな松林や貴重な野生植物を活かしながら整備が図られています。

また、昭和61年から開業している砂湯入浴ができる別府海浜砂湯も市営温泉として整備が進められています。

令和3年度よりパークPFI事業を開始し、公園再整備と名物の砂湯を改修しており、令和6年の夏に共用開始される予定です。

これまで公園は都市公園法の定めにより、公設公管理の必要性があり、様々な規制により公園内で民間の事業を行うことが難しかったですが、

上記4つの公園はそれぞれの形でパークPFI制度を活用することにより民間活力を呼び込み、整備費や管理費を極端に抑えつつ、
新たな公園として魅力を高めることにより、より皆様に活用される公園として進化しています。

別府市内の公園は147箇所とのことでしたが、町田市では大小合わせて800以上の公園があることから、その管理手法や整備方針において大変参考になりました。

町田市でも樹木の剪定や下草・遊具の管理といった「公園管理」については、予算の先細りや人員の削減が進む中、様々な課題が顕在化しており、

管理者である市の財政負担を軽減しつつ、都市・地域・市民のため公園の「質」や「役割」を最大限引き出すステージへの移行が求められています。

以下、リンク先は、町田市での公園管理の課題について議会でのやり取りです➡️

別府市の担当者の方々から、「これからの公共はなるべく持ち物を減らしつつ、適正に管理していかなくてはならない。」との主旨でお話しいただいたことが大変印象的でしたし、

新たに生まれ変わる別府市の公園は、知恵を絞ってコスト削減をしながら新たな公園の魅力向上に努めてこられたご努力の賜物だなと感じました。